目次
はじめに|日経平均3,318円安の日に、株価が上がった会社
2026年10月15日、日経平均は3,318円安、率にして4.90%の大きな下げでした。TOPIXは2.38%の下げです。そんな日に株価が2%上がった会社があります。企業の固定資産を管理するソフトをつくるプロシップです。
この記事では、10月15日だけでなく、2026年3月、2025年4月、2024年8月の急落でも、下げがTOPIXより小さかった6社を取り上げます。なぜ下げが小さかったのかを事業の形から考え、上がる局面ではどうだったかも数字で確かめます。先に書いておくと、下がりにくい株は上がりにくくもあります。3月の底から10月14日までにTOPIXは17.5%上がりましたが、6社のうち4社はそれを下回っています。
- 株価と、株価から計算する指標(PER・PBR・配当利回り)は2026年10月15日終値です。数字は動画の時点のままです。業績は本決算の数字だけを使っています(四半期のぶれを避け、会社が通期で確定させた数字で比べるため)。
- 上の動画は2026年10月16日に公開したもので、本記事は動画と同じ数字で文章にし、表にまとめました。動画の中の「昨日」は10月15日のことです。
- 動画の公開後に、早稲田アカデミーが業績予想と配当予想を上方修正し、NSDが中間決算を発表しました。数字は差し替えず、該当の節に【2026年10月追記】として足しています。
- 急落に強かった6社の一覧と、4回の急落での下げ
- 6社の選び方(409社から6社へ)
- なぜ下げが小さかったのか(事業の形からの見立て)
- 上がる局面で置いていかれていないか
- 急落に強い株を見るときの注意点

【結論】急落に強かった6社の一覧
先に6社の一覧です。4回の急落での下げと、上がる局面の値動きを並べました。社名を押すと、その会社の解説に飛びます。
| 社名 | 2026/10/15 | 2026年3月 | 2025年4月 | 2024年8月 | 上がる局面 |
|---|---|---|---|---|---|
| TOPIX | −2.38% | −11.48% | −9.98% | −11.30% | +17.5% |
| 第1章 企業や施設が止めにくい仕事 | |||||
| プロシップ 3763 |
+2.0% | −4.0% | +5.8% | −6.4% | +40.4% |
| NSD 9759 |
+1.2% | −3.0% | −6.1% | −4.7% | +9.0% |
| あいHD 3076 |
−0.8% | −5.1% | −6.8% | −7.1% | +11.1% |
| ダイセキ 9793 |
−0.4% | −3.8% | −6.8% | −1.5% | −6.8% |
| 第2章 個人が買い続けるもの | |||||
| 早稲田アカデミー 4718 |
+1.4% | −3.0% | −6.6% | −7.8% | +24.3% |
| ノエビアHD 4928 |
+0.8% | −4.7% | −4.9% | −5.3% | +3.3% |
※2026年3月は2月27日終値から3月23日までの最安の終値まで。2025年4月は週の終値3月28日→4月4日、2024年8月は週の終値7月19日→8月2日(1日の大きな下げと戻りは週の中で相殺されます)。上がる局面は2026年3月23日→10月14日。特定の銘柄の売買をすすめるものではありません。
6社とも4回の急落で下げがTOPIXより小さかった一方、上がる局面でTOPIXを上回ったのはプロシップと早稲田アカデミーの2社だけで、ダイセキはマイナスです。
この記事の物差し|市場の平均と比べる
この回の動画は、PERと配当利回りを東証プライム全銘柄の平均(予想PER16.33倍・予想配当利回り2.50%。日本経済新聞、10月15日)と比べています。各社の過去5年の幅は計算していないので、「自社の過去と比べて安い」とは判定しません。
- PER=株価÷会社予想の1株利益、予想配当利回り=会社予想の1株配当÷株価(10月15日終値)。
- 株価の動き:年初からは2025年12月30日終値比、直近1年の高値は2025年10月16日〜2026年10月15日の日足、5年は2021年9月末比です。
- 「なぜ下げが小さかったのか」:会社が説明しているものではなく、事業の形からの当チャンネルの考えです。
- 開示の確認:記事作成時点(2026年11月1日)までの開示は株探の一覧で確かめました。これからの決算は、早稲田アカデミー11月2日(中間)、ノエビアHD 11月10日(本決算)、プロシップ11月13日(中間)、あいHD 11月16日(第1四半期)の予定です(株探の表示)。
業界の中での立ち位置を調べるなら、業界の主要企業を一覧できる本が手元にあると早いです。毎年8月頃に新しい版が出ます。
10月15日の急落と6社の選び方
動画では0:36からの部分です。10月15日の日経平均は64,425円95銭(−3,318円34銭・−4.90%・6日続落)、TOPIXは3,999.34(−2.38%)でした。下げの理由として、米国9月の消費者物価指数が市場予想を上回ったこと、米国の新興クラウド企業の社債価格の急落でAIインフラ関連に信用不安が広がったこと、半導体株への売りが報じられています(楽天証券トウシル、日本経済新聞)。日経平均は値がさの半導体株の影響を強く受けるため、TOPIXより下げが大きくなりました。
| 条件 | 残った社数 |
|---|---|
| 自己資本比率60%超・営業利益率10%超・時価総額100億〜3,000億円 | 409社 |
| 10月15日の値動きが、TOPIXの下げの半分より小さい下げ、または上昇 | 221社 |
| 2026年3月の急落で、下げがTOPIXの半分より小さい | 57社 |
| 1日の売買代金(中央値)が3,000万円以上 | 30社 |
| 2025年4月と2024年8月でも、下げがTOPIXの7割以下 | 9社 |
| 近い日の回で紹介する会社と業種の重なり(学習塾2社)を除く | 6社 |

第1章|企業や施設が止めにくい仕事の4社
景気が悪くても先送りしにくい仕事を持つ会社です。半導体やAIの景気からは離れたところで稼いでいます。
プロシップ(3763)|固定資産のソフトに、新リース会計の需要
動画では1:31からです。
顧客:あらゆる業種の大企業や中堅企業
注意:PER23.2倍は市場平均より高い
| 業績 | 売上(5期)67億円→84億円・前の期の営業利益率34.9%・今期予想32.5%(営業利益+11.1%) |
|---|---|
| 株価 | 2,109円 |
| PER/利回り | 23.2倍/1.99%(年42円・増配予想) |
| 配当性向 | 前の期45.3%・今期予想46.2% |
| 株価の動き | 年初から+22.7%/直近1年の高値から−16.3%/5年で約2.5倍 |
なぜ下げが小さかったか
2027年4月以降に始まる会計年度から新しいリースの会計の決まりが強制で適用され、企業はその対応を迫られます。景気では先送りできない需要が見込まれているためだと考えられます。会社自身も、世界情勢の影響は限定的と書いています。
気になる点
会計の決まりへの対応が一巡したあとです。PERは23.2倍と市場平均を上回っていて、伸びへの期待がすでに株価に反映されている面もありそうです。
ひとこと
動画では、会計の決まりへの対応が一巡したあとを先に確かめたい会社とお話ししました。来年5月に発表される本決算で、その先の売上の見通しを確かめたいと思います。
NSD(9759)|銀行の基幹システムの更新は途中で止めにくい
動画では3:52からです。
顧客:金融機関、製造業、通信や電力、自治体など。借入金なし
注意:株価は年初から12%下落。AIへの心配が映っているとも読める
| 業績 | 売上(5期)712億円→1,178億円・営業利益率15〜16%台・今期予想15.7%(営業利益+5.4%・9月に上方修正) |
|---|---|
| 株価 | 3,049円 |
| PER/利回り | 17.3倍/3.28%(年100円・増配予想) |
| 配当性向 | 前の期56.3%・今期予想56.6% |
| 株価の動き | 年初から−12%/直近1年の高値から−16.5%/5年で約1.5倍 |
なぜ下げが小さかったか
大手銀行の基幹システムの更新のように、景気が悪くなっても途中で止めにくい仕事が中心だからだと考えられます。顧客も特定の業種に偏っていません。会社は、生成AIによってシステム開発の仕事も大きく変わると見ています。
中間決算の追記
【2026年10月追記】10月29日に中間決算を発表しました。売上623.30億円(前年同期比+10.1%)、営業利益90.63億円(同+10.0%)で、予想は変えていません。
ひとこと
動画では、業績の積み上がりを追いたい会社とお話ししました。来年5月に発表される本決算で、営業利益率15%台を保てたかを確かめたいと思います。
あいホールディングス(3076)|マンションの防犯カメラが利益の半分、配当性向は8割超へ
動画では6:00からです。
顧客:マンション、病院、金融機関、官公庁など
注意:利益率は20%台から12.7%へ低下、今期の配当性向は83%
| 業績 | 売上(5期)471億円→850億円・営業利益率12.7%・今期予想12.8%(営業利益+2.2%) |
|---|---|
| 財務 | 自己資本比率80.8% |
| 株価 | 3,070円 |
| PER/利回り | 18.2倍/4.56%(年140円・増配予想) |
| 株価の動き | 年初から+8.6%/直近1年の高値とほぼ同じ水準/5年で約1.3倍 |
なぜ下げが小さかったか
利益の柱が国内のマンションや官公庁向けの防犯カメラで、海外の景気や半導体とは株価を動かす材料が違う仕事だからだと考えられます。
気になる点
会社の買収で売上を増やしたこともあり、利益率は下がりました。純利益が減る見込みのため、配当性向は55.8%から83%に上がります。
ひとこと
動画では、配当の面に特徴のある会社とお話ししました。来年8月に発表される2027年6月期の本決算で、営業利益率と配当性向を確かめたいと思います。
ダイセキ(9793)|工場が動く限り廃液は出る、ただし上がる局面で唯一のマイナス
動画では8:09からです。
顧客:工場など、廃液や廃油を出す会社
注意:3月の底から−6.8%は6社で唯一のマイナス。5年で3割近く下落
| 業績 | 売上(5期)569億円→718億円・営業利益率20%台・今期予想22.6%(営業利益+15.2%) |
|---|---|
| 株価 | 3,530円 |
| PER/利回り | 14.9倍/2.44%(年86円・増配予想) |
| 配当性向 | 前の期39.3%・今期予想36.3% |
| 株価の動き | 年初から+3.8%/直近1年の高値から−20.2%/5年で3割近く下落 |
なぜ下げが小さかったか
工場が動く限り廃液は出続け、その処理は景気が悪くても外せない仕事だからだと考えられます。相手は国内の工場で、半導体やAIの景気とは値動きの材料が違います。ただし、国内の工場の生産が弱いことは会社自身も書いています。
気になる点
急落の日の下げにくさと、上がる局面での弱さを両方見せた会社です。
ひとこと
動画では、増益の進み方を先に確かめたい会社とお話ししました。来年4月に発表される本決算で、増益が計画どおりかを確かめたいと思います。チャンネルの「稼ぐ力9選」の回(10月10日)でも取り上げています。
第2章|個人が買い続けるものの2社
子どもの受験や、使えば買い直す化粧品を売る会社です。
早稲田アカデミー(4718)|少子化の中で塾生が増える、動画の後に上方修正と増配
動画では10:08からです。
顧客:首都圏で難関校の受験を目指す小中高生と保護者
追記:10月26日に業績予想と配当予想を上方修正
| 業績 | 売上(5期)286億円→377億円・営業利益率6.4→10.5%・今期予想10.5%(営業利益+7%・動画の時点) |
|---|---|
| 株価 | 2,529円 |
| PER/利回り | 16.5倍/2.97%(年75円・20円の増配予想) |
| 配当性向 | 前の期40.9%・今期予想48.8% |
| 株価の動き | 年初から+11.2%/直近1年の高値から−4.7%/5年で約2.6倍 |
なぜ下げが小さかったか
受験の日は決まっていて、子どもの塾通いは景気が悪くなってもすぐには止めにくい支出だからだと考えられます。会社は少子化で市場が縮むと書いています。
上方修正の追記
【2026年10月追記】10月26日、通期の予想を売上409億円・営業利益47.7億円(従来405.2億円・42.39億円。予想の営業利益率は10.5%から約11.7%へ)に引き上げました。理由は塾生数が計画を上回ったこと、夏期合宿の好調、費用の一部を下期に変更したことなどです。配当予想も年75円から85円に増額しました(表は動画の時点の75円のままです)。動画と同じ2,529円で計算すると、利回りは約3.36%です。中間決算は11月2日の予定です。
ひとこと
6社の中で、急落での下げにくさと上がる局面での強さが両立していた会社です。少子化の影響は長い目で見ておく必要があると思います。
ノエビアホールディングス(4928)|対面で売る化粧品、利益のほぼ全部を配当に
動画では12:14からです。
顧客:化粧品を使う個人
注意:配当性向95.8%で増配の余地は小さい
| 業績 | 売上(5期)513億円→647億円・営業利益率16〜17%台・9月に終わった2026年9月期の予想17.5%(営業利益+2.9%) |
|---|---|
| 株価 | 4,680円 |
| PER/利回り | 19.5倍/4.91%(年230円) |
| 配当性向 | 前の期97.8%・2026年9月期の予想95.8% |
| 株価の動き | 年初から+2.2%/直近1年の高値から−7.7%/5年で1割あまり下落 |
なぜ下げが小さかったか
使えば買い直す化粧品を販売代理店が対面で売っていて、売上が景気で大きく振れにくいためだと考えられます。利回りの高さが株価の支えになっている面もありそうです。
気になる点
3月の底からの上昇は3.3%と、TOPIXに大きく遅れています。
ひとこと
動画では、配当の面に特徴がある一方で増配の余地は小さい会社とお話ししました。11月10日の本決算で、来期の配当予想を確かめたいと思います。

急落に強い株を見るときの3つの注意点
動画の最後(14:27から)で話した点です。
- 下がりにくい株は、上がりにくくもあります。3月の底から10月14日までにTOPIXは17.5%上がり、6社のうち4社はそれを下回りました。
- 10月15日に売られたのは半導体やAI関連が中心でした。6社がその材料から離れていたことも、下げが小さかった理由の一つと考えられます。別の理由の急落では違う動きになるかもしれません。
- 過去の値動きが、この先も続くとは限りません。4回とも下げが小さかったのは事実ですが、次の急落でも同じだという保証はありません。
まとめ|強さの理由と、上がる局面の弱さをセットで読む
要点は3つです。
- 4回の急落で下げがTOPIXより小さかった6社を、企業や施設が止めにくい仕事と、個人が買い続けるものに分けて見ました。
- 理由は事業の形から考えられますが、会社が説明しているわけではありません。
- 上がる局面でTOPIXを上回ったのは2社だけで、下がりにくい株は上がりにくい傾向も見られました。
動画の後の開示では、早稲田アカデミーが上方修正と増配、NSDは予想を変えない中間決算でした。相場が崩れたときに慌てないために、下げに強い理由を押さえておくのは役に立つと思います。ただ、株価の動きだけで決めず、会社の数字を確かめてください。
同じ10月15日の急落で大きく売られた会社を、自社の過去と比べて読んだ記事もどうぞ。増益予想なのに株価が安い日本株6選
⚠️ 注意:この記事は個人の感想で、特定の銘柄の売買をすすめるものではありません。株価と指標は2026年10月15日終値で計算していて、日々変わります。下げが小さかった理由は当チャンネルの考えで、会社の説明ではありません。過去の値動きが今後も続くとは限りません。業績予想・配当予想は各社の会社予想で、今後の決算発表で変わることがあります。投資の判断は、最新の開示を確かめたうえでご自身で行ってください。

