国内シェアNo.1の企業6選|4期連続増収・自己資本比率50%超、No.1の事業は稼ぎ頭か【2026年10月時点】

企業研究

目次

はじめに|国内シェアNo.1の企業は、No.1の事業で稼いでいるのか

国内シェアNo.1と聞くと、儲かっている会社に思えます。ただ、No.1でも、儲かっているとは限りません。そして、会社全体が儲かっていても、稼ぎ頭はNo.1の事業とは別、ということもあります。

この記事では、国内シェアの首位を会社の資料などで確かめられ(クニミネ工業は会社の推定で約6割のシェアから首位とみなしました)、売上が4期続けて増え、自己資本比率が50%を超える、あまり知られていない6社を取り上げます。一社ずつ、No.1の事業が利益になっているか、会社全体の稼ぎ頭はどこか、そして株価がその会社自身の過去5年と比べてどのあたりにあるかを見ていきます。

数字の基準日と、動画との関係
  • 株価と、株価から計算する指標(時価総額・PER・PBR・配当利回り)、過去5年のPBRの位置は2026年10月21日終値です。業績は本決算の数字だけを使っています(四半期のぶれを避け、会社が通期で確定させた数字で比べるため)。6社とも3月決算で、5期は2022年3月期〜2026年3月期です。
  • 上の動画は2026年10月24日に公開したもので、本記事は動画と同じ数字で文章にし、表にまとめました。
  • 会社予想は本決算短信の予想、または期中の業績予想の修正後の値です(クニミネ工業は2026年9月16日、ニレコは9月29日に上方修正)。
この記事で分かること
  • 国内シェアNo.1で、4期連続増収・自己資本比率50%超の6社の一覧
  • 各社のNo.1の事業が利益になっているか、会社全体の稼ぎ頭はどこか
  • 過去5年のPBRで見た、6社の株価の位置
  • 国内シェアNo.1の会社を見るときに確かめたい3つの点
大隈重信
一番であることと、そこで稼いでおることは別じゃ。稼ぎ頭がどの事業かまで、確かめていくぞ。

【結論】国内シェアNo.1の企業6社の一覧

先に6社の一覧です。何で国内No.1か、そのシェアの出どころ、No.1の事業が会社の稼ぎ頭か、株価がその会社自身の過去5年のPBRの中でどのあたりにあるかを並べました。社名を押すと、その会社の解説に飛びます。

社名 何の国内No.1か
出どころ
No.1の事業は稼ぎ頭か PBRの位置
過去5年の中で
第1章 買い物と外食の裏側
ソフトクリエイトHD
3371
通販サイトの構築 41.9%・18年連続
調査会社
○ 事業の利益率24.8%で全社より高い 低い方
アリアケジャパン
2815
フォン・ブイヨン 約6割
調査会社(調査年の記載なし)
○ 本業そのもの 低い方
第2章 工場の製造ライン
ニレコ
6863
フィルムの蛇行を直す装置など
会社の調べ
△ 利益率27.7%だが売上の2割強。伸びの中心は別の事業 高い方(ほぼ最も高い)
クニミネ工業
5388
鋳物用ベントナイト 約60%
会社の推定
△ 利益率11.1%。利益率が高いのは農薬の受託加工 高い方
第3章 建物の中
新晃工業
6458
セントラル空調機
会社の表記(比率なし)
○ 会社が「収益の基盤」と書き、日本の部門の利益率18.6% 真ん中あたり
小松ウオール工業
7949
間仕切 31.1%
会社の調べ
○ 間仕切の専業。利益率改善の理由は値引きの見直し 高い方

※PBRの位置は2026年10月21日終値(動画と同じ当チャンネル計算)。○△は、決算短信・決算説明資料などの数字をもとにした当ブログの見方です。

6社とも、売上は4期続けて増え(2023年3月期〜2026年3月期)、自己資本比率は59.7〜88.3%、現預金が有利子負債を上回っています。ただ、No.1の事業と会社全体の稼ぎ頭が一致しない会社が2社(ニレコ・クニミネ工業)ありました。また、シェアの数字に調査会社の調べがあるのは2社で、残りの4社は会社自身の調べや推定、表記です。

株価は、過去5年のPBRと比べると、低い方が2社、真ん中あたりが1社、高い方が3社でした。

この記事の物差し|株価は「その会社自身の過去5年」

株価の高い安いは、業種や市場の平均ではなく、その会社自身の過去5年のPBRと比べます。2021年10月〜2026年9月の各月末の終値を、その時点で公表済みの直近の本決算の1株純資産で割った値(株式分割は調整・当チャンネル計算)と比べ、10月21日の値が過去の月末の下から何%にあるかで、30%未満=低い方、30〜69%=真ん中あたり、70%以上=高い方としています(動画と同じ区切り)。

この見方は、PBR1倍割れの割安株9選|財務と稼ぐ力で絞った9社を「安い3つの理由」で読む【2026年9月時点】でも使っています。また、シェアの数字の出どころ(調査会社・会社の調べ・報道)の基本的な見方は、世界シェアが高い日本企業9選|「世界一」は2社だけ、減益4社も含めてシェアと利益を読む【2026年8月時点】で詳しく解説しています。この記事では、出どころは表と各社の節に書くだけにして、No.1の事業と稼ぎ頭の関係を中心に見ます。

この記事の数字の決まり
  • 6社の選び方:①業種の中で営業利益率が上位3割・5期続けて営業黒字・5年前より増収の258社から、国内シェアを一次資料で調べて4社。②それ以外の上場会社から、会社の一次資料で国内シェア首位と確かめられた2社(クニミネ工業・小松ウオール工業)。6社とも、No.1の事業の利益を決算資料の数字で確かめています。
  • PER=株価÷会社予想の1株利益、PBR=株価÷直近の本決算の1株純資産、予想配当利回り=会社予想の1株配当÷株価。「計算上の株価」は今の1株純資産×過去5年のPBRの中央値で、株価の予想ではありません。
  • 株価の動き:年初から=2025年12月末の終値比、直近1年の高値=2025年10月22日〜2026年10月21日の日足、5年=2021年9月末の終値比(株探)。
  • 売上原価率・販管費率、事業の利益率は、決算短信・決算説明資料の数字から当チャンネルが計算したものです(会社の管理上の数字を含む)。
  • 業績予想・配当予想は、記事作成時点(2026年10月25日)まで、10月21日以降の修正の開示はありません。小松ウオール工業は10月29日、クニミネ工業は10月30日に中間決算の発表を予定しています。

国内でシェアの高い会社を業界ごとに探すなら、業界の主要企業と順位が一覧できる本が手元にあると早いです。毎年8月頃に新しい版が出ます。

大隈重信
6社とも財務は厚い。じゃが、一番の事業がそのまま稼ぎ頭とは限らんのじゃ。そこを一社ずつ見ていくぞ。

第1章|買い物と外食の裏側(2社)

第1章は、買い物や外食の裏側を支える2社です。動画では00:54からの部分です。

  • ソフトクリエイトHD:企業の通販サイトを作る仕組み。No.1の事業が全社より高い利益率
  • アリアケジャパン:外食チェーンのスープの素。数量が減っても単価は上がった

ソフトクリエイトHD(3371)|通販サイトの構築で18年連続No.1、事業の利益率は24.8%

何の会社か:企業の通販サイトを作る仕組み「ecbeing」を売り、作り込みから保守・サーバーの運用まで請け負う(東京都渋谷区)
No.1は稼ぎ頭か:通販サイトの事業は売上の52.6%で、利益率24.8%は全社の18.1%より高い
株価の位置:PBR2.21倍で過去5年の低い方。今期は+1.5%の小幅増益の計画
市場・従業員 東証プライム・連結1,230人
売上高(5期) 212→243→279→310→344億円(連結)
営業利益率(5期) 19.0→17.8→18.5→17.8→18.1%
今期の会社予想 売上370億円・営業利益63億円(+1.5%)・営業利益率17.0%(買収したメグリ社ののれん償却・セキュリティ投資を含む)
シェア 通販サイト構築(カスタマイズ型SaaS/PaaS)市場で2025年度の国内シェア41.9%(金額)・18年連続No.1(富士キメラ総研。2022年度までは会社の推定)
株価/時価総額 2,190円/553億円
PER/PBR 13.2倍(会社予想)/2.21倍
PBRの過去5年 1.64倍(2026年5月)〜4.87倍(2022年3月)・中央値2.86倍=低い方
予想配当利回り 2.83%(年62円・配当性向40%が目標)
1株配当 20→25→48→55→62円(分割調整後)→予想62円(この5期で減配なし)
財務 現金及び預金132億円・借入金2億円・自己資本比率59.7%・ROE18.2%
株価の動き 年初から+1.5%/直近1年の高値2,337円(2026年10月)から−6.3%/5年+39.8%

強み|自社のソフトを土台に、作り込みから運用まで一社で

自社のパッケージを土台に、サイトごとの作り込み、保守、サーバーの運用までを一社で請け負い、保守や運用は継続の契約です。導入は1,600サイトを超えています(会社IR資料)。有価証券報告書には「当該競合者の製品に『ecbeing』の販売が脅かされている状況にはない」とあります。

No.1は利益になっているか|No.1の事業が全社より稼ぐ

通販サイトの事業の利益率は24.8%(経常利益ベース・当チャンネル計算。全社の営業利益率とは計算の段階が違います)で、全社の営業利益率18.1%より高くなっています。売上の内訳でも52.6%を占め、No.1の事業がそのまま稼ぎ頭になっている形です。全体では、原価が売上の59.2%、販管費が22.7%です。会社は、通販サイトを作る需要は広がるとみていて、AIは作り込みを速く安くする道具として使うと説明しています。

株価の位置とひとこと

株価は2025年10月7日の2,274円から2026年5月14日の1,596円まで、TOPIXが20.2%上がる中で29.8%下げ、5月の本決算の翌営業日には約1割下げました。今期の増益の幅が小さいことが重しになったとみられます。その後、自社株買い(6月16日〜9月30日)もあり、5月14日から10月21日までに37.2%戻しています。過去5年のPBRの中央値2.86倍での計算上の株価は2,840円ほどで、数値の上では今の株価は過去5年の低い方にあります。

PBRが低い方にあるのは、今期の伸びが小さいことに加え、AIで作り込みの仕事そのものが減るという不安も表れていると思います。個人的には、AIで受注を増やせているかを来年5月の本決算の通販サイトの事業の利益率で確かめながら、長期で持つ候補としてはありだと思います。

アリアケジャパン(2815)|フォン・ブイヨンで国内約6割、数量が減っても単価は+2.5%

動画では04:06からです。

何の会社か:鶏・豚・牛の骨や野菜を煮出したスープやソースの素を業務用に売る(主力工場は長崎県)
No.1は稼ぎ頭か:スープの素が本業そのもので、国内の本体の営業利益率は17.0%(連結は17.6%)
株価の位置:PBR1.25倍で過去5年の低い方。今期は−4.5%の減益計画
市場・従業員 東証プライム・連結1,201人
売上高(5期) 527→557→600→654→670億円(連結)
営業利益率(5期) 20.3→15.2→14.4→17.0→17.6%
今期の会社予想 売上692億円・営業利益113億円(−4.5%)・営業利益率16.2%
シェア フォン・ブイヨンで国内市場の約6割(会社サイト。富士経済の調べ・調査年の記載なし)
株価/時価総額 5,220円/1,630億円
PER/PBR 17.1倍(会社予想)/1.25倍
PBRの過去5年 1.20倍(2026年6月)〜2.40倍(2021年10月)・中央値1.46倍=低い方
予想配当利回り 5.75%(年300円=普通配当180円+創業60周年の記念配当120円)。普通配当だけなら3.45%
1株配当 96→102→110→130→180円→予想300円(この5期で減配なし。DOE4%以上が目安)
財務 現金及び預金536億円・借入金なし・自己資本比率88.3%・ROE7.3%
株価の動き 年初から−1.3%/直近1年の高値6,160円(2026年3月)から−15.3%/5年−25.9%

強み|時間とノウハウが要るスープを、無人化した工場で

会社サイトによると、高品質な畜産系の天然調味料やスープを確実かつ大量に作るには、大変な時間とコストがかかり、ノウハウが要ります。そのため多くの外食は自分で作らず業務用を使い、それをコンピューター制御の無人化工場で担っているのが強みです。約2,500種類を自社工場で作り分けています。国内の売上の用途は外食が40.4%で、コンビニ・中食・スーパーが25.9%と続きます。

No.1は利益になっているか|数量−1.0%でも単価+2.5%

営業利益率は、原材料高で2024年3月期に14.4%まで下がったあと、値上げとコストダウンで17.6%まで持ち直しました。前の期は国内の数量が1.0%減りましたが、値上げで単価は2.5%上がっています。値上げが浸透した形です。一方で今期は、中東情勢による包装材や光熱費の値上がりと円安で、営業利益は4.5%減る計画です。会社は、外食やコンビニ向けの伸びは鈍るとみています。

株価の位置とひとこと

株価は2026年2月27日の6,090円から6月17日の4,955円まで18.6%下げ、同じ期間のTOPIXは1.9%高とほぼ横ばいでした。国内の数量の減少や、5月に出た今期の減益計画が重しになったとみられます。5月には記念配当、DOE4%以上への引き上げ、上限60億円の自社株買いも発表しています(9月末までに約33億円)。過去5年のPBRの中央値1.46倍での計算上の株価は6,110円ほどで、数値の上では今の株価は過去5年の低い方にあります。

PBRが低い方にあるのは、国内の数量が減っていることが意識されているためだと思います。それでも値上げは通っています。個人的には、来年5月の決算説明資料で国内の数量と単価を確かめながら、長期で持つ候補としてはありだと思います。

大隈重信
一番の事業がそのまま稼ぎ頭なら話は早い。あとは、その稼ぎが続くかを見ればよいのじゃ。

第2章|工場の製造ライン(2社)

第2章は、工場の製造ラインを支える2社です。動画では07:09からの部分です。この2社は、No.1の事業と、会社の稼ぎ頭が一致していない例です。

  • ニレコ:No.1の装置の分野は利益率27.7%だが、伸びの中心は半導体向けの光学部品
  • クニミネ工業:鋳物向けでシェア約60%だが、利益率が高いのは農薬の受託加工

ニレコ(6863)|No.1の装置は高収益、ただし伸びの中心は半導体向けの光学部品

何の会社か:フィルムや金属の箔が巻き取られるとき、端の位置を見て蛇行を自動で直す装置などを作る(東京都八王子市)
No.1は稼ぎ頭か:No.1の装置の分野は利益率27.7%だが売上の2割強。伸びの中心は利益率35.9%の光学部品
株価の位置:年初から52.9%高。PBRは過去5年でほぼ最も高い
市場・従業員 東証スタンダード・連結533人
売上高(5期) 81→92→99→108→110億円(連結)
営業利益率(5期) 6.9→12.9→14.1→17.7→15.4%
今期の会社予想 9月29日に上方修正:売上132億円・営業利益20億円(+17.6%)・営業利益率15.2%
シェア 機能性フィルム・軟包材分野の耳端位置装置・糊付け検査装置で国内トップシェア(市場調査等を基にした会社の調べ。2026年3月期 決算説明資料)
株価/時価総額 1,046円(2026年8月1日に1株→3株の分割。分割後)/225億円
PER/PBR 15.0倍(会社予想・9月29日の修正後)/1.32倍
PBRの過去5年 0.46倍(2022年2月)〜1.42倍(2026年9月)・中央値0.68倍=高い方(ほぼ最も高い水準)
予想配当利回り 3.35%(年35円=普通34円+特別1円)。普通だけなら3.25%
1株配当 12.7→15.7→20.7→31.7→29.7円(分割調整後・2026年3月期は減配)→予想35円
財務 現金及び預金51億円・借入金5億円・自己資本比率82.6%・ROE8.6%
株価の動き 年初から+52.9%/直近1年の高値1,155円(2026年9月)から−9.4%/5年で約3.5倍

強み|長いシートの「端」を見る装置

フィルムや紙、金属の箔などの長いシートが製造ラインで巻き取られるとき、端の位置を見て、蛇行しないように自動で直す装置(耳端位置制御装置)が主力です。売上の内訳は、こうした制御の装置が52.2%(うちフィルム・包装材の分野が23.1%、鉄鋼・非鉄金属の分野が29.1%)、半導体の検査装置に使う光学部品(オプティクス)が25.9%、検査機が17.3%です。会社は、電池向けは軟調でも、国内でペロブスカイト太陽電池向けの製造設備に期待しているとしています。

No.1は利益になっているか|稼ぐが、伸びの中心は別の事業

会社が開示する分野ごとの利益率(本社費を引く前)は、No.1の装置があるフィルム・包装材の分野が27.7%と、全社の15.4%を大きく上回ります。ただ、この分野は売上の2割強にとどまります。利益の伸びをけん引しているのは、No.1の装置とは別の事業である、利益率35.9%の半導体向けの光学部品です。今期の期初の計画でも、増益の中心は光学部品と検査機で、制御機器は減益の計画でした。全体の営業利益率は、価格への転嫁などで6.9%から15.4%に上がっています。

株価の位置とひとこと

株価は2025年10月14日の600円から2026年9月25日の1,145円まで90.8%上がり、同じ期間のTOPIXの+31.7%を大きく上回りました。5月14日の本決算で配当の目標を引き上げ(配当性向50%以上かつDOE3%以上)、9月29日には今期の計画を上方修正していて、こうした発表が評価されたとみられます。過去5年のPBRの中央値0.68倍での計算上の株価は540円ほどで、数値の上では今の株価は過去5年でほぼ最も高い水準にあります。中央値には、利益率が6〜12%台だった時期の評価も含まれます。

評価はすでに見直されたと思います。個人的には、伸びの中心が半導体向けに移っていることもあり、今すぐ購入を検討する銘柄ではないと思います。ただ、フィルムの製造ラインの「端」を押さえる技術と、半導体の検査の光学部品という2本の柱は、就活の目線では、知られていない面白い会社だと思います。

クニミネ工業(5388)|鋳物用ベントナイトで約60%、利益率が高いのは農薬の受託加工

動画では10:18からです。

何の会社か:水を吸うとふくらんで粘りが出る粘土「ベントナイト」を、グループの鉱山で掘って加工・販売する(東京都千代田区)
No.1は稼ぎ頭か:鋳物向けの利益は2021年3月期の5億円から8億円に増えたが利益率11.1%。農薬の受託加工は24.1%
株価の位置:PBR0.73倍で1倍は下回るが、過去5年では高い方
市場・従業員 東証スタンダード・連結277人
売上高(5期) 153→153→157→157→171億円(連結。前の期比 +0.4%・+2.3%・+0.2%・+8.7%で4期続けて増収)
営業利益率(5期) 10.9→5.4→7.9→8.2→9.4%(参考:2021年3月期は15.4%)
今期の会社予想 9月16日に上方修正:売上180億円・営業利益19億円(+18.6%)・営業利益率10.6%
シェア 鋳物向けベントナイトの国内シェア約60%(会社の推定。2025年62.87%。資料に「首位」「No.1」の語はなく、会社は「ニッチトップ企業」と表記)
株価/時価総額 1,335円/163億円(自己株式を除く。発行済み株式の15.7%が自己株式)
PER/PBR 11.2倍(会社予想・9月16日の修正後)/0.73倍
PBRの過去5年 0.45倍(2022年10月)〜0.77倍(2026年9月)・中央値0.62倍=高い方(1倍は下回る)
予想配当利回り 3.00%(年40円・配当性向30%が目安、1株40円を下限)
1株配当 30→40(創立80周年の記念10円を含む)→40→40→40円→予想40円
財務 現金及び預金96億円・借入金なし・自己資本比率83.0%・ROE6.1%
株価の動き 年初から+12.4%/直近1年の高値1,449円(2026年9月)から−7.9%/5年+18.4%(同じ期間のTOPIXは+99.2%=約2.0倍)

※この節の「鋳物向けの利益」は、決算説明資料に載っている会社の管理上の数字です。

強み|採掘から加工まで、鋳物メーカーの砂の分析まで

ベントナイトは、溶かした鉄を流し込む砂の型を固める材料や、土木工事の水止め、猫のトイレ砂、化粧品などに使われる、会社いわく「1,000の用途を持つ粘土」です。売上は鋳物向けが42.1%、土木向けが22.3%、農薬メーカーから請け負う農薬の加工(アグリ事業)が20.2%です。山形県・宮城県・新潟県のグループの鉱山での採掘から加工・販売までを手がけ、鋳物メーカーの砂を分析して歩留まりの改善まで手伝う技術サービスが強みです。

No.1は利益になっているか|シェア6割でも、利益の柱は一つではない

円安による輸入原鉱の値上がりのあと値上げを進め、鋳物向けの利益は5年前(2021年3月期)の5億円から8億円に増えました。ただ、利益率は11.1%です。農薬の受託加工の方が24.1%と高く、売上の2割で、3つの事業の利益の合計の36.3%を稼いでいます。また、全社の営業利益16億円は、福島の復興関連の工事向けがあった5年前(2021年3月期)の22億円をまだ下回っています。今期の上方修正の理由も、採算の高い農薬の受託加工で除草剤や殺虫・殺菌剤の受注が計画を上回ったことでした。一方で会社は、車の電動化などで国内の鋳物向けの需要は減るとみていて、国内の鋳物の生産量は2018年から2025年で17.0%減っています。

株価の位置とひとこと

直近5年の株価は+18.4%と、TOPIXが約2倍になった期間としては小幅で、2022年9月に原料高で業績予想を下方修正した時期の下げが響いたとみられます。1日の売買は5,000株前後の日が多く、会社も流動性の低さを課題に挙げています。売買が少ないと、思った値段で売り買いしにくく、少しの注文で値が大きく動くことがあります。過去5年のPBRの中央値0.62倍での計算上の株価は1,130円ほどで、数値の上では、PBRは1倍を下回っていても、今の株価はこの会社の過去5年の中では高い方にあります。

鋳物向けは値上げで利益を守れている一方で、国内の市場は縮む見通しです。個人的には、来年の本決算の説明資料で鋳物向けの利益を保てているかを確かめたいので、今は様子見だと思います。

大隈重信
一番の事業より、別の事業が稼いでおる会社もある。看板だけで会社を判じてはならんぞ。

第3章|建物の中(2社)

第3章は、建物の中で使われる2社です。動画では14:05からの部分です。

  • 新晃工業:ビルまるごとを冷やすセントラル空調機。受注残高は過去最高
  • 小松ウオール工業:オフィスの間仕切。利益率を上げたのは値引きの見直し

新晃工業(6458)|セントラル空調機でNo.1、受注残高は過去最高

何の会社か:ビルや工場、データセンターの建物全体を冷やす・暖めるセントラル空調の大型空調機を、建物ごとの受注で作る(大阪市)
No.1は稼ぎ頭か:会社が「全社の収益性を支える基盤」と書き、日本の部門の利益率は18.6%
株価の位置:2月の下方修正のあと戻らず。PBRは過去5年の真ん中あたり
市場・従業員 東証プライム・連結1,701人
売上高(5期) 420→448→519→570→593億円(連結)
営業利益率(5期) 13.6→13.4→16.6→17.5→15.9%
今期の会社予想 売上630億円・営業利益100億円(+5.9%)・営業利益率15.9%
シェア 国内市場におけるセントラル空調機シェアNo.1(統合報告書2026。比率と出どころの記載なし)
株価/時価総額 1,218円/818億円
PER/PBR 11.4倍(会社予想)/1.29倍
PBRの過去5年 0.72倍(2022年12月)〜1.90倍(2024年9月)・中央値1.30倍=真ん中あたり
予想配当利回り 4.11%(年50円・配当性向50%が目安、DOE3.5%を下限)
1株配当 16.7→19→35→50→50円(分割調整後)→予想50円(この5期で減配なし)
財務 現金及び預金174億円・有利子負債84億円(転換社債60億円を含む)・自己資本比率67.9%・ROE11.0%
株価の動き 年初から−14.0%/直近1年の高値1,621円(2026年2月)から−24.9%/5年+71.3%

強み|量産メーカーが入りにくい受注生産と、上流の営業

建物ごとに仕様が違う多品種少量の受注生産なので、量産メーカーにとっては高い障壁になると、会社は有価証券報告書に書いています。建物の計画段階から設計を手伝う業界最大の上流営業部門で、案件をつかみます。国内向けの用途は、工場などが32.6%、大型ビルが28.6%、データセンターが13.9%です。売上の24.4%は納めたあとの工事や保守で、保守・更新を担う子会社は11期続けて増収増益です。

No.1は利益になっているか|No.1の空調機が収益の基盤

会社は、セントラル空調の機器販売を「全社の収益性を支える基盤」と書いていて、日本の部門の利益率は18.6%です(中国は赤字)。No.1の事業がそのまま稼ぎ頭になっている形です。営業利益率は価格の改定で17.5%まで上がったあと、前の期は出荷台数が減って15.9%に下がりました。それでも空調機の受注残高は257億円と過去最高で、会社は、再開発やデータセンター向けの需要は堅調とみています。全体では、原価が売上の61.9%、販管費が22.2%です。

株価の位置とひとこと

2月10日に通期の業績予想を下方修正し(営業利益101億円→91億円)、翌営業日に8.5%下げ、その後4月23日までに26.6%下げました(同じ期間のTOPIXは−3.6%)。この下方修正が重しになったとみられます。過去5年のPBRの中央値1.30倍での計算上の株価は1,230円ほどで、数値の上では今の株価は過去5年の真ん中あたりにあります。中期経営計画の上限100億円の自社株買いは、2026年3月末で93億円を取得済みです。

受注残高は過去最高で、配当の下限もはっきりしています。個人的には、来年5月の本決算で営業利益率が計画の15.9%に届くかを確かめながら、長期で持つ候補としてはありだと思います。

小松ウオール工業(7949)|間仕切で業界トップ31.1%、利益率を上げたのはシェアより値引きの見直し

動画では17:16からです。

何の会社か:オフィスや学校、病院、ホテルの部屋を仕切る壁「間仕切」の専業メーカー(石川県小松市・子会社なし)
No.1は稼ぎ頭か:間仕切の専業。ただ会社が利益率の改善の理由に挙げるのは、シェアではなく値引きの見直しと高付加価値の製品
株価の位置:利回り4.94%。PBRは過去5年の高い方
市場・従業員 東証プライム・1,446人(単体)
売上高(5期) 345→378→436→446→467億円(単体)
営業利益率(5期) 5.2→6.1→8.4→8.1→8.8%
今期の会社予想 売上486億円・営業利益43億円(+3.9%)・営業利益率8.8%
シェア 2025年度の間仕切市場1,708億円で業界トップの31.1%、2位とは5.7ポイント差(会社の調べ。日本パーティション工業会に属するメーカーの販売高の合計が分母で、会社の売上高とは集計の範囲が違います)
株価/時価総額 2,732円(2024年10月1日に1株→2株の分割。分割後)/481億円
PER/PBR 15.8倍(会社予想)/1.23倍
PBRの過去5年 0.48倍(2022年1月)〜1.42倍(2026年2月)・中央値0.75倍=高い方
予想配当利回り 4.94%(年135円・DOE6%が目安=2028年3月期までの中期経営計画の水準。配当性向は今期予想77.9%)
1株配当 42.5→47.5→62.5→65→130円(分割調整後)→予想135円(この5期で減配なし)
財務 現金及び預金122億円・借入金なし・自己資本比率80.7%・ROE7.9%
株価の動き 年初から−0.5%/直近1年の高値3,060円(2026年2月)から−10.7%/5年で約2.8倍(同じ期間のTOPIXは約2.0倍)

※小松ウオール工業は連結決算がないため、単体の数字です。

強み|注文ごとに作る製品を、全国に3〜4週間で

建物ごとの受注生産で、採用サイトには「オーダーメイド90%」とあります。全国55の支店と石川県の工場、15のサービスセンターで、受注から設計、製造、販売、施工、サービスまでを自社で一貫して手がけ、注文ごとに作る製品を3〜4週間で出荷して、取り付けまで引き受けます。売上はレイアウト変更に合わせて移設できる可動間仕切が44.9%で、固定間仕切、トイレブースが続きます。受注残高は205億円と、この5期でいちばん多い水準です。

No.1は利益になっているか|会社はシェアと利益を結びつけていない

営業利益率は、原材料高を受けた5.2%から8.8%まで上がり、売上に対する原価の割合は5期で67.3%から63.9%に下がりました。ただ、会社が決算説明会の質疑で利益率が上がった理由に挙げているのは、シェアではなく、「値引きをせず対価をしっかりといただく」ことと高付加価値の製品の増加です。可動間仕切や固定間仕切、トイレブースについては「競争環境はより熾烈」とも話しています。業界トップでも、競争が楽なわけではない、ということだと思います。約95億円をかけた新しい工場が2027年5月に操業を始める予定で、その後は減価償却費が増えます。

株価の位置とひとこと

大きく上がったのは2025年(+73.6%、TOPIXは+22.4%)で、4月28日に配当方針を「DOE3.0%を下限」から「6%を目安」に変え、配当予想を前の期の2倍にしたことが評価されたとみられます。2026年は2月27日の3,060円から3月31日の2,580円まで15.7%下げ(同じ期間のTOPIXは−11.2%)、4月27日の本決算の翌営業日(4月28日)には10.0%上げました。過去5年のPBRの中央値0.75倍での計算上の株価は1,670円ほどで、数値の上では今の株価は過去5年の高い方にあります。中央値には、配当の方針を変える前(PBR1倍割れ)の時期が多く含まれます。

今の株価を支えているのは、5%近い利回りだと思います。ただ、その配当は利益の大半を使っていて、中東情勢による材料高は今期の計画に織り込まれていません。個人的には、来年4月の本決算で受注残高と営業利益率を確かめながら、長期で持つ候補としてはありだと思います。

大隈重信
業界で一番でも、値引きをやめて初めて利益が上がることもある。何が利益を生んだかを、会社の言葉で確かめるのじゃ。

国内シェアNo.1の会社を見るときの3つの点

6社を見てきて、国内シェアNo.1の会社を見るときに確かめたいのは、次の3つだと思います。

確かめること 6社で見えたこと
① No.1の製品が、売上のどれくらいか ソフトクリエイトHDは52.6%、ニレコのNo.1の装置の分野は2割強。同じNo.1でも、会社全体への効き方が違う
② シェアの数字の出どころと年 調査会社の調べは2社(ソフトクリエイトHD・アリアケジャパン。アリアケは調査年の記載なし)。残り4社は会社の調べ・推定・表記
③ それが利益率に表れているか No.1の事業が稼ぎ頭なのは4社。ニレコ(光学部品)とクニミネ工業(農薬の受託加工)は、別の事業の方が利益率が高い
会社 営業利益率
2026年3月期
自己資本比率 PER/PBR 予想配当利回り
ソフトクリエイトHD 18.1% 59.7% 13.2倍/2.21倍 2.83%
アリアケジャパン 17.6% 88.3% 17.1倍/1.25倍 5.75%
普通配当3.45%
ニレコ 15.4% 82.6% 15.0倍/1.32倍 3.35%
クニミネ工業 9.4% 83.0% 11.2倍/0.73倍 3.00%
新晃工業 15.9% 67.9% 11.4倍/1.29倍 4.11%
小松ウオール工業 8.8% 80.7% 15.8倍/1.23倍 4.94%

※株価は2026年10月21日終値。

大隈重信
売上のどれだけか、誰の調べか、利益に出ておるか。この三つを問えば、看板の「No.1」に振り回されずに済むのじゃ。

まとめ|国内シェアNo.1の企業は「No.1の事業が稼ぎ頭か」で見る

国内シェアNo.1で、4期連続増収・自己資本比率50%超の6社を見てきました。要点は3つです。

  • No.1の事業が稼ぎ頭なのは4社(ソフトクリエイトHD・アリアケジャパン・新晃工業・小松ウオール工業)。ニレコとクニミネ工業は、別の事業の方が利益率が高い。
  • シェアの出どころは会社によって違う。調査会社の調べは2社で、残り4社は会社自身の調べ・推定・表記でした。
  • 株価は過去5年のPBRで、低い方2社・真ん中あたり1社・高い方3社(2026年10月21日終値)。動画での個人的な見方は、長期で持つ候補4社、今は様子見1社(クニミネ工業)、今すぐ購入を検討する銘柄ではない1社(ニレコ)でした。

No.1という言葉は、会社の強みを語るうえで分かりやすい入り口です。ただ、そのNo.1が会社の利益のどこに効いているかまで見て、はじめて会社の評価になると思います。

就活生の方へ:「国内シェアNo.1」は面接で企業の強みを語るときの分かりやすい材料です。ただ、「No.1の事業が売上や利益のどれくらいを占めるか」まで言えると、企業研究の深さが伝わります。今回の6社のように、知名度は低くても国内で首位の事業を持つ会社を就活の目線で探すなら、隠れ優良企業【完全版】:チャンネルで紹介している企業を全て紹介!!【就活生必見】で、チャンネルで紹介してきた会社をまとめています。

国内ではなく世界でのシェアが高い会社を、シェアの出どころと利益率から読んだこちらの記事もどうぞ。

世界シェアが高い日本企業9選|「世界一」は2社だけ、減益4社も含めてシェアと利益を読む【2026年8月時点】

2026年10月25日

⚠️ 注意:この記事は個人の感想で、特定の銘柄の売買をすすめるものではありません。株価と指標は2026年10月21日終値で計算していて、日々変わります。シェアの数字は、出どころと時点を各社の節に書いたとおりで、最新の数字とは限りません。業績予想・配当予想は各社の会社予想で、将来を保証するものではありません。投資の判断は、最新の開示を確かめたうえでご自身で行ってください。

大隈重信
一番の看板の裏で、何が会社を食わせておるか。そこまで見抜けば、企業研究も株選びも一段深くなるぞ。