世界一の日本企業9選|AIサーバーの紙から目の手術のメスまで、見えないところの首位をシェアの出どころと利益率で読む【2026年10月時点】

企業研究

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目次

はじめに|見えないところの世界一は、本当に稼いでいるのか

AIサーバーの電子部品の中の紙、半導体のウエハーを磨くパッド、目の手術のメス、医薬品を精製するシリカゲル。身近なモノの見えないところに、世界シェアの首位や過半を握る日本企業があります。世界一なら価格交渉力も強く、利益率も高いはずです。

この記事では、世界シェアの首位や過半を会社の資料や報道で確かめられ、同じ業種の中で営業利益率が上位3割、この5期に営業赤字がなく売上が5期前より増えている9社を取り上げます。一社ずつ、シェアの数字の出どころ、なぜ世界で勝てるのか、株価がその会社自身の過去5年と比べてどのあたりにあるかを見ていきます。先に書いておくと、世界シェアの数字はどれも会社自身の数字で、第三者の調査ではありません(マニーの首位は日本経済新聞の報道によります)。

世界シェアが高い会社を広く集めた回は、世界シェアが高い日本企業9選|「世界一」は2社だけ、減益4社も含めてシェアと利益を読む【2026年8月時点】にまとめています。今回は別の9社で、部品や素材、工場の裏側など、製品が目に触れにくい会社に絞っています。

数字の基準日と、動画との関係
  • 株価と、株価から計算する指標(PER・PBR・配当利回り)、過去5年のPBRの位置は2026年10月2日終値です。動画の公開から日がたっていますが、数字は動画の時点のままです。業績は本決算の数字だけを使っています(四半期のぶれを避け、会社が通期で確定させた数字で比べるため)。
  • 上の動画は2026年10月7日に公開したもので、本記事は動画と同じ数字で文章にし、表にまとめました。
  • 動画の公開後に、ニッポン高度紙工業とフジボウホールディングスが業績予想と配当予想を上方修正し、マニーが本決算を発表しました。湖北工業は東証プライムに移りました。数字は差し替えず、該当の節に【2026年10月追記】として足しています。
この記事で分かること
  • 見えないところで世界の首位や過半を握る9社の一覧
  • 世界シェアの数字の出どころと、どの製品に限った数字か
  • なぜ世界で勝てるのか、各社の強みと利益率
  • 過去5年のPBRで見た、9社の株価の位置
  • 世界一の会社を見るときに確かめたい3つの点
大隈重信
「世界一」と聞いたら、誰が言うておるのか、何の中での一番かを問うのじゃ。

【結論】世界一の日本企業9社の一覧

先に9社の一覧です。世界シェアと出どころ、直近の本決算の営業利益率、PER、配当利回り、株価がその会社自身の過去5年のPBRの中でどのあたりにあるかを並べました。社名を押すと、その会社の解説に飛びます。

社名 世界シェアと出どころ 営業利益率 PER/利回り PBRの位置
第1章 スマホ・AIの裏側
ニッポン高度紙工業
3891
コンデンサの紙 約70%
会社調べ
19.0% 18.4倍/1.5% 高値圏
フジボウHD
3104
ソフトパッド 80%
会社推定
17.7% 17.2倍/2.4% 高値圏
湖北工業
6524
駆動系向けリード端子 95%
海底ケーブル用光アイソレータ 50%以上
会社推定・会社発表
26.5% 32.3倍/0.7% 高値圏
上場から
メック
4971
基板の密着の薬 世界1位
会社調べ
27.4% 21.9倍/1.5% 高値圏
第2章 暮らしの裏側
マニー
7730
眼科ナイフ 30%
会社発表・首位は日経の報道
27.3% 20.9倍/2.8% 安値圏
大阪ソーダ
4046
医薬品精製用シリカゲル 70%
会社発表
17.6% 16.7倍/1.5% 真ん中あたり
日精エー・エス・ビー機械
6284
飲料以外の容器の成形機 世界1位
会社発表
24.4% 13.6倍/2.9% 高値圏
第3章 工場の裏側
TEIKOKU
6333
無公害キャンドモータポンプ 世界首位
会社発表
17.1% 14.6倍/3.7% 高値圏
西部技研
6223
VOC濃縮装置 世界トップ
会社発表
13.2% 9.7倍/3.6% 真ん中あたり
上場から

※2026年10月2日終値。営業利益率は直近の本決算。追記の修正・本決算は表に反映していません。特定の銘柄の売買をすすめるものではありません。

9社とも営業利益率は業種の上位3割に入っていて、世界一という言葉と利益率の高さは、この9社では合っていました。ただ、株価はすでに評価されている会社が多く、過去5年のPBRと比べると高い方が6社、真ん中あたりが大阪ソーダと西部技研、低い方がマニーです。また、シェアの多くは製品や用途を絞った数字で、会社全体のシェアではありません。

この記事の物差し|シェアは「出どころ」、株価は「過去5年」

シェアは数字だけでなく、会社調べか、会社推定か、会社の発表かという出どころを各社の表に書きました。株価の高い安いは、その会社自身の過去5年のPBRと比べます。この見方は、PBR1倍割れの割安株9選|財務と稼ぐ力で絞った9社を「安い3つの理由」で読む【2026年9月時点】でも使っています。

この記事の数字の決まり
  • PER=株価÷会社予想の1株利益、PBR=株価÷直近の本決算の1株純資産、予想配当利回り=会社予想の1株配当÷株価。「時価総額」は9月時点の計算を株価の比で動かした概算です(当チャンネル計算)。
  • PBRの過去5年:2021年10月以降の月末終値を、その時点の直近の本決算の1株純資産で割った値(分割調整・当チャンネル計算)。上場5年未満の湖北工業・西部技研は上場から。幅の最低と最高は動画の制作時の計算で、「計算上の株価」は今の1株純資産×中央値の試算です。株価の予想ではありません。
  • 株価の動き:直近5年は2021年9月末比、上場5年未満の湖北工業・西部技研は上場初値比です。1株配当は株式分割を調整した金額です。
  • 今期の営業利益率は、会社予想の営業利益÷売上高から当チャンネルが計算しました。
  • 開示の確認:記事作成時点(2026年10月31日)まで、10月2日より後の業績予想・配当予想の修正は、追記した2社です。本決算はマニーが10月15日に発表済みです。これからの決算は、TEIKOKU・西部技研11月9日、メック・日精エー・エス・ビー機械11月11日(日精は本決算)、湖北工業11月12日の予定です(株探の表示)。大阪ソーダの日付は確かめられていません。

業界の中での立ち位置を調べるなら、業界の主要企業を一覧できる本が手元にあると早いです。毎年8月頃に新しい版が出ます。

9社の選び方|258社から9社へ

動画では0:20からの部分です。同じ業種の中で営業利益率が上位3割、この5期に営業赤字がなく売上が5期前より増えている258社から、世界シェアの首位や過半を、会社の資料や報道で確かめられる9社を選びました。動画と概要欄では「5期続けて黒字で増収」としていますが、正しくは5期前と比べた増収で、5期連続の増収はマニーと西部技研の2社です。製品が使われる場所で、次の3つの章に分けています。

  • 第1章:スマホやAIサーバーの裏側の4社
  • 第2章:目の手術や薬、化粧品のボトルなど、暮らしの裏側の3社
  • 第3章:工場で液体や空気を扱う2社
大隈重信
数字の出どころを確かめる癖をつければ、会社の資料の読み方が変わるぞ。

第1章|スマホ・AIの裏側の4社

動画では0:52からの部分です。

ニッポン高度紙工業(3891)|コンデンサの紙で約70%、株価は追い風をかなり先取り

何の会社か:アルミ電解コンデンサの中でプラスとマイナスの電極を隔てる紙(セパレータ)をつくる(高知市)
世界シェア:約70%(2024年3月期・会社調べ。その後の資料に%の更新なし)
株価の位置:PBR2.95倍で過去5年の上位1割に入る高さ
市場・従業員 東証スタンダード・連結462名
売上高(5期・3月期) 180.7→175.9→148.3→160.3→186.2億円(連結)
営業利益率 22.5→18.9→11.6→15.3→19.0%(パルプ・紙11社中1位)
動画時点の今期予想 売上240億円・営業利益60億円(+69.8%)・営業利益率25.0%(10月29日に修正。下の追記)
株価/時価総額 7,340円/約770億円
PER/PBR 18.4倍(会社予想)/2.95倍
PBRの過去5年 0.78倍(2025年6月)〜3.91倍(2026年6月)・中央値1.07倍=高値圏。計算上の株価は約2,700円
予想配当利回り 1.5%(年110円)。配当性向40%目標・DOE3%下限
1株配当 30→50→50→60→90円→予想110円(この5期で減配なし)
株価の動き 年初から+114.3%/直近1年の高値11,110円(2026年6月)から−33.9%/5年で約2.3倍

強み|相反する条件に応える紙

売上の75.3%がこの紙です。電極が触れ合わないよう目を細かくしつつ、電解液をためるすき間も残す必要があり、会社は密度の違う紙を1枚に重ねる技術で応えています。主力品は王子エフテックスを通して販売する契約で、同社向けが売上の64.2%です。

追い風と気になる点

会社が示す調査では、サーバーに占めるAIサーバーの比率は12%(2024年)から27%(2029年予測)に高まる見込みです(富士キメラ総研の調査を基に会社作成)。一方で5期の売上はほぼ横ばいで、2024年3月期には在庫調整で利益率が11.6%まで下がりました。

【2026年10月追記】10月29日、通期の業績予想を売上260億円・営業利益75億円(前期比+112%。当ブログ計算)に、配当予想を年110円から160円に引き上げました。理由はAIサーバー・データセンター関連の好調などです。あわせて、約150億円を投じて生産能力を約1.3倍にする設備増設を決議しました(2028年12月稼働予定)。修正後の1株利益521.44円で、動画と同じ7,340円を計算すると、PERは約14.1倍、利回りは約2.18%です。表は動画の時点のままです。

株価の位置とひとこと

世界の7割という強さは業種1位の利益率に表れていると思います。動画での個人的な見方は、株価が追い風の伸びをかなり先取りしていて、今すぐに購入を検討する銘柄ではない、というものでした。これは上方修正の前の見方です。

フジボウホールディングス(3104)|肌着の会社が、半導体を磨いて利益の78%

動画では3:17からです。

何の会社か:半導体のウエハーを平らに磨く研磨パッドが主力。もとは糸や肌着の繊維の会社(東京都中央区)
世界シェア:仕上げ用のソフトパッドで80%(会社推定)。硬いハードパッドでは後発と会社が書く
株価の位置:PBR2.26倍で過去5年の高値圏
市場・従業員 東証プライム・連結1,324名
売上高(5期・3月期) 359.2→376.7→361.1→429.1→459.3億円(連結)
営業利益率 16.4→12.9→7.8→15.1→17.7%(研磨材事業は28.3%)
動画時点の今期予想 売上549億円・営業利益99億円(+21.6%)・営業利益率18.0%(10月30日に修正。下の追記)
株価/時価総額 3,460円/約1,170億円
PER/PBR 17.2倍(会社予想)/2.26倍
PBRの過去5年 0.80倍(2023年5月)〜2.80倍(2026年4月)・中央値1.19倍=高値圏。計算上の株価は約1,800円
予想配当利回り 2.4%(年84円)。配当性向40%目標・DOE3.5%下限
1株配当 36.67→36.67→36.67→43.33→60円→予想84円(分割後。この5期で減配なし)
株価の動き 年初から+25.4%/直近1年の高値4,625円(2026年7月)から−25.2%/5年で約2.4倍

強み|繊維の技術を研磨に

研磨材が売上の49.1%、営業利益の78.4%を占めます。会社は、不織布や人工皮革をつくる技術と、染色から生まれた化学の知見を応用したと説明しています。先端半導体の広がりでパッドも伸びると見て、研磨材の売上を2030年度に335億円まで増やす計画です(2025年度見込みは214億円)。

気になる点|半導体の在庫調整

利益の約8割が研磨材なので、半導体の在庫調整がそのまま響きます。2024年3月期には研磨材の利益が61.5%減り、会社全体の利益率は7.8%まで下がりました。

【2026年10月追記】10月30日、通期の業績予想を売上554億円・営業利益105億円(前期比+28.9%。当ブログ計算)に、配当予想を年84円から87円に引き上げました。研磨材事業でAI関連向け先端半導体の需要が増えたことなどが理由です。修正後の1株利益213.49円で、動画と同じ3,460円を計算すると、PERは約16.2倍、利回りは約2.51%です。

株価の位置とひとこと

研磨材の利益率にソフトパッドの強さが表れていると思います。動画での個人的な見方は、ハードパッドはこれからで、株価も過去5年の高いところなので今は様子見、というものでした。

湖北工業(6524)|利益の8割強は海底ケーブルの部品、PERとPBRは9社で最も高い

動画では5:37からです。

何の会社か:コンデンサの足にあたるリード端子と、光を一方向にだけ通す光アイソレータが中心の光部品をつくる(滋賀県長浜市)
世界シェア:車の駆動系向けに限ったリード端子で95%(会社推定)、海底ケーブル向け光アイソレータで50%以上(会社発表)
株価の位置:PBR6.37倍で上場からの上位1割ほど
市場・従業員 動画時点は東証スタンダード(10月26日にプライムへ)・連結1,710名。2021年12月上場
売上高(5期・12月期) 146.2→156.7→134.7→159.2→174.5億円(連結)
営業利益率 28.2→24.8→20.9→24.7→26.5%
今期の会社予想 売上222.4億円・営業利益67.5億円(+46.1%)・営業利益率30.4%(2026年8月に上方修正)
株価/時価総額 5,760円/約1,490億円
PER/PBR 32.3倍(会社予想)/6.37倍
PBRの上場から 2.01倍(2024年2月)〜9.10倍(2021年12月)・中央値3.69倍=高値圏。計算上の株価は約3,300円
予想配当利回り 0.7%(年40円)。配当性向30%目標・DOE3%以上
1株配当 18.33→18.33→20→30→33円→予想40円(分割後。上場後減配なし)
株価の動き 年初から+86.7%/直近1年の高値7,740円(2026年5月)から−25.6%/上場初値から約3.3倍

強み|深さ8,000メートルで25年

海底ケーブルの部品には、深さ8,000メートルの海底で25年間故障しないことが求められ、会社はその実績を積み上げてきました。営業利益の83.4%は光部品です。会社は、米国のクラウド大手の設備投資を背景に、海底ケーブルへの投資は増え続けていると説明しています。

気になる点|顧客は限られた敷設会社

ケーブルを敷く会社の上位2社(Alcatel Submarine Networks 20.0%・SubCom 16.5%)で売上の36.4%を占めます(合計が合わないのは端数のためです)。社長と資産管理会社で61.8%を持っています。

【2026年10月追記】10月26日付で東証プライムに移りました。会社は、流通株式比率が2026年6月末で38.08%と、プライムの上場維持基準(35%以上)に近い水準だと説明しています。

株価の位置とひとこと

動画での個人的な見方は、海底ケーブルの追い風は続きそうでも期待はかなり株価に乗っているので、今は様子見、というものでした。

メック(4971)|基板の銅と樹脂を密着させる薬で世界1位、使うほど減る消耗品

動画では7:58からです。

何の会社か:半導体を載せる基板の銅の表面を細かくザラザラにして、樹脂がはがれないようにする薬をつくる(兵庫県尼崎市)
世界シェア:この密着のための薬で世界1位(会社調べ。%は資料になし)
株価の位置:PBR4.31倍で過去5年の上位1割強。高値から4割下げた今でも高値圏
市場・従業員 東証プライム・連結508名
売上高(5期・12月期) 150.4→163.3→140.2→182.3→209.5億円(連結)
営業利益率 26.2→24.5→17.8→25.0→27.4%
今期の会社予想 売上258億円・営業利益83億円(+44.4%)・営業利益率32.2%
株価/時価総額 7,200円/約1,320億円
PER/PBR 21.9倍(会社予想)/4.31倍
PBRの過去5年 1.60倍(2025年3月)〜6.51倍(2026年6月)・中央値2.88倍=高値圏。計算上の株価は約4,800円
予想配当利回り 1.5%(年110円)。配当性向35%以上かつDOE4.0%以上
1株配当 35→45→45→45→96円→予想110円(この5期で減配なし)
株価の動き 年初から+41.2%/直近1年の高値12,230円(2026年5月)から−41.1%/5年で約2.2倍

強み|30年以上の実績と消耗品

主力のCZシリーズは売上の3分の2程度です。会社は、30年以上使われてきてこの薬が原因の不具合はゼロだと説明しています。はがれが許されない基板では、実績が選ばれる理由になります。しかも使うほど減る消耗品で、大きく層の多いAI向けの基板ほど使う量が増えます。

気になる点|在庫調整の波

2023年12月期は電子機器の在庫調整で利益率が17.8%まで下がりました。今年12月に北九州市の新しい工場を動かす予定です。

株価の位置とひとこと

動画での個人的な見方は、AI向け基板の追い風は続きそうでも、大きく下げた今もPBRは過去5年の高い方なので今は様子見、というものでした。

大隈重信
良い話はもう値段に入っておるかもしれん。業績とPBRを並べて見るのじゃ。

第2章|暮らしの裏側の3社

動画では10:08からの部分です。

マニー(7730)|目の手術のナイフで世界一を問い続ける、9社で唯一PBRが低い方

何の会社か:眼科ナイフ、傷を縫う針、歯の根の治療器具が3本柱の小さな医療機器メーカー(宇都宮市)。8割以上を海外で稼ぐ
世界シェア:眼科ナイフで30%(2026年8月の説明会資料・会社発表。前年の統合報告書では約35%)。首位は日本経済新聞の報道による
株価の位置:PBR2.65倍で過去5年の安値圏
市場・従業員 東証プライム・連結4,140名
売上高(5期・8月期) 171.9→204.2→244.9→285.1→299.7億円(連結)
営業利益率 31.1→30.2→29.6→29.4→27.3%
動画時点の予想(2026年8月期) 売上329億円・営業利益97億円(+18.4%)・営業利益率29.5%(10月15日に本決算。下の追記)
株価/時価総額 1,443円/約1,420億円
PER/PBR 20.9倍(予想)/2.65倍
PBRの過去5年 2.16倍(2025年4月)〜4.90倍(2022年11月)・中央値3.69倍=安値圏。計算上の株価は約2,000円
予想配当利回り 2.8%(年41円)
1株配当 23→30→35→39→39円→予想41円(この5期で減配なし)
財務 自己資本比率92.4%(2025年8月期)・実質無借金
株価の動き 年初から−0.6%/直近1年の高値1,955円(2026年4月)から−26.2%/5年で3割ほど下

強み|針金の加工と、世界一以外を目指さない経営

売上はサージカル30.9%、アイレス針37.3%、デンタル31.7%とほぼ3等分です。針金を加工する技術を眼科ナイフにも生かしていて、直径0.14ミリ以下の縫合針を量産できるのは世界で自社だけだとしています。大きな市場には入らず、世界一の品質以外は目指さないと決めていて、自社の製品が今も世界一かを会議で問い直しています。

気になる点|利益率の低下

営業利益率は5期続けて少しずつ下がり、2025年8月期は中国でのダイヤバーの自主回収で営業減益でした。会社は2029年8月期に営業利益率32%を目指しています。

【2026年10月追記】10月15日に2026年8月期の本決算を発表しました。売上高330億円(+10.2%)、営業利益99億円(+21.4%)、営業利益率30.1%で、動画時点の予想を上回りました(億円は四捨五入で、増減率と利益率は百万円単位の数字によります)。配当は年41円です。2027年8月期の会社予想は売上365億円(+10.5%)・営業利益108億円(+8.6%)・1株利益77.17円・配当42円です。1株純資産は598.94円になりました。動画と同じ1,443円で計算すると、PERは約18.7倍、PBRは約2.41倍、利回りは約2.91%です(当ブログ計算)。

株価の位置とひとこと

株価が中央値を下回るのは、成長への期待がしぼんだ分だと思います。動画での個人的な見方は、利回りも悪くなく株価も低めで、高齢化で需要が廃れる分野でもないので、長期で持つ候補としてはあり、というものでした。

大阪ソーダ(4046)|医薬品用シリカゲルで70%、売上15%で利益の4割近く

動画では12:55からです。

何の会社か:基礎的な化学品から、医薬品を精製するシリカゲルまで手がける化学メーカー(大阪市北区)
世界シェア:医薬品精製用シリカゲルで70%(2026年9月の資料・会社発表)。用途はインスリンやGLP-1など
株価の位置:PBR1.96倍で過去5年の真ん中あたり
市場・従業員 東証プライム・連結1,032名
売上高(5期・3月期) 880.8→1,042.1→945.6→964.3→999.6億円(連結)
営業利益率 14.1→14.9→11.1→13.7→17.6%
今期の会社予想 売上1,080億円・営業利益205億円(+16.3%)・営業利益率19.0%(8月の上方修正の主な理由は別の化学品の市況と円安)
株価/時価総額 2,036円/約2,500億円
PER/PBR 16.7倍(会社予想)/1.96倍
PBRの過去5年 0.77倍(2021年11月)〜2.95倍(2024年2月)・中央値1.80倍=真ん中あたり
予想配当利回り 1.5%(年30円)。累進配当(2001年度以降、減配なし)
1株配当 16→18→18→19→28円→予想30円(分割後)
株価の動き 年初から−6.0%/直近1年の高値2,534円(2026年2月)から−19.7%/5年で約3.8倍

強み|粒と穴の大きさを揃える製法

売上は基礎化学品41.8%、機能化学品27.9%、ヘルスケア14.6%などです。ヘルスケアは売上の15%ほどでセグメント利益の37.8%を稼ぎ、利益率は48.9%あります。医薬品用は小さな球に無数の穴を開けたもので、粒と穴の大きさを揃える独自の製法が参入の壁だと会社は説明しています。新興国で参入の動きはあるものの、生産能力をさらに約2倍にします。

気になる点|売上の4割は基礎化学品

売上の4割は、競合で値段が動きやすいと会社自身が説明する基礎化学品です。

株価の位置とひとこと

動画での個人的な見方は、肥満症の薬という追い風があり株価も過去5年の真ん中あたりなので、ヘルスケアが利益の柱に育つなら検討の余地はある水準、というものでした。

日精エー・エス・ビー機械(6284)|機械を売ったあとも金型で稼ぐ

動画では15:22からです。

何の会社か:化粧品や医薬品などのプラスチック容器をつくる成形機と専用の金型をつくる(長野県小諸市)。約9割が海外
世界シェア:飲料以外の容器の成形機で世界1位(会社発表)。1ステップ機で6割超(会社推定)
株価の位置:PBR2.11倍で過去5年の上位1割ほど
市場・従業員 東証プライム・連結2,177名
売上高(5期・9月期) 358.9→302.8→348.0→367.8→436.5億円(連結)
営業利益率 24.3→18.4→20.6→21.5→24.4%
9月に終わった期の会社予想 売上500億円・営業利益130億円(+22.2%)・営業利益率26.0%。本決算は11月11日の予定
株価/時価総額 8,270円/約1,240億円
PER/PBR 13.6倍(会社予想)/2.11倍
PBRの過去5年 1.13倍(2021年11月)〜2.38倍(2026年5月)・中央値1.47倍=高値圏。計算上の株価は約5,800円
予想配当利回り 2.9%(年240円)。配当性向40%が目途
1株配当 100→100→120→150→200円→予想240円(この5期で減配なし)
株価の動き 年初から+31.7%/直近1年の高値10,280円(2026年7月)から−19.6%/5年で約2.1倍

強み|容器の形を変えるたびに金型

売上は成形機51.6%、金型29.2%です。顧客は容器の形を変えるたびに、専用の金型をこの会社から買い直します。会社はこれをビジネスモデルの肝と呼んでいます。

気になる点|為替と設備投資の波

売上の約9割が海外で、為替や設備投資の波を受けます。2022年9月期にはコロナ特需の反動で減収でした。受注残高は過去最高で、次の目標は売上600億円です。

株価の位置とひとこと

動画での個人的な見方は、受注の勢いはあってもPBRは過去5年の高いところなので今は様子見、というものでした。

大隈重信
売ったあとに何が売れ続けるか。そこに商売の肝があるのじゃ。

第3章|工場の裏側の2社

動画では17:26からの部分です。

TEIKOKU(6333)|漏れないポンプで世界首位、9社で利回り最高、今期は1円の減配予想

何の会社か:旧 帝国電機製作所。ポンプとモーターを一体にして液を閉じ込めるキャンドモータポンプをつくる(兵庫県たつの市)。会社によると、すべてのJR新幹線に載る
世界シェア:無公害キャンドモータポンプで世界首位(会社発表。%は資料になし)
株価の位置:PBR1.74倍で、ほぼ過去5年で最も高い
市場・従業員 東証プライム・連結1,145名
売上高(5期・3月期) 222.4→284.5→292.2→305.5→290.9億円(連結)
営業利益率 11.2→17.7→16.7→19.8→17.1%
今期の会社予想 売上310.1億円・営業利益50.2億円(+0.7%)・営業利益率16.2%
株価/時価総額 3,565円/約550億円
PER/PBR 14.6倍(会社予想)/1.74倍
PBRの過去5年 0.90倍(2022年1月)〜1.76倍(2023年11月)・中央値1.52倍=高値圏。計算上の株価は約3,100円
予想配当利回り 3.7%(年132円)。3年累計で総還元性向100%が方針
1株配当 50→116→92円(減配)→110→133円→予想132円
株価の動き 年初から+16.1%/直近1年の高値とほぼ同じ水準/5年で約2.5倍

強み|実績に裏付けられた信頼

売上の75.3%が海外で、最大は中国の27.3%です。安全が最優先の現場では、実績に裏付けられた信頼がないと採用されないと会社は説明しています。

気になる点|米国の反動と中国の低迷

前の期は米国の大型案件の反動と中国の低迷で減収減益で、今期もコストの上昇でほぼ横ばいの計画です。会社は、米国は回復傾向、インドも伸びる一方、中国は低迷に加えて競争が激しくなっていると説明しています。

株価の位置とひとこと

動画での個人的な見方は、今は様子見で米国の回復を待つ段階で、この利回りなら配当を受け取りながら待つ考え方もできる、というものでした。

西部技研(6223)|VOC濃縮装置で世界トップ、主力の除湿機は2番手で唯一の減益計画

動画では19:38からです。

何の会社か:蜂の巣状の円盤を回して空気中の水分や有機溶剤を吸い取る装置をつくる(福岡県古賀市)
世界シェア:VOC濃縮装置で世界トップ(会社発表)。売上の6割近い除湿機では欧州の競合がトップで自社は2番手
株価の位置:PBR1.20倍で上場からの真ん中あたり。PER・PBRは9社で最も低い
市場・従業員 東証スタンダード・連結785名。2023年10月上場
売上高(5期・12月期) 174.0→248.9→287.2→320.7→343.2億円(連結)
営業利益率 10.6→18.5→15.0→12.6→13.2%
今期の会社予想 売上360.5億円・営業利益40.3億円(−11.0%)・営業利益率11.2%
株価/時価総額 1,942円/約385億円
PER/PBR 9.7倍(会社予想)/1.20倍
PBRの上場から 1.05倍(2025年4月)〜2.62倍(2023年10月)・中央値1.23倍=真ん中あたり
予想配当利回り 3.6%(年70円)。配当性向40%以上が目標
1株配当 上場後60→70→70円→予想70円(上場後減配なし)
株価の動き 年初から+16.7%/直近1年の高値2,650円(2026年2月)から−26.7%/上場初値から3割近く下

強み|世界に先駆けた濃縮ローター

会社は世界に先駆けて、吸着剤を使った濃縮ローターを商品化しました。溶剤を濃くしてから燃やすので、燃やす装置を小さくできます。

気になる点|中国向けの減少と投資

5期で売上は約2倍になりましたが、利益率の高かった中国向けの除湿機が減り、営業利益率はピークの18.5%(2022年12月期)から12〜13%台に下がりました。今期は人材やITへの投資で9社で唯一の減益計画です。会社は、EVの需要の鈍化で電池工場への投資は停滞する一方、データセンターや半導体の工場向けは需要が広がっていると説明しています。

株価の位置とひとこと

動画での個人的な見方は、減益はある程度株価に表れていると思うので、配当を受け取りながら利益率の回復を待つ考え方もできる、というものでした。

大隈重信
主力で一番とは限らぬ。一番の製品が、売上のどれだけかを見るのじゃ。

世界一の会社を見るときに確かめたい3つの点

動画の最後(22:00から)でも触れた点を、9社に当てはめます。

確かめる点 9社で見ると
① 市場が広がっているか AIサーバー・先端半導体・海底ケーブル・肥満症の薬は追い風の説明がある。EV向けは鈍化の説明(西部技研)。中国の低迷(TEIKOKU)
② 高い利益率が保たれているか 在庫調整で下がった年がある(高度紙・フジボウ・メック)。少しずつ下がってきた(マニー)、ピークから下がった(西部技研)
③ 顧客や用途が偏っていないか 湖北工業は上位2社で36.4%、高度紙は1社を通す販売が64.2%。フジボウは利益の約8割が研磨材

あわせて、シェアは製品や用途を絞った数字が多い点にも注意が必要です。湖北工業の95%は駆動系向け、フジボウの80%はソフトパッド、西部技研のトップはVOC濃縮装置で、主力の除湿機では2番手です。

まとめ|世界一の日本企業は「出どころ」と「稼ぎ」と「株価」で分けて見る

見えないところで世界の首位や過半を握る9社を見てきました。要点は3つです。

  • シェアの数字はどれも会社自身のもので、製品や用途を絞った数字が多くあります。
  • 営業利益率は9社とも業種の上位3割で、世界一という言葉と稼ぐ力は合っていました。動画の公開後にも、高度紙とフジボウが上方修正、マニーが予想を上回る本決算と続いています。
  • 株価は過去5年のPBRで、高い方6社・真ん中あたり2社・低い方1社(2026年10月2日終値)。動画での個人的な見方は、長期で持つ候補1社(マニー)、検討の余地がある水準1社(大阪ソーダ)、配当を受け取りながら待つ考え方もできる2社(TEIKOKU・西部技研)、今は様子見4社(フジボウ・湖北工業・メック・日精エー・エス・ビー機械)、今すぐに購入を検討する銘柄ではない1社(高度紙)でした。動画の後の開示を踏まえたものではありません。

世界一でも、株価がいつも上がるわけではありません。何の中での一番で、それが利益のどこに効いているかまで見ると、同じ「世界一」でも見え方が変わると思います。

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⚠️ 注意:この記事は個人の感想で、特定の銘柄の売買をすすめるものではありません。株価と指標は2026年10月2日終値で計算していて、日々変わります。世界シェアは各社の資料の数字で、第三者の調査ではありません。計算上の株価は株価の予想ではありません。業績予想・配当予想は各社の会社予想で、今後の決算発表で変わることがあります。投資の判断は、最新の開示を確かめたうえでご自身で行ってください。

大隈重信
誰が言うたか、何の中での一番か、利益に効いておるか。その三つを問えば、企業研究も株選びも一段深くなるぞ。