目次
はじめに|金利が上がると不動産株は苦しい。でも業種まるごとの話なのか
金利が上がると不動産は苦しい、とよく言われます。2026年は実際に、9月4日の時点で東証33業種のうち不動産業だけが年初来で6.6%下がり、最下位でした。TOPIXは年初来で20%上がっていました。ただ、指数の中身を調べると、下げの多くは大手3社によるものでした。
この記事では、不動産業に分類される上場130社から、在庫を積んで売る型ではなく、有利子負債が自己資本の1.3倍未満、営業利益率が上位3割、直近の本決算が増収・営業増益で配当を出している5社を取り上げます。金利が不動産会社に効く経路を5つに分けたうえで、その経路がこの5社にどこまで届くのかを見ていきます。先に書いておくと、5社とも金利の影響がないわけではありません。エリアリンクは金利がはっきり効いていて、それを賃料で取り返している会社です。
- 株価と、株価から計算する指標(PER・PBR・配当利回り)は2026年9月4日終値です。動画の公開から日がたっていますが、数字は動画の時点のままです。業績は本決算の数字だけを使っています(四半期のぶれを避け、会社が通期で確定させた数字で比べるため)。
- 上の動画は2026年9月12日に公開したもので、本記事は動画と同じ数字で文章にし、表にまとめました。
- 動画の公開後に、エリアリンクが連結決算に移って業績予想を出し直し、テーオーシーが配当予想を10円から11円に引き上げ、京阪神ビルディングが中間決算を発表しました。数字は差し替えず、該当の節に【2026年10月追記】として足しています。
- 金利上昇に強い不動産株として選んだ5社の一覧
- 金利が不動産会社に効く5つの経路
- 持たない・すぐ値上げできる・借りていない(借り方が固まっている)、3つの型の違い
- 各社に残っている金利の効き方と、気をつけたい点
- 130社を集計しなおして分かった、不動産業の下げの中身

【結論】金利上昇に強い不動産株5社の一覧
先に5社の一覧です。金利への備えの型、有利子負債が自己資本の何倍か(D/E)、営業利益率、PER・PBR、配当利回りを並べました。社名を押すと、その会社の解説に飛びます。
| 社名 | 型と残る金利の効き方 | D/E 有利子負債÷自己資本 |
営業利益率 | PER/PBR/利回り |
|---|---|---|---|---|
| 第1章 持たない | ||||
| アズーム 3496 |
空き駐車場を借りて貸す。利息はほぼ無関係 | 0.011倍 | 19.4% | 26.4倍/8.51倍/2.66% |
| 第2章 すぐ値上げできる | ||||
| エリアリンク 8914 |
トランクルーム。金利は効くが賃料で取り返す | 0.881倍 | 20.7% | 12.1倍/1.58倍/3.04% |
| パラカ 4809 |
コインパーキング。固定金利が約93% | 1.25倍 リース込み |
18.5% | 9.0倍/0.99倍/3.55% |
| 第3章 借りていない・借り方が固まっている | ||||
| テーオーシー 8841 |
五反田のビル。実質無借金に近いが、評価は金利で動く | 0.0086倍 | 16.2% | 28.5倍/0.85倍/1.00% |
| 京阪神ビルディング 8818 |
データセンタービル。社債が固定で最長2039年 | 1.05倍 | 27.9% | 15.3倍/1.31倍/2.68% |
※2026年9月4日終値。業績は直近の本決算(アズーム2025年9月期、エリアリンク2025年12月期・単体、パラカ2025年9月期・単体、テーオーシーと京阪神ビルディング2026年3月期)。PBRは株価÷各社の決算短信の1株純資産の当チャンネル計算で、株探の表示とは差があります。特定の銘柄の売買をすすめるものではありません。
同じ「金利上昇に強い」でも理由は別々です。また、金利に強いことと、株価の評価が妥当かどうかは別の話です。たとえばアズームのPER26.4倍・PBR8.51倍は、不動産業指数のPER14.57倍・PBR1.46倍を大きく上回ります。京阪神ビルディングのPER15.3倍には、ビルを売った一度きりの利益が入っています。
この記事の物差し|毎年の利益が金利で削られるか
この記事で「金利に強い」と言うのは、株価が下がりにくいという意味ではありません。毎年の利益が、金利の上昇でどこまで削られるかという意味です。また、この回の動画では各社の過去5年のPBRの幅を計算していないので、本記事でも「割安」「割高」とは判定しません。
- PER=株価÷会社予想の1株利益、PBR=株価÷直近の本決算の1株純資産、予想配当利回り=会社予想の1株配当÷株価(2026年9月4日終値)。
- 会社予想は動画の時点の修正後の数字です(エリアリンク7月29日、パラカ7月16日の修正を反映)。
- 1株配当と株価は株式分割を調整した金額です。京阪神ビルディングは2026年7月1日に1株を2株に分けています。
- 130社の集計は当チャンネルの計算で、東証の指数(TOPIX採用の不動産51社)とは母集団が違います。
- 開示の確認:記事作成時点(2026年10月31日)までの開示は株探の一覧で確かめ、該当の節に追記しました。公開買付けの対象になった開示はありません。これからの決算は、パラカ11月6日(本決算)、テーオーシー11月10日(中間)、アズーム11月12日(本決算)の予定です(株探の表示)。
業界の中での立ち位置を調べるなら、業界の主要企業を一覧できる本が手元にあると早いです。毎年8月頃に新しい版が出ます。
5社の選び方|130社から5社へ
動画では0:37からの部分です。不動産が売られた理由は、日銀の利上げ観測と長期金利の上昇です。ただ、東証の不動産業指数は51社でできていて、三菱地所24.67%、三井不動産23.90%、住友不動産10.86%の3社で影響力のおよそ6割を占めます。
そこで不動産業に分類される上場130社を集計しなおすと、次のようになりました(2026年9月4日時点の年初来・当チャンネル計算)。
| 対象 | 年初来 |
|---|---|
| 三井不動産 | −15.2% |
| 住友不動産 | −17.7% |
| 三菱地所 | −3.3% |
| 大手3社を除く | −0.71% |
| 時価総額5,000億円未満 | +0.73% |
同じ大手でも三菱地所の下げ幅は小さいので、効いているのは会社の大きさより、借金を重ねて土地を仕入れ、建てて売るビジネスモデルのほうだと私は見ています。そのうえで、130社に次の4つの条件をかけました。数を合わせるために基準をゆるめてはいません。
- 販売用不動産を積んで売る「在庫型」ではない
- 有利子負債が自己資本の1.3倍未満
- 営業利益率が13.4%以上(130社の上位3割。中央値は9.83%)
- 直近の本決算が増収・営業増益で、配当を出している
金利が不動産会社に効く5つの経路
動画では2:02からの部分です。金利の効き方は5つに分けられると考えられます。
| 経路 | 中身 | 大手の開発会社 | 5社では |
|---|---|---|---|
| ① 借入金の利息 | 借りているお金の利息が増える | 効く | エリアリンクに効く。パラカ・京阪神は過去の借入が固定 |
| ② 在庫の売値 | 仕入れた在庫が前と同じ値段で売れなくなる | 効く | 在庫型は選んでいない(エリアリンクは底地が総資産の11.3%) |
| ③ 買い手の数 | 住宅ローン金利が上がり、買える人が減る | 効く | 住宅を売る会社ではないので細い |
| ④ 持っている物件の評価 | 投資家が求める利回りが上がると評価額が下がる | 効く | 借りていない会社にも効く(テーオーシー・京阪神) |
| ⑤ 値上げで取り返す | 賃料や料金を上げて取り返す(逆向き) | - | エリアリンク・パラカが実績を開示 |

第1章|持たない会社
動画では3:20からの部分です。不動産会社と聞くとビルやマンションを持つ姿が浮かびますが、持たずに差額をいただく会社があります。
アズーム(3496)|空き駐車場を借りて貸す、支払利息は営業利益の0.04%
動画では3:36からです。
金利:有利子負債は約7,200万円で自己資本の0.011倍。支払利息は年98万円
注意:PER26.4倍・PBR8.51倍は不動産業指数を大きく上回る
| 市場・従業員 | 東証プライム・172名から342名へ倍増 |
|---|---|
| 業績(2025年9月期・連結) | 売上134億円(+27.9%)・営業利益26.1億円(+43.0%)・営業利益率19.4%。5期連続の増収増益 |
| 財務 | 自己資本比率76.7%・ネットキャッシュ56億円 |
| 株価/時価総額 | 4,730円/約580億円 |
| PER/PBR | 26.4倍(会社予想)/8.51倍 |
| 予想配当利回り | 2.66%(年126円) |
| 1株配当 | 普通配当5→7.5→10→12.5→66円→予想126円(分割調整後)。2025年9月期は普通配当66円に記念配当40円を足した計106円 |
| 平均年収 | 436万円(5期横ばい) |
強み|金利が利息としてやってこない
借り上げは期末で35,381台、うち32,883台を貸し、年間の平均稼働率は93%です。売上の78.1%は駐車場の賃料で、一回きりの紹介手数料は3.4%です。買っていないので、5つの経路のうち利息・在庫・物件の評価が当てはまりません。
気をつけたい点
1つは株価の評価で、金利に強いという性質がすでに評価されている面もあります。もう1つは有価証券報告書がリスクに挙げるサブリースで、オーナーへの賃料は固定額を払い続けるので、稼働率が落ちれば損失になりえます。
会社の動きとひとこと
買っていない会社には、利上げが利息として入ってきません。収入も、取引が成立するかどうかではなく、貸している状態から生まれます。金利の面では最もすっきりした型だと思います。
第2章|すぐ値上げできる会社
動画では6:30からの部分です。物件を持っていますが、値段をすぐに変えられます。オフィスの賃料は2〜3年に一度しか見直せないのに対し、この2社は料金を機動的に見直せる商売です(新規の募集や時間貸しの料金など。動画では「毎月、あるいは毎日でも」と話しています)。
エリアリンク(8914)|金利は効く。それでも賃料で取り返した実績が5社で最もはっきり
動画では6:46からです。
金利:支払利息は1年で68.2%増。金利スワップで固定できているのは長期借入金の約11%だけ
取り返す力:2026年7月29日に、賃料の見直しなどで営業利益を2億円上乗せし、増配も発表
| 市場 | 東証スタンダード |
|---|---|
| 業績(2025年12月期・単体) | 売上264億円(+7.0%)・営業利益54.7億円(+11.5%)・営業利益率20.7%。単体のまま5期連続の増収増益 |
| 財務 | 自己資本比率45.6%(5社で最低)・有利子負債257億円(D/E 0.881倍)・ネットデット90.7億円 |
| 稼働率(期末) | 全体81.11%・直近2年の出店を除く既存分88.98% |
| 株価/時価総額 | 906円/約469億円 |
| PER/PBR | 12.1倍(修正後の会社予想)/1.58倍 |
| 予想配当利回り | 3.04%(年27.5円) |
| 1株配当 | 普通配当11.75→17.25→16.75→22.25→26円→予想27.5円(分割調整後)。2023年12月期に減配、連続増配は3期 |
| 平均年収 | 654万円→876万円(5社で最大の伸び。2024年12月期から算定基準が変更) |
金利の効き方|素直に効く
支払利息は3億4,300万円で営業利益の6.3%を占めます。有価証券報告書も借入の一部は変動金利だと書いています。販売用不動産が総資産の11.3%あり、中身は底地です。この会社は「金利が効かない会社」ではありません。
強み|賃料で取り返す
売上の78.2%は月々の賃料です。7月29日の開示には、賃料の見直しによる一室あたり平均契約賃料の上昇などが書かれています。
気をつけたい点
期末の稼働率は前の期末から4.8ポイント下がりました。主な理由は新しく開けた部屋の多さですが、値上げを続ければ、いずれ解約という形で跳ね返る可能性はあり、転嫁は需要との綱引きになります。2026年8月に子会社にしたストレージ王ののれんは、動画の時点では未開示でした。
【2026年10月追記】10月28日に、ストレージ王の連結で連結決算に移り、今期の連結予想を売上297億円・営業利益59億円・純利益36億円と発表しました。個別の予想も売上291.5億円・営業利益62億円に上げています(底地などの販売が順調なため)。配当予想27.5円は変えていません。第3四半期までの支払利息は約4.44億円(連結)で、すでに前の期の1年分を超えています。9月の月次では、全体の稼働率80.42%、既存分86.55%でした(パートナー出店を除く)。連結に変わったので、単体の5期とは比べられません。
パラカ(4809)|払う金利は固定で約93%、もらう料金は値上げ1,595件
動画では10:25からです。
金利:固定金利比率は約93%(決算説明資料に明記)。5社で数字で言い切れるのはこの会社だけ
注意:今期は営業減益の予想。これから買う土地には今の金利が乗る
| 市場・従業員 | 東証プライム・79名から112名へ |
|---|---|
| 業績(2025年9月期・単体) | 売上176億円(+7.6%)・営業利益32.6億円(+8.1%)・営業利益率18.5%。5期連続の増収増益 |
| 財務 | 自己資本比率42.2%・D/E 1.25倍(リース込み。5社で最も借入が重い) |
| 今期の会社予想 | 営業利益31.13億円(−4.7%。7月16日に下方修正) |
| 株価/時価総額 | 2,029円/約212億円 |
| PER/PBR | 9.0倍(修正後の会社予想)/0.99倍(5社で唯一の1倍未満) |
| 予想配当利回り | 3.55%(年72円) |
| 1株配当 | 55→62→64→64→67円→予想72円(据え置きの期あり) |
| 平均年収 | 604万円(5期連続で上昇) |
強み|金利は止まり、料金は動く
決算説明資料には固定金利比率およそ93%(44ページ)、金利は固定済みのため利払いも増加なし(23ページ)と書かれています。当期の料金変更は値上げ1,595件、値下げ343件で、改定の82%が値上げでした(42ページ)。貸借対照表に販売用不動産の勘定はありません。
気をつけたい点
93%の固定は過去に借りた分の話で、固定の比率が高くても借入が増えれば利息の総額は増えます。実際の支払利息は1年で31.0%増えて営業利益の10.0%を占めました。すでに持っている駐車場の利益は守られますが、これからの成長の速さには金利の重しが乗ります。解約率は6.0%から8.5%へ上がっています。今期の減益の理由は、新しく開いた駐車場の原価、冬の豪雪、減損損失の見込みで、会社の説明に金利は入っていません。
会社の動きとひとこと
払う金利の大部分が固定され、もらう料金も小口で機動的に動かせる。この組み合わせは5社の中でこの会社の特徴だと思います。PBRが1倍を下回るのは事実ですが、借入の重さや今期の減益もあわせて見る必要があると思います。本決算は11月6日の予定です。

第3章|借りていない・借り方が固まっている会社
動画では13:47からの部分です。不動産業では、稼ぐ力が高い会社ほど借金が重い傾向があります。営業利益率が25%を超える会社を並べると、有利子負債は自己資本の1.2倍から3.4倍で、多くが2倍前後です。その関係を外れている2社です。動画では「借りていない会社」としてまとめましたが、テーオーシーは実質無借金に近く、京阪神ビルディングは借りていて(D/E 1.05倍)、借り方が先に固まっている会社です。
テーオーシー(8841)|五反田のビルで実質無借金に近い、含み益は金利で動く
動画では14:11からです。
金利:有利子負債8億9,900万円(D/E 0.0086倍)。支払利息は営業利益の0.57%。カバレッジ395.9倍
注意:含み益約1,300億円は金利で動く。ROE2.3%・利回り1.00%は5社で最低
| 市場 | 東証スタンダード |
|---|---|
| 業績(2026年3月期・連結) | 売上151億円(+15.2%)・営業利益24.6億円(+73.6%)・営業利益率16.2%。回復の途中 |
| 財務 | 自己資本比率85.2%(5社で最高)・ネットキャッシュ302億円 |
| 賃貸等不動産 | 簿価591億円・時価1,890億円。含み益は総資産1,222億円を上回る |
| 株価/時価総額 | 1,003円/約941億円 |
| PER/PBR | 28.5倍(会社予想)/0.85倍(含み益を含まない帳簿上の純資産と比較) |
| 予想配当利回り | 1.00%(年10円。9月16日に11円へ修正、下の追記) |
| 1株配当 | 5期ずっと10円 |
| 平均年収 | 812万円(5期連続で上昇)。平均勤続16.2年は5社で最長 |
強み|利息がほぼ関係ない
長期借入金は期末でゼロ、社債もありません。販売用不動産の勘定もありません。この先さらに利上げがあっても、利益が利払いに食われる心配はほとんどないと思います。
気をつけたい点
売上は2022年3月期の163億円から2025年3月期の132億円まで減り続け、増収に転じた当期の151億円もまだ2022年3月期を7.2%下回ります(動画では「四期連続の減収」と話していますが、2022年3月期からの減収は3期です)。営業利益も57.45億円から14.18億円まで落ち、当期の24.62億円は2022年3月期の43%の水準で、73.6%の増益は落ち込みからの戻りです。入居率は全体81.7%、TOCビル単体は臨時使用を含めても65.9%です。含み益は不動産鑑定士の評価にもとづく金額で、投資家が求める利回りが上がれば評価額は下がります。借りていない会社にも、この経路は効きます。
会社の動きとひとこと
【2026年10月追記】9月16日、今期の配当予想を年10円から11円(中間・期末とも5.5円)に引き上げました。動画の収録後の発表で、動画と同じ1,003円で計算すると利回りは約1.10%です。表は動画の時点のままです。
財務の強さは、資本を使い切れていない裏返しでもあると思います。
京阪神ビルディング(8818)|売上の54%がデータセンタービル、社債は10本すべて固定
動画では17:57からです。
金利:社債500億円は期末に残る10本すべて固定(0.470〜1.665%・最長2039年10月17日)
注意:今期の純利益に譲渡益約59億円。守られているのは過去の借入だけ
| 市場 | 東証プライム |
|---|---|
| 業績(2026年3月期・連結) | 売上202億円(+3.4%)・営業利益56.4億円(+13.3%)・営業利益率27.9%(5社で最高)。2期連続の減益からの反発 |
| 財務 | 自己資本比率43.8%・有利子負債854億円(D/E 1.05倍) |
| 今期の会社予想 | 営業利益−2.6%・経常利益−19.7%・純利益70億円(譲渡益を含む) |
| 株価/時価総額 | 1,120円/約1,093億円(5社で最大) |
| PER/PBR | 15.3倍(会社予想)/1.31倍 |
| 予想配当利回り | 2.68%(年30円)。累進配当へ変更し、30→35→40円の3年分の予想 |
| 空室率(期末) | 0.39%(参考:大阪の市場平均3.20%・東京2.22%) |
| 平均年収 | 1,108万円(5社で最高) |
強み|払う値段が先に固まり、もらう値段はあとから見直せる
長期借入金も、有価証券報告書は原則として固定金利で調達していると書いています。一方、賃貸料はエクイニクス・ジャパンとは協議のうえ改定でき、日本中央競馬会とは原則3年ごと、ソフトバンクとは2年ごとに見直します。データセンターと聞くと機械の話に思えますが、必要なのは大量の電気と冷やす仕組み、重い機械に耐える床を備えた建物です。
気をつけたい点
PER15.3倍をそのまま安さと読むことはできません。今期の純利益70億円には、四条河原町ビルを売った譲渡益およそ59億円が含まれます。支払利息と社債利息の合計7億9,200万円は営業利益の14.0%で、1年で26.7%増えました。償還した分の借り換えと新しく建てるための調達には、いまの金利が乗ります。上位3社で売上の46.1%を占めるテナントの集中、政策保有株式は2028年3月期までに連結純資産の10%以下にする目標に対し、21.2%へ上がっていることも気になる点です。
会社の動きとひとこと
【2026年10月追記】10月30日に中間決算を発表しました。売上103.17億円(前年同期比+1.4%)、営業利益25.27億円(同−17.5%。修繕費や電気代、租税公課などの増加)、経常利益25.00億円(同−18.9%。支払利息の増加なども理由)で、純利益は物件と政策保有株式の売却で57.78億円(同+136.1%)でした。空室率は0.46%です。通期の業績予想と配当予想は変えていません。
金利の面では、借りていても借り方で影響を遅らせている会社だと思います。ただ遅らせているだけで、なくなったわけではない点は覚えておきたいと思います。

まとめ|金利に弱いかどうかは、業種ではなく会社の型で決まる
動画の最後(21:52から)でも話した要点は3つです。
- 不動産が金利に弱いというのは間違いではありません。ただ、それが強く当てはまるのは、借りて、仕入れて、売る会社です。
- 持たない、すぐ値上げできる、借りていないか借り方が固まっている。この3つの型には同じ理屈がそのまま届くわけではありません。ただし、金利がまったく効かない会社はなく、エリアリンクは支払利息が増え続け、パラカと京阪神ビルディングは新しい調達に今の金利が乗り、テーオーシーは含み益が金利で動きます。
- 金利に強いことと、株価の評価は別の話です。株価はいずれも2026年9月4日終値で、動画でお伝えしたのは、毎年の稼ぐ力が金利でどこまで削られるかという一点です。
業種でひとくくりにされたときこそ、中身を分けて見る値打ちがあると私は思っています。
株価が下がった会社を、下がった理由と財務で読んだこちらの記事もどうぞ。
⚠️ 注意:この記事は個人の感想で、特定の銘柄の売買をすすめるものではありません。株価と指標は2026年9月4日終値で計算していて、日々変わります。業績予想・配当予想は各社の会社予想で、今後の決算発表で変わることがあります。投資の判断は、最新の開示を確かめたうえでご自身で行ってください。

