目次
はじめに|12月の株主優待は、優待が無くなっても持てるか
12月末に権利が確定する株主優待は、2026年は12月28日(月)が権利付き最終日です。12月29日(火)が権利落ち日で、この日以降に買っても今年の権利は付きません(日本取引所グループの休業日一覧で12月31日は休業日、株式の受渡しは買った日の2営業日後)。
ただ、株主優待は会社の判断で廃止されることがあります。たとえば日本たばこ産業(JT)は2022年2月に廃止を発表し、2022年12月31日が最後の基準日でした。ザ・パックは2026年2月に廃止を発表し、2026年12月末が最後です。理由に挙げられているのは、公平な利益還元や、配当などへの還元の集約です(各社の適時開示)。
そこでこの記事では、12月の優待の権利があり、6社とも5期続けて減配がなく、自己資本比率が50%を超えるあまり知られていない6社を、優待の中身と必要な金額、そして優待が無くなったときに何が残るかの順に見ていきます。
- 株価と、株価から計算する指標(時価総額・PER・PBR・配当利回り・優待の必要金額と利回り)、過去5年のPBRの位置は2026年10月28日終値です。優待の内容は2026年10月9日時点の各社の開示で、記事作成時点(10月31日)まで変更・廃止の開示はありません。業績は本決算の数字だけを使っています(四半期のぶれを避け、会社が通期で確定させた数字で比べるため)。
- 上の動画は2026年10月29日に公開したもので、本記事は動画と同じ数字で文章にし、表にまとめました。
- 動画の時点より後に第3四半期決算を発表した大倉工業と正興電機製作所は、数字を差し替えず、該当の節に【2026年10月追記】として足しています。
- 12月の株主優待がある6社の、優待の中身・必要な金額・利回り
- 優待が無くなったときに残る、配当・財務・稼ぐ力
- 過去5年のPBRで見た、6社の株価の位置
- 12月の優待を調べるときに確かめたいこと

【結論】12月の株主優待がある6社の一覧
先に6社の一覧です。1年ぶんの優待、必要な金額、優待と配当の利回り、株価がその会社自身の過去5年のPBRの中でどのあたりにあるかを並べました。社名を押すと、その会社の解説に飛びます。
| 社名 | 1年ぶんの優待 必要な金額 |
優待/配当の利回り | PBRの位置 過去5年の中で |
|---|---|---|---|
| 第1章 配当利回りが3.5%を超える3社 | |||
| 応用地質 9755 |
4,000ポイント 200株・約53.5万円 |
0.75%/4.11% | 真ん中あたり |
| サカタインクス 4633 |
QUOカード500円 100株・約27.0万円 |
0.19%/3.70% | 高い方 |
| 大倉工業 4221 |
QUOカード1,000円+ホテル券2,000円 100株・約51.3万円 |
0.19%(QUOのみ)/4.68% | 高い方 |
| 第2章 増配が続いている3社 | |||
| NJS 2325 |
10,000ポイント 300株・約126.3万円 |
0.79%/2.61% | 真ん中よりやや上 |
| 正興電機製作所 6653 |
QUOカード500円 100株・約18.8万円 |
0.27%/3.19% | 高い方 |
| アイキューブドシステムズ 4495 |
デジタルギフト2,000円分 100株・約20.2万円 |
0.99%/1.98% | 真ん中あたり |
※2026年10月28日終値(動画と同じ当チャンネル計算)。優待は、いま買ったときの額で、保有期間の条件はありません(サカタインクスと正興電機製作所は、長く持つと増えます)。
6社の優待の利回りは0.19〜0.99%、配当利回りは1.98〜4.68%で、受け取る額の大半は配当です。受け取りのうち優待の割合は約4%(大倉工業)から約33%(アイキューブドシステムズ)まで開きがあり、ここが「優待が無くなったときの影響」の大きさになります。
株価は、過去5年のPBRと比べると、真ん中あたりが2社、真ん中よりやや上が1社、高い方が3社でした。
この記事の物差し|株価は「その会社自身の過去5年」
株価の高い安いは、業種や市場の平均ではなく、その会社自身の過去5年のPBRと比べます。2021年10月〜2026年9月の各月末の終値を、その時点で公表済みの直近の本決算の1株純資産で割った値(株式分割は調整・当チャンネル計算)と比べ、10月28日の値が過去の月末の何%を上回るかで、30%未満=低い方、30〜54%=真ん中あたり、55〜69%=真ん中よりやや上、70%以上=高い方としています(動画と同じ区切り)。
この見方は、PBR1倍割れの割安株9選|財務と稼ぐ力で絞った9社を「安い3つの理由」で読む【2026年9月時点】でも使っています(区切りの%は記事ごとに書いています)。
- 6社の選び方:12月に優待の権利がある236社(優待情報サイト2つの一覧・当チャンネル調べ)→5期営業黒字・時価総額3,000億円未満で134社→自己資本比率・利益率・配当利回りで絞り、紹介済みの会社や広く知られた会社を除いた32社の優待を会社の開示で確認→いま買って今年12月末の優待がもらえる20社→5期減配なし・今期は営業増益の計画・自己資本比率50%超・あまり知られていない10社→配当の方針・借入・配当利回りを見て6社。
- 6社に共通:5期営業黒字/5期減配なし/自己資本比率50%超(最新の本決算)/今期は営業増益の計画/今期の減配予想なし(増配5社・据え置き1社)。
- 優待の利回り=1年ぶんの優待÷必要な金額。受け取りのうち優待の割合=1年ぶんの優待÷(会社予想の年間配当×必要株数+1年ぶんの優待)。ポイントは会社の開示の「1ポイント≒1円」で計算しています(当チャンネル計算)。
- PER=株価÷会社予想の1株利益、PBR=株価÷直近の本決算の1株純資産、予想配当利回り=会社予想の1株配当÷株価。「計算上の株価」は今の1株純資産×過去5年のPBRの中央値で、株価の予想ではありません。
- 株価の動き:年初から=2025年12月末の終値比、直近1年の高値=2026年10月28日までの1年の日足、5年=2021年9月末の終値比(株探)。同じ期間のTOPIXは年初から+17.1%、5年で約2.0倍です。
- 売上原価率・販管費率、利益の構成比は、各社の開示から当チャンネルが計算したものです(四捨五入のため、足し合わせが100%にならない場合があります)。営業利益率などは百万円単位の数字から計算しているので、億円の数字で割ると少しずれることがあります。
- 業績予想・配当予想・優待は、基準日の10月28日から記事作成時点の10月31日までに、修正や変更の開示はありません。ここから先の決算発表の予定は、サカタインクスが11月6日、NJSとアイキューブドシステムズが11月10日、応用地質が11月11日です(株探の表示)。
優待や配当だけでなく、その会社が業界の中でどの位置にいるかも見たいときは、業界の主要な会社と順位が一覧できる本が手元にあると早いです。毎年8月頃に新しい版が出ます。

第1章|配当利回りが3.5%を超える3社
第1章は、配当利回りが3.5%を超える3社です(10月28日終値)。動画では01:03からの部分です。
- 応用地質:地面の下を調べる会社。優待は今年始まったばかり
- サカタインクス:お菓子の袋や飲料缶の印刷インキ。来年1月に持株会社へ
- 大倉工業:詰め替えパウチと液晶テレビのフィルム。配当には期間限定の特別配当を含む
応用地質(9755)|優待は実績1回、残るのは利回り4.11%の配当と数字で示された方針
動画では01:03からです。
優待:200株で年4,000ポイント(6月末・12月末に各2,000)。2026年5月に導入を決めたばかり
株価の位置:PBR0.78倍で過去5年の真ん中あたり。配当利回り4.11%
| 市場・従業員 | 東証プライム・連結2,718人 |
|---|---|
| 優待 | 200株以上(100株は対象外)。お米・牛肉・スイーツ・家電など約5,000種類と交換(プレミアム優待倶楽部)。保有期間の条件なし。12月末分の案内は翌年2月中旬頃。受け取りのうち優待の割合は約15% |
| 売上高(5期) | 517→590→656→741→763億円(連結・2021年〜2025年12月期) |
| 営業利益率(5期) | 7.1→4.2→4.3→5.9→5.4% |
| 今期の会社予想 | 売上750億円(−1.7%)・営業利益42億円(+2.2%)・営業利益率5.6% |
| 株価/時価総額 | 2,674円/609億円 |
| PER/PBR | 15.6倍(会社予想)/0.78倍 |
| PBRの過去5年 | 0.60倍(2022年6月)〜0.94倍(2023年8月)・中央値0.82倍=真ん中あたり(過去の月末の37%を上回る) |
| 予想配当利回り | 4.11%(年110円・配当性向50%以上かつDOE3%以上が原則) |
| 1株配当 | 46→48→58→86→110円→予想110円(この5期で減配なし。今期は据え置き) |
| 財務 | 現預金234億円・借入金37億円・自己資本比率71.8% |
| 株価の動き | 年初から−4.7%/直近1年の高値3,175円(2026年3月)から−15.8%/5年で約1.8倍 |
強み|地質調査と調査機器の両方を持つ
売上は防災・インフラの調査が39.3%、洋上風力などの環境・エネルギーの調査が39.0%、海外の計測機器などの国際事業が21.6%です。会社は地質調査と調査機器の開発・製造の両方を持つことを強みに挙げ、洋上風力の海底地盤調査などで「国内トップシェア」と書いています(シェアの数字の記載はありません)。国と自治体向けが売上の41.3%で、国土交通省だけで10.3%です。会社は、国の国土強靱化の計画を背景に、公共事業の需要は中長期で安定していると説明しています。
なぜ利益率は5%台か|国内の競争と海外の赤字
利益をいちばん稼いでいるのは環境・エネルギーで(営業利益31億円・利益率10.3%)、防災・インフラは15億円(5.0%)、国際事業は5億円の赤字です。会社は国内の競争の激しさ、人件費の上昇、海外事業の悪化を挙げていて、目標の営業利益率8%には届いていません。売上原価率は69.0%、販管費率は25.6%です。今期の減収の理由には、洋上風力の一時的な需要の縮小を挙げています。
優待が無くなったら|配当の方針が数字で残る
優待は実績がまだ1回です。無くなったとしても、受け取りの約85%は配当で、配当の方針は数字で示されています。ただ、今期予想の配当性向は64.3%と高く、今期の純利益は政策保有株の売却益が減って−10.0%の見込みです。
株価の位置とひとこと
2025年11月11日、前の期(2025年12月期)の営業利益の予想を45億円から33億円に引き下げた日に9.4%下げました(同じ日のTOPIXは+0.1%)。2026年1月に37億円へ引き上げ、実績は約41億円でした。過去5年のPBRの中央値0.82倍での計算上の株価は2,800円ほどで、今の株価は過去5年の真ん中あたりです。
動画での個人的な見方は、6社の中でも持ってみたいと感じる会社で、来年2月の本決算で海外事業の赤字が縮んでいるかを確かめたい、というものです。

サカタインクス(4633)|優待は小さく、残るのは利益の50%以上を返す方針。ただし来年以降は未開示
動画では04:36からです。
優待:100株でQUOカード500円分(1年以上1,000円分・3年以上2,000円分)。受け取りの約5%
株価の位置:PBR1.11倍で過去5年の高い方。今期は+11.6%の増益の計画
| 市場・従業員 | 東証プライム・連結5,323人 |
|---|---|
| 優待 | 12月末・年1回。100株以上。保有期間の条件なし(いま買うと500円分)。届くのは3月下旬。2018年以降変更なし |
| 売上高(5期) | 1,815→2,155→2,283→2,456→2,577億円(連結・2021年〜2025年12月期) |
| 営業利益率(5期) | 4.1→1.9→5.0→5.4→5.9% |
| 今期の会社予想 | 売上2,865億円(+11.2%)・営業利益170億円(+11.6%)・営業利益率5.9% |
| 株価/時価総額 | 2,702円/1,317億円 |
| PER/PBR | 11.2倍(会社予想)/1.11倍 |
| PBRの過去5年 | 0.60倍(2023年2月)〜1.11倍(2026年8月)・中央値0.80倍=高い方(過去の月末の98%を上回る) |
| 予想配当利回り | 3.70%(年100円・中期経営計画2026の期間中は総還元性向50%以上) |
| 1株配当 | 30→30→35→70→95円→予想100円(この5期で減配なし) |
| 財務 | 現預金206億円・有利子負債299億円(借入の方が多い)・自己資本比率52.8% |
| 株価の動き | 年初から+14.1%/直近1年の高値2,762円(2026年10月)から−2.2%/5年で約2.3倍 |
強み|包装向けは景気の影響を受けにくいと会社は説明
売上がいちばん大きいのは南北アメリカの印刷インキで39.2%、利益はアジアがいちばん大きく42.2%です(利益率はアジア12.3%、米州5.2%、日本2.9%)。会社は包装向けを「景気の影響を受けにくい」と説明し、需要は中長期で増えると見る一方、紙の新聞や出版向けは減っていくと書いています。営業利益は3期連続で過去最高です(2025年12月期まで・決算説明資料)。
なぜ利益率が戻ってきたか|原材料と値上げの差
原材料は石油化学製品への依存度が高く、原材料の値段と製品の値上げの差で利益が動きます。2022年は値上げが追いつかず営業利益率1.9%まで下がり、売上原価率は81.8%(2022年12月期)から75.0%(2025年12月期)に下がりました。販管費率は19.1%です。2026年8月には売上の予想だけを引き上げ、営業利益は据え置いています。
優待が無くなったら|影響は小さいが、次の方針を確かめたい
優待は受け取りの約5%なので、無くなっても影響は小さく、3%台後半の配当が残ります。自社株買いは2024〜2026年に各10億円で、2026年5月に発行済みの7.7%を消却しました。ただ、総還元性向50%以上は今年までの計画で、2027年以降の方針は開示されていません。また、2027年1月1日(予定)に持株会社になり、社名が「INXホールディングス」に変わります。そのあとの優待と証券コードの扱いは、会社の開示に記載がありません(会社は「引き続き上場を維持」と説明)。
株価の位置とひとこと
過去5年のPBRの中央値0.80倍での計算上の株価は1,940円ほどで、数値の上では今の株価は過去5年の高い方にあります。動画での個人的な見方は、長期で持つ候補としてはありで、来年2月の本決算で次の還元の方針を確かめたい、というものです。

大倉工業(4221)|利回り4.68%のうち特別配当を除くと3.51%、PBRは過去5年の高い方
動画では07:50からです。
優待:100株でQUOカード1,000円分+自社グループのホテル(丸亀)の利用券2,000円分。受け取りの約4%(QUOのみで計算)
株価の位置:PBR0.92倍で過去5年の高い方。今期は+37.4%の増益の計画(買収を含む)
| 市場・従業員 | 東証プライム・連結1,883人 |
|---|---|
| 優待 | 12月末・年1回。保有期間の条件なし。届くのは3月。ホテルの券は宿泊・宴会・レストランで使用可で、丸亀市の1施設のみ |
| 売上高(5期) | 884→773→789→812→867億円(連結・2021年〜2025年12月期。2022年から会計基準の変更で売上が約195億円減) |
| 営業利益率(5期) | 5.8→4.9→6.3→5.6→7.1% |
| 今期の会社予想 | 売上1,030億円(+18.9%)・営業利益85億円(+37.4%)・営業利益率8.3%(2026年7月30日に上方修正) |
| 株価/時価総額 | 5,130円/579億円 |
| PER/PBR | 10.1倍(会社予想)/0.92倍 |
| PBRの過去5年 | 0.39倍(2022年5月)〜1.02倍(2025年9月)・中央値0.58倍=高い方(過去の月末の87%を上回る) |
| 予想配当利回り | 4.68%(年240円。うち約60円は2027年までの中期経営計画の特別配当〔当チャンネル計算〕で、除くと約180円・3.51%) |
| 1株配当 | 70→85→110→160→195円(195円は特別27円を含む)→予想240円(この5期は毎期増配) |
| 財務 | 自己資本比率61.2%(2025年12月期)。買収後の2026年6月末は53.4%・借入金199億円 |
| 株価の動き | 年初から+5.4%/直近1年の高値5,810円(2026年9月)から−11.7%/5年で約2.2倍 |
強み|包装フィルムと光学フィルムの2本柱
事業ごとの利益で見ると、約6割が包装フィルム(利益率10.5%)、3割弱が光学フィルム(13.1%)です。光学フィルムの利益は前の年の12億円から2025年12月期は25億円と1年で約2倍になり、会社は新工場の安定稼働を挙げています。光学フィルムは中国向けが多くを占めます。会社は65インチ以上の大型化で広幅の光学フィルムの需要が増えると予測しています。
なぜ利益率が上がってきたか|値上げと生産性、今期は買収も
会社は包装フィルムの値上げと生産性の向上を挙げています。売上原価率は2024年12月期の81.3%から2025年12月期は79.8%に下がり、販管費率は13.1%です。今期の大きな増益には、フィルム加工会社フジコーの買収が含まれ、会社は中東情勢を受けた先回りの注文(仮需)にも触れています。一方で、物価上昇で包装用フィルムの販売数量は減っているとも書いています。
優待が無くなったら|特別配当を除いても3%台
優待は受け取りの約4%で、無くなっても影響は小さいです。いまの配当予想なら、特別配当を除いても利回りは3%台です。配当方針はDOE3.0%以上かつ配当性向30%以上で、中期経営計画の期間中は特別配当でDOE4.0%水準にするとしています。
株価の位置とひとこと
2026年7月31日、前日の上方修正と増配を受けて9.7%上がりました(同じ日のTOPIXは+1.3%)。9月30日には住友化学など7社が持つ計1,255,800株(発行済みの10.1%)と追加分の売出しを発表しています。新株の発行はなく、目的は政策保有株式の見直しです。過去5年のPBRの中央値0.58倍での計算上の株価は3,240円ほどで、数値の上では今の株価は過去5年の高い方にあります。
動画での個人的な見方は、優待が無くなっても持てる会社だが今は様子見で、来年2月の本決算で特別配当を除いた配当が伸びているかを確かめたい、というものです。
1〜9月の累計は売上802億円(前年同期比+24.9%)、営業利益89億円(+91.0%)でした。累計の営業利益は通期の予想85億円をすでに上回っていますが、会社は通期の予想(売上1,030億円・営業利益85億円)と配当予想(年240円)を変えていません。2026年9月末の自己資本比率は53.7%です。優待の変更の開示もありません。この記事の株価と指標は、この決算より前の10月28日終値のままです。

第2章|増配が続いている3社
第2章は、増配が続いている3社です。実績でNJSは8期連続、正興電機製作所は3期連続(記念配当を含む年間配当で)、アイキューブドシステムズは5期連続で、3社とも今期も増配の予想です。動画では11:21からの部分です。
- NJS:上下水道の設計のコンサルタント。優待には約126万円が必要
- 正興電機製作所:変電所や浄水場の監視と配電盤。高値から3割あまり下がった
- アイキューブドシステムズ:会社のスマホの管理。受け取りの3分の1が優待
NJS(2325)|優待には約126万円が必要、100株でも残るのは8期続いた増配と厚い財務
動画では11:21からです。
優待:300株で年10,000ポイント(6月末・12月末に各5,000)。100株・200株は対象外
株価の位置:PBR1.41倍で過去5年の真ん中よりやや上。今期は+10.2%の増益の計画
| 市場・従業員 | 東証プライム・連結1,471人 |
|---|---|
| 優待 | 300株以上。約5,000種類と交換でき、下水の汚泥を肥料にして育てた野菜もある。保有期間の条件なし。受け取りの約23%。2023年に開始 |
| 売上高(5期) | 193→192→220→226→249億円(連結・2021年〜2025年12月期) |
| 営業利益率(5期) | 14.3→10.1→7.3→13.2→13.1% |
| 今期の会社予想 | 売上280億円(+12.7%)・営業利益36億円(+10.2%)・営業利益率12.9% |
| 株価/時価総額 | 4,210円/401億円 |
| PER/PBR | 16.4倍(会社予想)/1.41倍 |
| PBRの過去5年 | 0.87倍(2022年6月)〜2.29倍(2025年8月)・中央値1.26倍=真ん中よりやや上(過去の月末の55%を上回る) |
| 予想配当利回り | 2.61%(年110円・配当性向40〜50%が目安) |
| 1株配当 | 65→75→85→95→105円→予想110円(2025年12月期まで実績8期連続の増配) |
| 財務 | 自己資本比率81.2%(5期とも78%以上)。借入はほとんどなし |
| 株価の動き | 年初から−17.5%/直近1年の高値5,640円(2026年1月)から−25.4%/5年で約2.2倍 |
強み|国内の上下水道で、受注の残りは売上の約1.2年分
売上の92.2%が国内で、国内の利益率は15.2%です。分野別では下水道が61.7%、上水道が30.7%で、最大の販売先は日本下水道事業団(売上の17.2%)です。受注残高は293億円(+40.8%。子会社化の影響を含む)で、売上の約1.2年分あります。会社は、2025年1月の埼玉県八潮市の道路陥没事故が、下水道の老朽化のリスクを再認識させたと書いています。海外は2期続けて赤字です。
なぜ利益率が高いか|設備を持たず、災害対策と更新の仕事が伸びた
コンサルタントなので工場や大きな設備を持ちません(設備投資は年6.6億円で売上の2.7%)。会社は、利益率の高い国内業務で災害対策や老朽化施設の更新の仕事が伸びたことを挙げています。同じ上下水道のコンサルタントと比べると、営業利益率はNJS 13.1%、オリジナル設計 10.8%、日水コン 9.7%です(2025年12月期)。売上原価率は59.4%、販管費率は27.5%です。
優待が無くなったら|100株でも同じものが残る
優待をもらうには約126万円が必要で、ハードルは6社でいちばん高いです。ただ、100株(約42.1万円)でも、8期続いた増配と借入のほとんどない財務は同じです。一方で配当利回りは2%台で、高くはありません。なお、2026年10月27日に「2030 中期経営計画」(2030年の売上400億円が目標)を公表しました。今期の予想の修正はなく、配当方針の記載もありません。
株価の位置とひとこと
2026年2月13日の本決算をはさんだ2日で8%下がりました(2月12日の終値5,000円から2月16日の終値4,600円)。前の期の営業利益33億円が、2025年8月に修正した会社の予想36億円に届かなかったことが重しになったとみられます。10月28日の終値4,210円は直近1年の安値です。過去5年のPBRの中央値1.26倍での計算上の株価は3,770円ほどです。
動画での個人的な見方は、優待が無くなっても持てる会社だが今は様子見で、来年2月の本決算で営業利益が計画に届くかを確かめたい、というものです。

正興電機製作所(6653)|利益率は毎期上昇、高値から3割あまり下がってもPBRは過去5年の高い方
動画では15:20からです。
優待:100株でQUOカード500円分。今年12月末から、3年以上の保有で1,000円分に。受け取りの約8%
株価の位置:PBR1.40倍で過去5年の高い方。今期は+14.7%の増益の計画
| 市場・従業員 | 東証プライム・福証・連結971人 |
|---|---|
| 優待 | 12月末・年1回。100株以上。保有期間の条件なし。届くのは3月中旬。2017年に開始し、額の引き下げなし |
| 売上高(5期) | 246→250→271→291→314億円(連結・2021年〜2025年12月期) |
| 営業利益率(5期) | 5.7→5.8→6.0→6.9→8.3% |
| 今期の会社予想 | 売上360億円(+14.7%)・営業利益30億円(+14.7%)・営業利益率8.3% |
| 株価/時価総額 | 1,879円/254億円 |
| PER/PBR | 10.2倍(会社予想)/1.40倍 |
| PBRの過去5年 | 0.96倍(2025年2月)〜2.02倍(2026年2月)・中央値1.20倍=高い方(過去の月末の70%を上回る) |
| 予想配当利回り | 3.19%(年60円。配当性向などの数値の約束なし) |
| 1株配当 | 30→30→35→40→50円(30円の最初の期は記念5円を含む)→予想60円(この5期で減配なし) |
| 財務 | 現預金33億円・借入金10億円・自己資本比率52.1% |
| 株価の動き | 年初から−20.2%/直近1年の高値2,855円(2026年4月)から−34.2%/5年で約1.3倍 |
強み|利益の半分近くは電力部門
売上がいちばん大きいのは上下水道やデータセンター向けの環境エネルギー部門で41.4%ですが、利益の47.3%は発電所や変電所向けの電力部門が稼いでいます(利益率15.0%)。最大の販売先は九州電力で売上の23.4%です。受注残高は374億円(+26.4%)で、前の期の売上の約1.2倍あります。会社は、AI向けのデータセンターや半導体工場の建設で、電力の安定供給の重要性が高まっていると説明しています。
なぜ利益率が上がってきたか|付加価値の高いシステムと原価の低減
会社は、付加価値の高い情報制御の売上増加と原価の低減を挙げています。売上原価率は81.0%、販管費率は10.6%です。今期の利益率が横ばいなのは、ハード製品の構成比が高まることと研究開発センターの費用が理由です。官公庁の入札では過当競争による価格の低下も逆風に挙げています。
優待が無くなったら|増配と受注は残るが、配当の数値の約束はない
優待は受け取りの約8%で、無くなっても影響は小さいです。残るのは続いている増配と積み上がった受注です。ただ、配当方針に配当性向やDOEなどの数値はなく、自己資本比率は2024年の公募増資(株数+10.4%)のあとに50%台に乗ったばかりです(42.4→41.2→45.9→52.4→52.1%)。
株価の位置とひとこと
2025年の1年間で+103.5%のあと、2026年2月12日の本決算と同じ日に中期経営計画の最終年度の目標を引き下げ(売上400億円→360億円・営業利益36億円→30億円)、翌日に17.2%下げました(同じ日のTOPIXは−1.6%)。過去5年のPBRの中央値1.20倍での計算上の株価は1,600円ほどで、数値の上では今の株価は過去5年の高い方にあります。
動画での個人的な見方は、長期で持つ候補としてはありで、来年2月の本決算で受注が売上と利益に変わっているかを確かめたい、というものです。
1〜9月の累計は売上245億円(前年同期比+17.6%)、営業利益22億円(+24.8%)でした。通期の予想(売上360億円・営業利益30億円)と配当予想(年60円)は変えていません。2026年9月末の自己資本比率は56.6%です。優待の変更の開示もありません。この記事の株価と指標は、この決算より前の10月28日終値のままです。

アイキューブドシステムズ(4495)|優待の利回りは6社で最高、だからこそ無くなったときの影響も最大
動画では18:45からです。
優待:100株で年2,000円分のデジタルギフト(6月末・12月末に各1,000円分)。受け取りの約33%で6社で最大
株価の位置:PBR3.24倍で過去5年の真ん中あたり。今期は+10.3%の増益の計画
| 市場・従業員 | 東証グロース・連結221人(6月決算) |
|---|---|
| 優待 | 100株以上。Amazonギフトカード・QUOカードPay・PayPayポイント・dポイントなどと交換(一部は交換レートが異なる)。保有期間の条件なし。2025年3月に導入し、今年12月末が4回目 |
| 売上高(5期) | 25→27→29→37→44億円(連結・2022年〜2026年6月期) |
| 営業利益率(5期) | 33.7→23.2→23.5→24.1→26.4% |
| 今期の会社予想 | 売上50億円(+12.6%)・営業利益13億円(+10.3%)・営業利益率25.8%(2027年6月期) |
| 株価/時価総額 | 2,022円/99億円 |
| PER/PBR | 12.4倍(会社予想)/3.24倍 |
| PBRの過去5年 | 2.64倍(2024年9月)〜13.24倍(2021年11月)・中央値3.43倍=真ん中あたり(過去の月末の38%を上回る) |
| 予想配当利回り | 1.98%(年40円・6社でいちばん低い。12月末は中間配当の基準日) |
| 1株配当 | 20→30→32→34→38円(38円は記念2円を含む)→予想40円(この5期で減配なし) |
| 財務 | 現預金29億円・有利子負債なし・自己資本比率58.6%・ROE26.1% |
| 株価の動き | 年初から−26.7%/直近1年の高値2,980円(2025年12月)から−32.1%/5年−51.5%(ほぼ半分) |
強み|売上の96%が継続課金
売上のすべてが端末の管理と情報漏えい対策の事業で、売上の96%が継続課金(単体)、ライセンスの継続率は95.8%です。導入法人数は2022年6月期の3,915社から2026年6月末の10,718社に増えました。国内MDM市場(自社ブランド)で15年連続シェアNo.1と会社資料にあります(デロイト トーマツ ミック経済研究所・自社ブランド限定・出荷金額・2025年度は予測値)。最大の販売先は販売パートナーでもあるNTTドコモのグループで、売上の47.3%です。
なぜ利益率が高いか|クラウドで開発費が顧客数に比例しない
クラウドで提供するので、顧客が増えても開発費は同じようには増えません。営業は販売パートナーが主体です。売上原価率は22.7%、販管費率は50.9%です。一方で、アップルやグーグル、マイクロソフトも同じ種類のサービスを出していて、会社は価格競争をリスクに挙げています。前の期にはドコモの旧サービス終了に伴う移行の需要があり、今期は伸びが落ち着く計画です。
優待が無くなったら|6社でいちばん悩ましい
100株で配当は年4,000円、優待は年2,000円分(交換先によってレートが異なるものがあります)で、受け取りの約3分の1が優待です。無くなったとしても、26%台の営業利益率と借入のない財務、続いている増配は残ります。会社は2026年9月29日の資料で「株主優待制度の継続・拡充を目指す」「毎期、前年同額以上の配当を目指す」と書いています。
株価の位置とひとこと
2026年8月12日の本決算の翌日に6.9%下げました(同じ日のTOPIXは+0.9%)。過去5年のPBRの中央値3.43倍での計算上の株価は2,140円ほどで、今の株価は過去5年の真ん中あたりです。
動画での個人的な見方は、事業の伸びを見れば候補としてはありだが、「優待が無くなっても持てるか」という物差しでは6社でいちばん悩ましい、というものです。

12月の優待を調べるときに確かめたいこと
6社を見てきて、12月の優待を調べるときに確かめたいのは、次の4つだと思います。
| 確かめること | 今回の調べで分かったこと |
|---|---|
| ① 権利が付く日 | 2026年の権利付き最終日は12月28日(月)。12月29日以降に買っても今年の権利は付かない。権利落ち日には、配当や優待の分だけ株価が下がることがある。6社とも12月末は配当の基準日でもある(5社は期末配当、アイキューブドシステムズは中間配当) |
| ② 必要な株数と保有期間の条件 | 応用地質は200株、NJSは300株、ほかの4社は100株。開示を確かめた32社のうち10社は1年以上の継続保有が条件で、いま買っても今年はもらえなかった |
| ③ 優待の利回りと配当の割合 | 優待の利回りは0.19〜0.99%、配当利回りは1.98〜4.68%。受け取りのうち優待の割合は約4〜33% |
| ④ 最新の開示 | 優待の内容は変わることがある。サカタインクスは持株会社になったあとの扱いが未記載。応用地質は実績1回 |
| 会社 | 営業利益率 直近の本決算 |
自己資本比率 | PER/PBR | 優待の割合 |
|---|---|---|---|---|
| 応用地質 | 5.4% | 71.8% | 15.6倍/0.78倍 | 約15% |
| サカタインクス | 5.9% | 52.8% | 11.2倍/1.11倍 | 約5% |
| 大倉工業 | 7.1% | 61.2% | 10.1倍/0.92倍 | 約4% |
| NJS | 13.1% | 81.2% | 16.4倍/1.41倍 | 約23% |
| 正興電機製作所 | 8.3% | 52.1% | 10.2倍/1.40倍 | 約8% |
| アイキューブド | 26.4% | 58.6% | 12.4倍/3.24倍 | 約33% |
※株価は2026年10月28日終値。

まとめ|12月の株主優待は「無くなったときに何が残るか」で見る
12月の優待の権利があり、5期減配なし、自己資本比率50%超の6社を見てきました。要点は3つです。
- 受け取る額の大半は配当。6社の優待の利回りは0.19〜0.99%、配当利回りは1.98〜4.68%でした。
- 優待が無くなったときの影響は会社で違う。受け取りのうち優待の割合は、大倉工業の約4%からアイキューブドシステムズの約33%まで開きがあります。
- 株価は過去5年のPBRで、真ん中あたり2社・真ん中よりやや上1社・高い方3社(2026年10月28日終値)。動画での個人的な見方は、持ってみたい会社1社(応用地質)、長期で持つ候補2社(サカタインクス・正興電機製作所)、今は様子見2社(大倉工業・NJS)、いちばん悩ましい1社(アイキューブドシステムズ)でした。これは個人の感想で、売買をすすめるものではありません。
株主優待は、会社を知る入り口として分かりやすいものです。ただ、優待は会社の判断で変わります。優待の条件は、検討するときに会社の最新の開示で確かめてください。
応用地質やNJSと同じく、災害への備えに関わる会社を読んだこちらの記事もどうぞ。
⚠️ 注意:この記事は個人の感想で、特定の銘柄の売買をすすめるものではありません。株価と指標は2026年10月28日終値で計算していて、日々変わります。優待の内容は2026年10月9日時点の各社の開示で、変更・廃止されることがあります。業績予想・配当予想は各社の会社予想で、将来を保証するものではありません。投資の判断は、最新の開示を確かめたうえでご自身で行ってください。

