目次
はじめに|サイバーセキュリティ関連銘柄は、AIに何を出しているのか
情報処理推進機構(IPA)の「情報セキュリティ10大脅威 2026」は、組織を狙う脅威に「AIの利用をめぐるサイバーリスク」を初めて挙げました(3位。順位は危険度の順ではないとIPAは説明しています)。サイバーセキュリティ関連銘柄を調べると「AI」の言葉がよく出てきますが、AIに関わる売上を開示している会社は今回の6社にありません。
この記事では、AIに関わる対策を顧客向けの製品・サービスとして会社が自分の言葉で掲げていて、直近の本決算の営業利益率が17%を超える6社を、AIに何を出しているか、何で稼いでいるか、株価がその会社自身の過去の水準と比べてどのあたりにあるかの順に見ていきます。
- グローバルセキュリティエキスパート(10月30日):アクセンチュアが1株8,500円で公開買付け(11月2日〜12月15日)を行うと発表し、会社は賛同して応募を推奨しています。成立すると上場廃止になる予定です。成立を条件に、期末配当は無配、株主優待は廃止となります。そのため「6社とも今期増配」という動画の時点の共通点は、この会社については成り立たなくなる見込みです。
- デジタルアーツ(10月21日):自社のクラウドサービスの運用環境などへの不正アクセスを公表しました。業績への影響は精査中です。
数字は動画の時点のまま差し替えず、詳しくはグローバルセキュリティエキスパートの節とデジタルアーツの節に書いています。
- 株価と、株価から計算する指標(時価総額・PER・PBR・配当利回り)、PBRの位置は2026年10月14日終値です。業績は本決算の数字だけを使っています(四半期のぶれを避け、会社が通期で確定させた数字で比べるため)。決算期は会社ごとに違うので、各社の表に書いています。
- 上の動画は2026年10月17日に公開したもので、本記事は動画と同じ数字で文章にし、表にまとめました。
- 動画の公開後の開示は、数字を差し替えず【2026年10月追記】として足しています。
- サイバーセキュリティ関連銘柄6社の一覧と、AIに関わって出しているもの
- 各社が何で稼いでいるか、利益率が高い理由
- その会社自身の過去のPBRで見た、6社の株価の位置
- サイバーセキュリティ関連銘柄を見るときに確かめたい3つの点

【結論】サイバーセキュリティ関連銘柄6社の一覧
先に6社の一覧です。AIに関わって出しているもの、直近の本決算の営業利益率、株価がその会社自身の過去のPBRの中でどのあたりにあるかを並べました。社名を押すと、その会社の解説に飛びます。
| 社名 | AIに関わって出しているもの | 営業利益率 直近の本決算 |
PBRの位置 過去の中で |
|---|---|---|---|
| 第1章 AIを使う仕組みを点検する | |||
| サイバーセキュリティクラウド 4493 |
社員のAI利用の制御・記録、AIを組み込んだシステムの診断など4本(2026年6月〜) | 21.7% | 低い方 |
| グローバルセキュリティエキスパート 4417 |
AI特有の弱点の診断、技術者講座。公開買付けの発表あり | 20.3% | 高い方 上場から |
| 第2章 社員のAI利用を見張る | |||
| デジタルアーツ 2326 |
生成AIへの入力の記録・制限を主力ソフトに標準搭載。不正アクセスの公表あり | 44.2% | 真ん中あたり |
| ハンモック 173A |
ChatGPTに送った内容の記録機能(記録だけ) | 17.1% | 真ん中あたり 上場から |
| 第3章 守る側にAIを組み込む | |||
| サイバーソリューションズ 436A |
送る前のメールをAIが読み、送り間違いを止める製品など | 42.5% | 高い方 上場から |
| S&J 5599 |
24時間の監視にAIを組み込み、自動で端末を切り離す機能など | 23.8% | 高い方 上場から |
※PBRの位置は2026年10月14日終値(動画と同じ当チャンネル計算)。上場から5年に満たない会社は上場からの期間で比べています。
動画の時点では、6社とも今期は営業増益と増配の会社予想でした。ただ、AIに関わる製品・サービスの売上は6社とも開示していません。会社自身が「現時点の業績寄与は限定的」と説明している例もあります。また、6社のうち3社(サイバーセキュリティクラウド・サイバーソリューションズ・S&J)は、2026年10月6日に1日で2割を超えて上がりました(同じ日のTOPIXは+0.9%)。
株価は、PBRで見ると、低い方が1社、真ん中あたりが2社、高い方が3社でした。
この記事の物差し|株価は「その会社自身の過去」
株価の高い安いは、業種や市場の平均ではなく、その会社自身の過去のPBRと比べます。各月末の終値を、その時点で公表済みの直近の本決算の1株純資産で割った値(株式分割は調整・当チャンネル計算)と比べ、10月14日の値が過去の月末の何%を上回るかで、70%以上=高い方、30%未満=低い方、それ以外=真ん中あたりとしています(動画の説明欄と同じ区切り)。期間は5年で、上場から5年に満たない会社は上場からです。サイバーソリューションズは月末のデータが12か月しかなく、位置づけが動きやすい点にご注意ください。
この見方は、PBR1倍割れの割安株9選|財務と稼ぐ力で絞った9社を「安い3つの理由」で読む【2026年9月時点】でも使っています(区切りの%は記事ごとに書いています)。
- 6社の選び方:セキュリティに関わる上場会社51社を下調べ→赤字の期がある・利益が薄い・セキュリティが事業の一部にすぎない会社などを除く→知名度の高い会社と紹介済みの会社を除く(デジタルアーツは検索量の目安を超えますが、AI対策の内容から例外として採用)→AIに関わる対策を顧客向けの製品・サービスとして掲げていることを会社の資料で確認(自社内でAIを使う話は数えない)→6社。
- PER=株価÷会社予想の1株利益、PBR=株価÷直近の本決算の1株純資産、予想配当利回り=会社予想の1株配当÷株価。「計算上の株価」は今の1株純資産×過去のPBRの中央値で、株価の予想ではありません。
- 株価の動き:年初から=2025年12月末の終値比、直近1年の高値=2026年10月14日までの1年の日足、5年=2021年9月末の終値比、または上場初値比(株探)。同じ日のTOPIXは年初から+20.2%、5年で約2.0倍です。
- 売上原価率・販管費率は、各社の開示から当チャンネルが計算したものです(四捨五入のため、足し合わせが100%にならない場合があります)。営業利益率などは百万円単位の数字から計算しているので、億円の数字で割ると少しずれることがあります。
- 業績予想・配当予想は、10月14日より後の修正の開示として、グローバルセキュリティエキスパートの期末配当予想の修正(公開買付けの成立が条件)があります。ほかの5社は記事作成時点(10月31日)まで修正の開示はありません。ここから先の決算発表の予定は、S&Jが11月11日、サイバーセキュリティクラウドとハンモックが11月13日です(株探の表示)。
セキュリティに限らず、IT業界の中でどの会社がどの位置にいるかを見たいときは、業界の主要な会社と順位が一覧できる本が手元にあると早いです。毎年8月頃に新しい版が出ます。

第1章|AIを使う仕組みを点検する(2社)
第1章は、AIを使う仕組みの弱点を調べ、守り方を手伝う2社です。動画では00:59からの部分です。
- サイバーセキュリティクラウド:Webサイトの入口の関所を月額で。4か月でAI向けサービスを4本
- グローバルセキュリティエキスパート:中堅企業の診断・訓練・教育。公開買付けの発表あり
サイバーセキュリティクラウド(4493)|4か月でAI向けサービスを4本、業績への寄与は「限定的」と会社
動画では00:59からです。
AIについて:2026年6月に社員のAI利用を制御・記録する「AI MONBAN」、その後も診断などで4か月に4本。売上は開示なし
株価の位置:PBR8.52倍で過去5年の低い方。ただしPERは43.4倍
| 市場・従業員 | 東証グロース(2020年3月上場)・連結164人 |
|---|---|
| 売上高(上場後6期) | 12→18→23→31→39→51億円(2020年〜2025年12月期) |
| 営業利益率(6期) | 15.8→16.4→17.0→18.0→20.1→21.7% |
| 今期の会社予想 | 売上60億円・営業利益12億円(+8.8%)・営業利益率20.0% |
| 株価/時価総額 | 3,665円/376億円 |
| PER/PBR | 43.4倍(会社予想)/8.52倍 |
| PBRの過去5年 | 3.64倍(2026年4月)〜35.22倍(2021年10月)・中央値12.42倍=低い方(過去の月末の13%を上回る) |
| 予想配当利回り | 0.16%(年6円・連続増配を目指す) |
| 1株配当 | 2023年12月期まで無配→3→5円→予想6円(減配なし) |
| 財務 | 現預金40億円・借入金2.8億円・自己資本比率75.6% |
| 株価の動き | 年初から+104.4%/直近1年の高値4,100円(2026年10月14日)から−10.6%/5年で約1.3倍 |
強み|開発から販売、サポートまで一貫し、解約率は月1%前後
自社製の「攻撃遮断くん」と、大手クラウドに備わった関所を自動で運用する「WafCharm」の2製品で売上の約3分の2です。売上の約90%が継続課金で、月次の解約率は攻撃遮断くんが1.04%、WafCharmが0.89%です。会社は開発・運用・販売・サポートまでの一貫提供で解約率を低く保っていると説明しています。国内クラウド型WAF市場で3年連続売上シェアNo.1と決算説明資料にあります(富士キメラ総研の調査)。売上原価率は34.4%、販管費率は43.9%です。一方で攻撃遮断くんの売上は+4.9%と伸びが鈍っています。
AIについて|出しているものは多いが、寄与はこれから
2026年6月9日の「AI MONBAN」は、社員が使うAIと社内システムの間に入り、機密情報の自動マスキングやアクセス制御、利用の記録を行います。7月にAIを組み込んだシステムの診断、8月にAI利用の評価、9月に改善の支援が続きました。料金・契約数・売上は開示がなく、会社は「大企業を中心に引き合いが増加」としつつ「現時点の業績寄与は限定的」と説明しています(2026年8月27日のQ&A)。
株価の位置とひとこと
2026年3月4日の安値1,448円から大きく上がり、10月6日には1日で23.6%上がりました(値幅制限の上限。同じ日のTOPIXは+0.9%)。同じ日に会社は「相次ぐ企業の情報漏えい・サイバー攻撃を受け」緊急の相談窓口を開設したと開示しています。過去5年のPBRの中央値12.42倍での計算上の株価は5,340円ほどですが、過去のPBRには今よりずっと高い時期が含まれるので、割安とは言い切れないと思います。
動画での個人的な見方は、まず来年2月の本決算でAI向けのサービスの手応えを確かめたい、というものです。

グローバルセキュリティエキスパート(4417)|利益率は5期続けて上昇、動画の後にアクセンチュアが公開買付けを発表
動画では04:26からです。
アクセンチュア株式会社が、完全子会社化を目的に公開買付けを行います。買付価格は1株8,500円、期間は2026年11月2日〜12月15日で、買付予定数の下限は983,100株です。動画の基準日の終値6,500円と比べると+30.8%です(当ブログ計算)。会社の取締役会は賛同し、株主に応募を推奨しています。第1位株主のビジネスブレイン太田昭和と第2位株主の兼松エレクトロニクスは応募しない契約で、一連の手続きののちに上場廃止となる予定です。
成立を条件に、2027年3月期の期末配当は無配(年間は中間の24.55円のみ。前の期は34.60円)、株主優待は廃止となります。同じ日の中間決算は売上62億円(+24.0%)、営業利益13億円(+32.9%)で、通期の業績予想は変えていません。
以下は動画の時点(10月14日終値)の内容で、公開買付けの発表前のものです。応募するかどうかの判断は、会社の開示をご自身でご確認ください。
AIについて:2026年5月に生成AIを組み込んだシステムの診断、3月に技術者講座(4か月で受講者900名超)。売上は開示なし
株価の位置:PBR22.23倍で上場からの高い方(10月14日終値)
| 市場・従業員 | 東証グロース(2021年12月上場)・連結221人 |
|---|---|
| 売上高(5期) | 44→56→70→88→110億円(2022年〜2026年3月期。2024年3月期までは単体) |
| 営業利益率(5期) | 10.0→13.3→15.9→18.3→20.3% |
| 今期の会社予想 | 売上138億円・営業利益29億円(+31.3%)・営業利益率21.3% |
| 顧客 | 従業員100人から5,000人ほどの準大手・中堅企業が中心(1,588社) |
| 株価/時価総額 | 6,500円/978億円 |
| PER/PBR | 49.0倍(会社予想)/22.23倍 |
| PBRの上場から | 8.14倍(2022年6月)〜28.36倍(2023年6月)・中央値16.53倍=高い方(過去の月末の91%を上回る) |
| 予想配当利回り | 0.76%(年49.11円。動画の時点の予想で、上の追記のとおり修正あり) |
| 1株配当 | 3.75→7.00→13.11→20.86→34.60円(分割調整後) |
| 財務 | 現預金16億円・有利子負債16億円・自己資本比率44.2%・ROE39.8% |
| 株価の動き | 年初から+103.1%/直近1年の高値6,770円(2026年10月)から−4.0%/上場初値から約6.5倍 |
強み|中堅企業に合わせた内容と価格
売上は診断・訓練・相談・製品の導入が65.1%、教育が13.6%、人材サービスが21.3%です。会社は、他社が大企業向けに高価格のサービスを出す中で、中堅企業に合わせた内容と価格で提供していると説明しています。既存の顧客1社あたりの売上は620万円から930万円に増えました(2022年3月期→2026年3月期)。売上原価率は63.8%、販管費率は15.9%です。最大の販売先は兼松エレクトロニクスで売上の16.4%です。
AIについて|診断と講座を早く形にした
2026年5月27日の「AIプロンプト診断」は、生成AIを組み込んだWebアプリを実際に攻めて、AIへの指示文を悪用した情報の抜き取りなどの弱点を調べます。3月に始めた「SecuriST 認定AIセキュリティエンジニア」は1人22万円(税込)の講座で、会社によると4か月で受講者が900人を超えました。AIに関わる売上は開示がなく、開示は受講者数だけです。会社はAIを追い風と説明する一方、診断の効率化で単価が下がることは想定している、とも答えています。
株価の位置とひとこと
2026年2月24日にセキュリティ関連の株が広く下げた日に18.1%下げ、4月14日の終値2,230円から10月14日の6,500円まで約2.9倍になりました。上場からのPBRの中央値16.53倍での計算上の株価は4,830円ほどです。
動画での個人的な見方(公開買付けの発表前)は、PERが50倍近く上場からのPBRでも高い方なので、まず来年4月の本決算で利益率の伸びを確かめたい、というものでした。公開買付けが発表され、上場廃止が予定される今は、この見方の前提は変わっています。

第2章|社員のAI利用を見張る(2社)
第2章は、社員が生成AIに何を送っているかを見張る2社です。デジタルアーツは通信の出口で記録・制限し、ハンモックはパソコンの側で記録します。動画では07:48からの部分です。
デジタルアーツ(2326)|営業利益率44.2%で13年連続増配を予定、動画の後に自社への不正アクセスを公表
動画では07:48からです。
会社は10月21日、AIを使った自社の総点検(10月9日実施)で、クラウドサービスの運用環境と社内環境への不正アクセスの痕跡を見つけたと公表しました。2025年7月頃にさかのぼる痕跡を含み、運用に使う認証情報が不正に取得されて、i-FILTER@Cloud など一部のクラウドサービスの一部のお客様の情報が閲覧された可能性があるとしています。公表の時点で、外部への持ち出しと二次被害は確認されていないとのことです。業績への影響は「現在精査中」で、ソフトウェア版は対象外です。
10月30日の中間決算は売上60億円(+20.7%)、営業利益28億円(+37.8%)で、通期の予想(売上120億円・営業利益54億円)と配当予想(年100円)は変えていません。短信の本文に、この件の記載は確認できませんでした。
以下は動画の時点(10月14日終値)の内容で、この公表の前のものです。
AIについて:生成AIへの入力の記録・制限を2023年8月から主力ソフトに標準搭載。追加料金の記載はなく、売上は開示なし
株価の位置:PBR4.45倍で過去5年の真ん中あたり(10月14日終値)
| 市場・従業員 | 東証プライム(2002年9月上場)・連結279人 |
|---|---|
| 売上高(5期) | 91→104→115→100→108億円(連結・2022年〜2026年3月期。2025年3月期は子会社の売却で減収) |
| 営業利益率(5期) | 45.6→42.3→38.5→45.7→44.2% |
| 今期の会社予想 | 売上120億円・営業利益54億円(+12.7%)・営業利益率45.0%。受注(契約高)は−18.7%の計画 |
| 顧客 | 企業向け47.8%・公共向け(自治体・学校)48.5%・家庭向け3.7% |
| 株価/時価総額 | 6,100円/820億円 |
| PER/PBR | 21.8倍(会社予想)/4.45倍 |
| PBRの過去5年 | 2.70倍(2026年6月)〜13.17倍(2021年11月)・中央値5.58倍=真ん中あたり(過去の月末の約30%を上回る) |
| 予想配当利回り | 1.64%(年100円・累進配当が基本方針) |
| 1株配当 | 70→75→80→85→95円(95円は記念5円を含む)→予想100円(13年連続増配を予定) |
| 財務 | 現預金231億円・借入なし・自己資本比率66.1%・ROE19.2% |
| 株価の動き | 年初から−2.4%/直近1年の高値8,040円(2025年10月)から−24.1%/5年−32.7% |
強み|続けて使ってもらう収益で、利益率は5期とも38%超
会社は、継続利用を前提としたストック型の収益を土台に高い利益率を維持していると説明しています。Webフィルタリングの国内の売上シェアは55.5%で1位です(ITRの調査・2023年度)。売上原価率は30.8%、販管費率は25.0%です。販売はIT製品の卸を通していて、ダイワボウ情報システムとSB C&Sの2社で売上の51.3%です。
ただ、直近の期は売上も利益も期初の計画に届かず(売上125億円・営業利益61億円の計画)、中期経営計画の最終年度の目標も引き下げました(売上150億円→120億円・営業利益78億円→54億円)。会社は「一部で想定以上の価格競争」と説明しています。
AIについて|標準で付く機能で、特許も公表
「AIチャットフィルター」は、生成AIへの入力と回答の記録、機密にあたる言葉を含む入力のブロック、伏せ字に置き換えての送信、使える生成AIの限定ができます。2026年5月には、入力と回答の制御で特許2件を公表しました。既存の契約に含まれる機能で、売上・契約数・業績への寄与は開示されていません。
株価の位置とひとこと
2026年5月7日の本決算と中期経営計画の引き下げのあと、終値5,940円から5月11日の4,240円まで2営業日で28.6%下げました。6月19日の3,525円から10月14日の6,100円まで戻しています。過去5年のPBRの中央値5.58倍での計算上の株価は7,650円ほどです。
動画での個人的な見方(不正アクセスの公表前)は、来年5月の本決算で売上が計画に届くかを確かめながら長期で持つ候補としてはあり、というものでした。守る製品を売る会社に起きた件なので、業績への影響の開示と、顧客の動きも確かめる必要があると思います。

ハンモック(173A)|AIへの対策はまだ記録の機能だけ、PERは6社で最低で配当利回りは最高
動画では11:09からです。
AIについて:2026年3月にChatGPTへ送った内容と日時の記録機能を追加。記録だけで、対象はブラウザのChatGPT
株価の位置:PBR2.36倍で上場からの真ん中あたり。配当利回り3.61%
| 市場・従業員 | 東証グロース(2024年4月上場)・218人(単体) |
|---|---|
| 売上高(5期) | 36→40→43→47→49億円(単体・2022年〜2026年3月期。2024年3月期までは上場前) |
| 営業利益率(5期) | 10.6→12.7→15.6→16.8→17.1% |
| 今期の会社予想 | 売上53億円・営業利益8.8億円(+5.9%)・営業利益率16.7%。純利益は−14.6%(前の期の特別利益の反動) |
| 株価/時価総額 | 1,799円/76億円 |
| PER/PBR | 12.9倍(会社予想)/2.36倍 |
| PBRの上場から | 1.77倍(2026年5月)〜4.61倍(2024年4月)・中央値2.47倍=真ん中あたり(過去の月末の43%を上回る) |
| 予想配当利回り | 3.61%(年65円。配当性向50%が目標・DOE5%が下限) |
| 1株配当 | 30→30→40円(2024年3月期〜)→予想65円(上場後の減配なし) |
| 財務 | 現預金47億円・借入なし・自己資本比率45.2%・ROE23.1% |
| 株価の動き | 年初から+17.4%/直近1年の高値1,925円(2026年10月14日)から−6.5%/上場初値から−16.7% |
強み|必要な機能だけ買えて、売上の84.3%が継続課金
パソコンの管理とセキュリティの事業が売上の64%で、全社のリカーリング売上は84.3%、AssetViewのクラウドは解約率が月0.35%です。必要な機能だけ選んで買える作りで、中堅・中小企業にも入れやすいソフトです。会社は利益率の上昇を、売上の増加に伴う固定費の相対的な逓減で説明しています。売上原価率は56.7%、販管費率は26.2%です。直近の期の売上は期初の計画に届きませんでした。
AIについて|機能の1つで、役割は記録
AssetView Cloud + に「ChatGPTログの取得」を追加し、社員がブラウザからChatGPTに送った内容と日時を記録します。記録する機能で、送信を止める機能とは書かれていません。単独の製品ではなく、使えるかは契約プランによります。売上・契約数は開示がありません。会社は「AI台頭は当社の追い風に」とする一方、生成AIの急速な普及で市場のニーズが変わる可能性もリスクに挙げています。
株価の位置とひとこと
2026年8月14日の取引終了後に配当方針の変更と増配(45円→65円)を発表しました。上場からのPBRの中央値2.47倍での計算上の株価は1,880円ほどです。
動画での個人的な見方は、来年5月の本決算で主力ソフトのクラウドの契約額を確かめながら、長期で持つ候補としてはあり、というものです。

第3章|守る側にAIを組み込む(2社)
第3章は、AIを使った攻撃を止める専用の製品というより、守りの道具としてAIを使う2社です。動画では14:25からの部分です。
サイバーソリューションズ(436A)|開発を持たず利益率42.5%、上場1年で提携先1社に頼る
動画では14:25からです。
AIについて:2026年9月に送る前のメールをAIが読む「AiSE Guard」、10月に保管メールから内部不正の兆しを拾う「AiSE Auditor」。売上は開示なし
株価の位置:PBR7.81倍で上場からの高い方。今期は+20.0%の増益の計画
| 市場・従業員 | 東証グロース(2025年10月上場)・76人 |
|---|---|
| 売上高(3期) | 27→31→35億円(単体・IFRS・2024年〜2026年4月期。確かめられるのは3期) |
| 営業利益率(3期) | 33.4→39.4→42.5% |
| 今期の会社予想 | 売上40億円・営業利益18億円(+20.0%)・営業利益率45.0% |
| 株価/時価総額 | 2,101円/332億円 |
| PER/PBR | 27.6倍(会社予想)/7.81倍 |
| PBRの上場から | 3.58倍(2026年6月)〜9.02倍(2025年10月)・中央値6.42倍=高い方(過去の月末の75%を上回る。12か月のみ) |
| 予想配当利回り | 1.81%(年38円・総還元性向50%が目標) |
| 1株配当 | 2025年4月期は無配→2026年4月期32円(初めての配当)→予想38円 |
| 財務 | 現預金14億円・借入金0.1億円・自己資本比率59.3%・ROE32.5%。のれんと顧客関連資産31億円は総資産の42.7% |
| 株価の動き | 年初から+50.6%/上場来の高値2,188円(2026年10月14日)から−4.0%/上場初値から+9.8% |
強み|開発を提携先に任せ、固定費を抑える
会社は製品の開発を自社で行わず、提携先に委託することで固定費を抑えていると説明しています。製品の大部分は台湾のOpenfind社の製品の国内独占販売です。売上の94%が継続課金で、販売は代理店経由が8割です。売上原価率は21.4%、販管費率は36.8%です(IFRSのため、その他の収益・費用があり、差し引きは営業利益率と一致しません)。売上の内訳はセキュリティ58.3%、メールなどのコミュニケーション41.7%で、セキュリティだけの利益は開示されていません。一方で会社は、提携先との契約が終われば新規の顧客にサービスを提供できなくなるとも書いています(契約は2027年12月まで・5年ごとに自動更新)。
AIについて|社内からの流出を防ぐ製品で、攻撃を止める製品はまだ
AiSE Guard は送る前のメールの本文と添付を生成AIが読み、宛先の間違いや機密ファイルの送り間違いを止めます。どちらも発売から間もなく、売上と導入社数の開示はありません。AIを使ったメールの標的型攻撃への対策は「まもなくリリース」と表示されているだけで、中身の説明はまだありません(2026年10月7日確認)。
株価の位置とひとこと
2026年6月23日に920円の安値をつけ、10月6日は1日で21.4%上がりました(値幅制限の上限)。上場からのPBRの中央値6.42倍での計算上の株価は1,730円ほどです。動画での個人的な見方は、急騰したあとも上がっていてPBRも上場からの高い方なので今は様子見で、来年6月の本決算で新製品を含めた売上の伸びを確かめたい、というものです。

S&J(5599)|24時間の監視にAIを組み込む、ただし売上は2期続けて予想に届かず
動画では17:50からです。
AIについて:2026年5月にMicrosoft 365の記録をAIで分析する「My SOC 365」、8月に自動対処の機能、9月に生成AIで調査する「CSIRT-Pro」。契約数は開示なし
株価の位置:PBR5.32倍で上場からの高い方。今期は+11.5%の増益の計画
| 市場・従業員 | 東証グロース(2023年12月上場)・79人(単体) |
|---|---|
| 売上高(5期) | 11→13→16→19→23億円(単体・2022年〜2026年3月期。2023年3月期までは上場前) |
| 営業利益率(5期) | 23.4→25.9→21.7→21.6→23.8% |
| 今期の会社予想 | 売上27億円・営業利益6.2億円(+11.5%)・営業利益率22.6% |
| 株価/時価総額 | 2,054円/114億円 |
| PER/PBR | 28.2倍(会社予想)/5.32倍 |
| PBRの上場から | 2.30倍(2026年5月)〜8.25倍(2024年2月)・中央値3.54倍=高い方(過去の月末の82%を上回る) |
| 予想配当利回り | 0.83%(年17円・配当性向20%以上が目安) |
| 1株配当 | 無配→無配→15円→予想17円(初配当は前の期) |
| 財務 | 現預金23億円・借入なし・自己資本比率71.2%・ROE19.5% |
| 株価の動き | 年初から+9.7%/直近1年の高値2,516円(2026年1月)から−18.4%/上場初値から約1.6倍 |
強み|年間契約の積み上げと、コンサルティングとの連動
監視サービスが売上の75.7%で、残りはコンサルティングです。継続契約が84.4%、解約率は月平均0.8%です。会社は「コンサルティングサービス及びSOCサービスを連動させて提供する競合は少ない」と書いています。売上原価率は49.1%、販管費率は27.1%です。最大の販売先は筆頭株主でもあるマクニカで売上の24.4%、上位3社で50.0%です。
AIについて|攻撃を止める専用製品ではなく、守る側に組み込む
My SOC 365 の自動対処の機能は、AIが攻撃と判断するとアカウントの停止や端末の切り離しまで自動で行います(追加費用なし)。社員のAI利用の監視や、AIを組み込んだシステムの診断は、会社の資料で見つかりませんでした。売上は2期続けて期初の予想に届かず(2026年3月期は25.2億円の予想に対し23.3億円)、2026年5月に中期の計画も引き下げています(2027年3月期の売上31.8億円→27.4億円)。利益は2期とも期初の予想を上回りました。
株価の位置とひとこと
2026年2月の売上予想の引き下げの翌日に18.9%、5月の本決算の翌日に21.5%下げ、10月6日は1日で26.0%上がりました(値幅制限の上限)。上場からのPBRの中央値3.54倍での計算上の株価は1,370円ほどです。動画での個人的な見方は、今は様子見で、来年5月の本決算で売上が予想に届くかを確かめたい、というものです。

サイバーセキュリティ関連銘柄を見るときの3つの点
6社を見てきて、サイバーセキュリティ関連銘柄を見るときに確かめたいのは、次の3つだと思います。
| 確かめること | 6社で見えたこと |
|---|---|
| ① 「AI対策」の中身 | AIを使う仕組みの点検・診断・教育(2社)、社員のAI利用の記録・制限(2社)、守る側へのAIの組み込み(2社)。記録だけの会社もあれば、まだ「近日」の製品もある |
| ② AIの売上が開示されているか | 6社とも開示なし。会社が「業績寄与は限定的」と書く例も、標準の機能で追加料金の記載がない例もある |
| ③ 値動きと、会社そのものの変化 | 10月6日に3社が1日で2割超の上昇。その後、公開買付けの発表(GSX)と不正アクセスの公表(デジタルアーツ)があった。最新の開示の確認が欠かせない |
| 会社 | 営業利益率 直近の本決算 |
自己資本比率 | PER/PBR | 予想配当利回り |
|---|---|---|---|---|
| サイバーセキュリティクラウド | 21.7% | 75.6% | 43.4倍/8.52倍 | 0.16% |
| GSX | 20.3% | 44.2% | 49.0倍/22.23倍 | 0.76% 動画の時点 |
| デジタルアーツ | 44.2% | 66.1% | 21.8倍/4.45倍 | 1.64% |
| ハンモック | 17.1% | 45.2% | 12.9倍/2.36倍 | 3.61% |
| サイバーソリューションズ | 42.5% | 59.3% | 27.6倍/7.81倍 | 1.81% |
| S&J | 23.8% | 71.2% | 28.2倍/5.32倍 | 0.83% |
※株価は2026年10月14日終値。GSX=グローバルセキュリティエキスパート。

まとめ|サイバーセキュリティ関連銘柄は「AIの中身」と「本業の稼ぎ」を分けて見る
AIに関わる対策を掲げ、直近の本決算の営業利益率が17%を超える6社を見てきました。要点は3つです。
- AIに関わる売上は6社とも開示なし。出しているものの中身も、点検・診断、記録・制限、守る側への組み込みと違います。
- 利益を生んでいるのは本業の継続課金や人の仕組み。AIの寄与は、これから各社の本決算で確かめることになります。
- 動画の後に大きな開示が2つ(グローバルセキュリティエキスパートの公開買付け、デジタルアーツの不正アクセス)。動画の時点(2026年10月14日終値)のPBRの位置は、低い方1社・真ん中あたり2社・高い方3社で、動画での個人的な見方は、今の株価でも候補にできると感じたのがデジタルアーツとハンモックの2社でした。これは個人の感想で、売買をすすめるものではなく、デジタルアーツについては公表前の見方です。
セキュリティはニュースで話題になりやすいテーマです。だからこそ、言葉だけでなく、各社の本決算の営業利益率と、AI向けの製品・サービスの開示を確かめていくのがよいと思います。
利益率の高い会社がどんな仕組みで稼いでいるのかを読んだこちらの記事もどうぞ。
⚠️ 注意:この記事は個人の感想で、特定の銘柄の売買や、公開買付けへの応募をすすめるものではありません。株価と指標は2026年10月14日終値で計算していて、日々変わります。業績予想・配当予想は各社の会社予想で、将来を保証するものではありません。投資の判断は、最新の開示を確かめたうえでご自身で行ってください。

