目次
はじめに|世界シェアが高い日本企業9社、「世界一」と書けるのは2社だけ
健康診断の便潜血検査の試薬、ロケットや自動車部品を揺らして試す振動試験装置、コンビニの棚札を印字するラベルプリンタ、北米の林業で使われるチェーンソー、AIサーバーの基板に入るガラス繊維、ハードディスクの中の小さなばね。どれも表には出てきませんが、日本の会社が世界や国内で高いシェアを持っている製品です。
ただ、「世界シェアが高い」という言葉には幅があります。この記事の9社のうち、会社自身が「世界一」と書いているのは2社だけで、ほかは世界2位、国内首位、世界トップ5といった位置づけです。また、直近の本決算で営業利益が減った会社が4社あります。シェアが高いことと、利益が伸びていることは別の話です。
この記事では、世界や国内で高いシェアを持ちながら広くは知られていない9社について、シェアの数字の中身と出どころ、そのシェアが利益になっているか、そして株価がその会社自身の過去5年と比べてどのあたりにあるかを、一社ずつ見ていきます。
- 株価と、株価から計算する指標(時価総額・PER・PBR・配当利回り)は2026年8月31日終値です。業績は本決算の数字だけを使っています(四半期のぶれを避け、会社が通期で確定させた数字で比べるため)。
- 上の動画は2026年9月5日に公開したもので、本記事は動画と同じ数字で文章にし、表を足しました。動画に入れていなかったのは、5期の営業利益率の推移と、その会社自身の過去5年のPBRの幅で見た株価の位置です。
- 自己資本比率と配当の推移は、各社の決算短信の数字で確かめ直しました。動画の数字と違うところは、その会社の節に書いています。
- 世界や国内で高いシェアを持つ日本企業9社の一覧
- 「世界一」「世界2位」「国内首位」の違いと、シェアの数字の出どころの見方
- 各社のシェアが利益になっているか(5期の営業利益率と直近の減益)
- 過去5年のPBRで見た、9社の株価の位置
- 世界シェアの高い会社の平均年収

【結論】世界シェアが高い日本企業9社の一覧
先に9社の一覧です。シェアの位置づけと出どころ、直近の本決算の営業利益率、株価がその会社自身の過去5年のPBRの中でどのあたりにあるかを並べました。社名を押すと、その会社の解説に飛びます。
| 社名 | シェアの位置づけ 出どころ |
営業利益率 直近の本決算 |
PBRの位置 過去5年の中で |
|---|---|---|---|
| 第1章 世界で1位・2位の位置にいる | |||
| ニッパツ 5991・ばね |
HDD用サスペンション 世界No.1 会社の公式サイト |
5.6% 営業減益 |
高い方 |
| 東洋炭素 5310・特殊炭素 |
等方性黒鉛材料の生産能力 世界最大(単結晶シリコン用などの黒鉛部材は世界シェア1位=会社推計) 有価証券報告書 |
14.6% 営業減益 |
高い方 |
| 大氣社 1979・空調・塗装 |
自動車の塗装プラント 世界2位・約25% 会社の開示した数字ではない |
8.2% | 高い方 |
| サトーHD 6287・自動認識 |
ラベルプリンタ 国内出荷数量1位・世界販売金額2位 公開資料 |
6.8% 営業減益 |
真ん中あたり |
| 第2章 検査・試験の現場を押さえる | |||
| 栄研化学 4549・臨床検査薬 |
便潜血検査の試薬 国内約7割・海外約7割 報道 |
7.0% 営業減益 |
真ん中あたり |
| IMV 7760・振動試験装置 |
動電式振動試験装置 国内約63%・海外約24% 2023年4月時点 |
12.9% | 高い方 |
| 第3章 シェアの順位より、利益率と素材で読む | |||
| やまびこ 6250・屋外作業機械 |
チェーンソー 世界トップ5 業界の位置づけ |
11.3% | 過去5年で最も高い |
| ヒロセ電機 6806・コネクタ |
コネクタ 世界11位 業界調査(2024年) |
20.4% | 高い方 |
| 日東紡 3110・ガラス繊維 |
AIサーバー基板向けのTガラスで高い地位 報道(会社の数字はない) |
17.6% | 高い方 |
※営業利益率は直近の本決算(2025年9月期〜2026年3月期)。PBRの位置は2026年8月31日終値で、下の「2つの物差し」のとおり当ブログ計算。
9社の営業利益率は5.6%から20.4%まで開きがあり、世界シェアが高いからといって利益率がそろって高いわけではありません。株価は、過去5年のPBRと比べると9社中7社が「高い方」か「過去5年で最も高い」で、真ん中あたりは2社でした。2026年8月末は、9社の多くが過去5年で高い評価を受けていた時期だったと言えます。
- 何の数字か:サトーHDの国内1位は「出荷数量」、世界2位は「販売金額」、東洋炭素の世界最大は「生産能力」です。同じ「シェア」でも、数えているものが違います。
- どの範囲か:IMVは「動電式」の振動試験装置、ニッパツは「HDD用」のサスペンションです。範囲を狭くするほど、順位は高く出ます。
- 誰が言っているか:会社の公式サイト・有価証券報告書、調査会社、報道、で信頼の度合いが違います。この記事では出どころを社ごとに書き、会社が書いていない数字は「報道」などと分けています。
この記事の2つの物差し|シェアは「中身と出どころ」、株価は「その会社自身の過去5年」
- シェア=何の、どの範囲の、誰が数えた数字か:上の囲みのとおり、順位だけで比べません。
- 株価の高い安い=その会社自身の過去5年のPBR:業種や市場の平均とは比べません。2021年8月〜2026年7月の月末のPBR(60か月)のうち、2026年8月31日のPBRより低かった月の割合(四捨五入)が80%以上なら「高い方」、30%未満なら「低い方」、それ以外を「真ん中あたり」としています。8月31日のPBRが60か月のどの月末よりも高いときは「過去5年で最も高い」と書きます。
過去5年のPBRの幅で株価の位置を見る方法は、PBR1倍割れの割安株9選|財務と稼ぐ力で絞った9社を「安い3つの理由」で読む【2026年9月時点】でも詳しく使っています。
- 株価・時価総額・PER・PBR・予想配当利回りは、動画と同じ株探の2026年8月31日終値の値です。PERは会社予想の1株利益で計算しています。
- 過去5年のPBRの幅=月末終値(株探の月足・株式分割は調整済み)÷その月末までに発表済みの直近本決算の1株純資産(当ブログ計算。本決算の1株純資産は、決算期末の45日後の月末から使っています=3月決算なら5月末から)。8月31日の位置も同じ式(終値÷直近本決算の1株純資産)で出しています。株探の表示PBR(動画と表の「PER/PBR」の欄の数字)とは一致せず、ニッパツ・IMV・やまびこ・大氣社のように1割前後違う会社もあるため、過去5年との比較は当ブログの値どうしだけで行っています。倍率は四捨五入しているので、表の倍率から計算上の株価を出し直すと少しずれます。「計算上の株価」は今の1株純資産×過去5年の中央値で、株価の予想ではありません。
- 営業利益率=営業利益÷売上高(大氣社は完成工事高)。5期は各社の直近の本決算から5期分です。
- 株価の動き:年初から=2025年12月30日の終値比、直近1年の高値=2025年9月〜2026年8月の月足の高値、直近5年=2021年8月末の終値比。
- 業績予想・配当予想は、記事作成時点(2026年10月25日)まで9社とも修正の開示はありません。
9社のように、ある製品で高いシェアを持つ会社を業界ごとに探すなら、業界の主要企業とシェアの順位が一覧できる本が手元にあると早いです。毎年8月頃に新しい版が出ます。
なお、経済産業省が選ぶ「グローバルニッチトップ企業100選」の考え方と選ばれた会社の探し方は、グローバルニッチトップ企業100選とは|就活生向け一覧と隠れ優良企業の探し方【2026年版】で解説しています。この記事は、その考え方を参考に、当チャンネルが独自に選んだ上場9社を株価と財務の面で読む、という位置づけです(9社すべてが100選に選ばれた会社ではありません)。

第1章|世界で1位・2位の位置にいる4社
第1章は、世界での順位が1位・2位と示されている4社です。動画では15:39から(ニッパツ)など、各社の節の頭に該当の時刻を置いています。同じ「1位・2位」でも、出どころは4社で違います。
- ニッパツ:HDD用サスペンションで世界No.1(会社の公式サイトに記載)
- 東洋炭素:等方性黒鉛材料の生産能力で世界最大(有価証券報告書に会社が記載)
- 大氣社:自動車の塗装プラントで世界2位・約25%(会社が数字を出しているものではない)
- サトーHD:ラベルプリンタで世界販売金額2位(国内は出荷数量1位)
ニッパツ(5991)|ばね屋がHDD用サスペンションで世界No.1、ただし売上の大半は自動車
動画では15:39からです。
シェア:HDD用サスペンションで世界No.1(会社の公式サイト)
利益と株価:営業利益率は5.6%で直近は営業減益。PBRは過去5年の高い方
| 市場 | 東証プライム |
|---|---|
| 売上高(5期) | 5,869→6,932→7,669→8,017→8,169億円(3月期・連結) |
| 営業利益率(5期) | 3.6→4.2→4.5→6.5→5.6% |
| 直近の本決算 | 2026年3月期:売上+1.9%・営業利益458億円(−12.2%) |
| 今期の会社予想 | 売上8,600億円・営業利益590億円(営業利益率6.9%) |
| 株価/時価総額 | 3,436円/約7,939億円 |
| PER/PBR | 15.5倍(会社予想)/1.53倍 |
| PBRの過去5年 | 0.58倍(2022年10月)〜2.05倍(2026年6月)・中央値0.80倍。8月31日は1.81倍(当ブログ計算)=高い方(過去の月末の95%を上回る) |
| 予想配当利回り | 2.01% |
| 1株配当 | 27→32→42→69→66円(2022年3月期〜2026年3月期)→予想69円 |
| 自己資本比率 | 59.3%(2026年3月期) |
| 平均年収 | 791万円(有価証券報告書・単体) |
| 株価の動き | 年初から+36.5%/直近1年の高値4,340円(2026年6月)から−20.8%/直近5年で約4.3倍 |
強み|自動車用ばねの精密加工を、HDD部品に生かした
ニッパツは、ハードディスクの読み書きをする部品を支えるサスペンションで、世界ナンバーワンのシェアを持つと公式サイトに書いています。ばねで培ったミクロン単位の精密な加工を、HDD部品に広げたのが強みです。データセンターでハードディスクの需要が伸びれば、この事業に追い風が吹く形です。動画では「世界のハードディスクのおよそ半分にこの会社の部品が入っている計算」と紹介しましたが、これは会社が出している数字ではありません。
シェアは利益になっているか|世界No.1の事業は、まだ全体の一部
全体の営業利益率は5.6%と、9社の中で最も低い水準です。2026年3月期は売上が1.9%増えた一方、営業利益は12.2%減りました。売上の大半は自動車用のばねやシートで、世界No.1のHDD用サスペンションはまだ全体の一部です。伸びているHDDの事業が全体に占める割合がどこまで上がるかが、この会社の利益率を決めると思います。配当はこの5期のあいだに27円から66円へ2倍以上になりましたが、2026年3月期は前の期の69円から66円に減っています。
株価の位置とひとこと
株価は3,436円で、年初から36.5%上がっていますが、直近1年の高値からは約2割下の水準です。2025年9月・10月、2026年4月・5月には月に2〜3割上がる月があり、値動きは大きい会社です。過去5年の月末のPBRは0.58〜2.05倍で、中央値0.80倍を今の1株純資産に当てはめた計算上の株価は1,510円ほどです。数値の上では、今の株価は過去5年の高い方にあります。
動画のあと、会社は2026年9月17日に、需要の増加に対応してHDD用サスペンションの生産能力を増強すると発表しています。世界一を持ちながら、その世界一がまだ全体の一部でしかない。個人的には、HDDの事業の伸びが全体の利益率に表れてくるかを、毎年の決算で確かめたい会社だと思います。
東洋炭素(5310)|等方性黒鉛の生産能力は世界最大、前の期の最高益から大幅減益
動画では17:47からです。
シェア:等方性黒鉛材料の生産能力が世界最大(有価証券報告書に会社が記載)
利益と株価:営業利益は前の期から44.6%減。PBRは過去5年の高い方
| 市場 | 東証プライム |
|---|---|
| 売上高(5期) | 377→438→493→531→462億円(12月期・連結) |
| 営業利益率(5期) | 15.0→15.2→18.8→23.0→14.6% |
| 直近の本決算 | 2025年12月期:売上−13.0%・営業利益67.6億円(−44.6%) |
| 今期の会社予想 | 売上490億円・営業利益62億円(営業利益率12.7%) |
| 株価/時価総額 | 6,840円/約1,436億円 |
| PER/PBR | 28.7倍(会社予想)/1.47倍 |
| PBRの過去5年 | 0.82倍(2022年6月)〜2.05倍(2024年3月)・中央値1.09倍。8月31日は1.47倍=高い方(過去の月末の82%を上回る) |
| 予想配当利回り | 2.12%(年145円) |
| 1株配当 | 60→70→110→145→145円(2021年12月期〜2025年12月期)→予想145円 |
| 自己資本比率 | 82.7%(2025年12月期) |
| 平均年収 | 725万円(有価証券報告書・単体) |
| 株価の動き | 年初から+41.9%/直近1年の高値8,990円(2026年6月)から−23.9%/直近5年で約2.5倍 |
※動画では自己資本比率を83.2%と紹介しましたが、これは2024年12月期の値で、2025年12月期は82.7%です。
強み|1974年に量産化した等方性黒鉛
東洋炭素は、有価証券報告書の中で、等方性黒鉛材料の生産能力が世界最大だと書いています。単結晶シリコンの製造などに使う黒鉛部材では「グローバルシェア1位」としていて、これは会社の推計だと明記しています。シリコンの単結晶を引き上げる炉の中は1,400度を超える環境で、その中で使われる部材です。1974年に国内外の企業に先駆けて等方性黒鉛材料の量産化に成功し、そこから半世紀にわたって技術を積み上げてきたことが強みです。
シェアは利益になっているか|好調なときは大きく伸び、逆もある
営業利益率は2024年12月期に23.0%まで上がりましたが、2025年12月期は14.6%に下がり、営業利益は44.6%減りました。顧客の所在地で見た海外売上高比率は57.2%で、世界の半導体の市場環境と為替の両方を受けやすい形です。今期の会社予想も営業利益62億円と、さらに減る計画で、9社の中で今期も減益の計画は東洋炭素だけです。シェアが高くても、半導体の投資の波からは逃れられないということだと思います。
株価の位置とひとこと
株価は6,840円で、年初から41.9%上がっていますが、直近1年の高値からは2割あまり下の水準です。2026年3月に月間で約2割下がり、4月・5月に2割ずつ上がるなど、値動きは大きくなっています。過去5年の月末のPBRは0.82〜2.05倍、中央値1.09倍での計算上の株価は5,080円ほどで、数値の上では今の株価は過去5年の高い方にあります。
財務は自己資本比率82.7%と強く、配当は減益の年も145円を保っています。生産能力で世界最大、自己資本比率8割超。個人的には、半導体の市場環境の谷がどこで底を打つかを、利益の回復で確かめてから見たい会社だと思います。なお、当ブログでは東洋炭素を単独で取り上げた動画も、隠れ優良企業【完全版】で紹介しています。
大氣社(1979)|自動車の塗装プラントで世界2位、平均年収は9社で最も高い1,181万円
動画では11:12からです。
シェア:自動車の塗装プラントで世界シェア約25%・世界2位(首位はドイツのデュル社)
利益と株価:営業利益は29.8%増。PBRは過去5年の高い方
| 市場 | 東証プライム |
|---|---|
| 完成工事高(5期) | 2,093→2,148→2,936→2,762→2,861億円(3月期・連結) |
| 営業利益率(5期) | 4.5→5.4→6.2→6.5→8.2% |
| 直近の本決算 | 2026年3月期:完成工事高+3.6%・営業利益233億円(+29.8%) |
| 今期の会社予想 | 完成工事高3,070億円・営業利益238億円(営業利益率7.8%) |
| 株価/時価総額 | 3,945円/約2,504億円 |
| PER/PBR | 13.8倍(会社予想)/1.42倍 |
| PBRの過去5年 | 0.80倍(2022年1月)〜1.94倍(2026年6月)・中央値1.11倍。8月31日は1.54倍(当ブログ計算)=高い方(過去の月末の93%を上回る) |
| 予想配当利回り | 3.02%(年119円) |
| 1株配当 | 50→60.5→65.5→72→110円(2022年3月期〜2026年3月期)→予想119円 |
| 自己資本比率 | 56.1%(2026年3月期) |
| 平均年収 | 1,181万円(有価証券報告書・単体) |
| 株価の動き | 年初から+19.7%/直近1年の高値5,080円(2026年6月)から−22.3%/直近5年で約2.2倍 |
強み|空調と塗装の2本の柱
自動車の塗装プラントは、塗装の工程を工場まるごと作る仕事です。世界ではドイツのデュル社が首位で、大氣社は世界シェア約25%で2位とされ、世界はこの2社でかなりの部分を占めるとされています。この約25%は、会社が開示している数字ではありません。もう1本の柱が空調で、半導体工場のクリーンルームも手がけており、TSMCの熊本工場も同社が関わった現場です。1913年の創業から、空調と塗装という2つの柱を積み上げてきたことが強みです。
シェアは利益になっているか|利益率は5期で4.5%から8.2%へ
営業利益率は4.5%から8.2%まで、5期で上がってきました。2026年3月期は完成工事高が3.6%しか増えていないのに、営業利益は29.8%増えています。採算の良い案件を選べている表れとも読めますが、工事の受注は年によって波が大きい業態です。今期の会社予想の営業利益率は7.8%と、少し下がる計画です。配当は1年で72円から110円へ5割以上増え、今期は119円の予想です。
株価の位置とひとこと
株価は3,945円で、年初から19.7%上がり、直近1年の高値からは2割あまり下の水準です。2026年3月に月間で約16%下がり、5月に約28%上がっています。過去5年の月末のPBRは0.80〜1.94倍、中央値1.11倍での計算上の株価は2,840円ほどで、数値の上では今の株価は過去5年の高い方にあります。
塗装で世界2位、半導体のクリーンルーム、そして9社で最も高い平均年収1,181万円。個人的には、8%台に上がった利益率が、受注の波の中でも続くかを次の本決算で確かめたい会社だと思います。
サトーHD(6287)|ラベルプリンタで国内1位・世界2位、PBRは1倍そこそこ
動画では04:50からです。
シェア:バーコードラベルプリンタで国内出荷数量1位・世界販売金額2位
利益と株価:直近は営業減益。PBRは過去5年の真ん中あたり
| 市場 | 東証プライム |
|---|---|
| 売上高(5期) | 1,248→1,428→1,434→1,548→1,634億円(3月期・連結) |
| 営業利益率(5期) | 5.1→6.2→7.2→8.0→6.8% |
| 直近の本決算 | 2026年3月期:売上+5.6%・営業利益110億円(−10.5%) |
| 今期の会社予想 | 売上1,720億円・営業利益121億円(営業利益率7.0%) |
| 株価/時価総額 | 2,845円/約957億円 |
| PER/PBR | 12.0倍(会社予想)/1.05倍 |
| PBRの過去5年 | 0.84倍(2026年5月)〜1.57倍(2021年9月)・中央値1.00倍。8月31日は1.08倍(当ブログ計算)=真ん中あたり(過去の月末の77%を上回る) |
| 予想配当利回り | 2.81%(年80円) |
| 1株配当 | 70→72→73→75→76円(2022年3月期〜2026年3月期)→予想80円 |
| 自己資本比率 | 58.6%(2026年3月期。5期前は52.6%) |
| 平均年収 | 836万円(有価証券報告書・単体) |
| 株価の動き | 年初から+18.5%/直近1年の高値2,950円(2026年8月)から−3.6%/直近5年で+5.6% |
強み|プリンタ本体と、消耗品のラベルを一緒に供給
コンビニの棚札、病院のリストバンド、物流の伝票など、身の回りのラベルの多くにサトーの技術が使われています。強みは、プリンタ本体だけでなく、専用のラベルやシールといった消耗品まで一貫して供給していることです。プリンタが一度入ると、ラベルが繰り返し売れる形で、これが安定した収益の土台になっています。
シェアは利益になっているか|売上は伸びても、利益率は6〜8%
売上は5期続けて伸び、1,248億円から1,634億円になりました。一方で営業利益率は5.1%から8.0%の間で、2026年3月期は営業利益が10.5%減っています。海外の事業の立て直しが続いている局面で、この減益が一時的なものかどうかが焦点です。今期の会社予想は営業利益121億円と、増益に戻す計画です。配当はこの5期のあいだに70円から76円へと毎年増え、今期は80円の予想です。
株価の位置とひとこと
株価は2,845円で、年初から18.5%上がり、直近1年の高値に近い水準です。2026年8月に月間で約16%上がっています。過去5年の月末のPBRは0.84〜1.57倍、中央値1.00倍での計算上の株価は2,630円ほどで、数値の上では今の株価は過去5年の真ん中あたり(高い方寄り)にあります。
PBRが1倍そこそこという評価は、世界2位という位置に対してどうなのか。PBRが1倍前後にとどまる理由は開示からは分かりませんが、ROE(自己資本利益率)は2026年3月期で6.0%と高くありません。個人的には、今期の計画どおり利益が戻り、ROEが上がっていくかを確かめたい会社です。

第2章|検査・試験の現場を押さえる2社
第2章は、製品や人の体を「調べる・試す」現場を押さえる2社です。どちらも、一度導入されると置き換えにくい形を持っています。
- 栄研化学:健康診断の便潜血検査の試薬。試薬と専用装置をセットで供給
- IMV:ものが振動に耐えられるかを試す装置。装置から制御ソフトまで自社で開発
栄研化学(4549)|便潜血検査の試薬で国内・海外とも約7割、利益は落ち込んだ水準から戻らず
動画では00:33からです。
シェア:便潜血検査の試薬で国内約7割・海外約7割と報じられている(会社の数字ではない)
利益と株価:営業利益率は19.5%から7.0%に低下。PBRは過去5年の真ん中あたり
| 市場 | 東証プライム |
|---|---|
| 売上高(5期) | 430→433→401→405→419億円(3月期・連結) |
| 営業利益率(5期) | 19.5→17.2→8.4→7.4→7.0% |
| 直近の本決算 | 2026年3月期:売上+3.4%・営業利益29.2億円(−2.7%) |
| 今期の会社予想 | 売上420億円・営業利益30.7億円(営業利益率7.3%) |
| 株価/時価総額 | 2,325円/約803億円 |
| PER/PBR | 37.1倍(会社予想)/1.77倍 |
| PBRの過去5年 | 1.03倍(2023年9月)〜2.43倍(2026年2月)・中央値1.61倍。8月31日は1.74倍(当ブログ計算)=真ん中あたり(過去の月末の72%を上回る) |
| 予想配当利回り | 2.49%(年58円) |
| 1株配当 | 51→51→51→53→58円(2022年3月期〜2026年3月期)→予想58円 |
| 自己資本比率 | 70.1%(2026年3月期) |
| 平均年収 | 765万円(有価証券報告書・単体) |
| 株価の動き | 年初から−3.4%/直近1年の高値3,500円(2026年4月)から−33.6%/直近5年で+8.3% |
強み|試薬と専用装置をセットで供給
便潜血検査は、大腸がんの早期発見のための検査です。栄研化学はこの試薬で、国内でおよそ7割、海外でもおよそ7割のシェアを持つと報じられています(株探・フィスコの報道。会社が出している数字ではありません)。強みは、検査の試薬と専用の装置をセットで供給し、一度導入されると簡単には置き換えられない仕組みをつくっている点です。
シェアは利益になっているか|2024年3月期に利益が半分以下に
営業利益率は、2022年3月期の19.5%から、2024年3月期に8.4%へと大きく下がり、その後も7%台にとどまっています。売上は戻ってきていますが、利益は落ち込んだ水準から抜け出せていません。利益が落ちた理由をこの記事では一つに絞れていませんが、動画では、海外展開やM&Aへの投資が先行している局面と紹介しました。その投資がいつ利益に変わるかが焦点です。今期の会社予想も営業利益率7.3%で、大きな回復は見込んでいません。PERが37.1倍と9社で最も高いのは、利益の水準が低いことの裏返しでもあります。
株価の位置とひとこと
株価は2,325円で、年初からは3.4%下がり、直近1年の高値からは3割あまり下の水準です。2026年2月に月間で約31%上がり、7月に約16%下がっています。過去5年の月末のPBRは1.03〜2.43倍、中央値1.61倍での計算上の株価は2,150円ほどで、数値の上では今の株価は過去5年の真ん中あたりにあります。
財務は自己資本比率70.1%と厚く、配当はこの5期のあいだに51円から58円へ増えています。検査という地味な分野で世界の現場を押さえながら、いまは次の成長への踏ん張りどころにいる会社だと思います。個人的には、営業利益率が10%台に戻る道筋が見えてから考えたい会社です。
IMV(7760)|振動試験装置で国内約63%、海外の伸びしろと自己資本比率51%
動画では02:41からです。
シェア:動電式の振動試験装置で国内約63%・海外約24%(2023年4月時点)
利益と株価:3期続けて増収増益。PBRは過去5年の高い方
| 市場 | 東証スタンダード |
|---|---|
| 売上高(5期) | 116→119→137→153→179億円(9月期・連結) |
| 営業利益率(5期) | 9.2→6.9→9.2→12.0→12.9% |
| 直近の本決算 | 2025年9月期:売上+17.0%・営業利益23.2億円(+25.3%) |
| 今期の会社計画 | 2026年9月期:売上200億円・営業利益24億円(営業利益率12.0%) |
| 株価/時価総額 | 2,101円/約356億円 |
| PER/PBR | 18.1倍(会社予想)/2.55倍 |
| PBRの過去5年 | 0.80倍(2022年11月)〜5.48倍(2026年2月)・中央値1.22倍。8月31日は2.81倍(当ブログ計算)=高い方(過去の月末の80%を上回る) |
| 予想配当利回り | 1.43%(年30円) |
| 1株配当 | 10→10→12→20→30円(2021年9月期〜2025年9月期)→予想30円 |
| 自己資本比率 | 51.0%(2025年9月期・9社で最も低い) |
| 平均年収 | 802万円(有価証券報告書・単体) |
| 株価の動き | 年初から−4.5%/直近1年の高値4,255円(2026年3月)から−50.6%/直近5年で約3.7倍 |
強み|装置本体から制御ソフトまで自社で開発
自動車の部品も、人工衛星も、防衛装備も、世に出る前に振動に耐えられるかを試験されます。IMVは動電式と呼ばれる方式の振動試験装置で、2023年4月時点で国内およそ63%、海外およそ24%のシェアを持つとされています。強みは、装置本体から制御ソフトまでを自社で開発していることです。
シェアは利益になっているか|利益率は5期で6.9%から12.9%へ
売上は116億円から179億円へ伸び、営業利益率も2022年9月期の6.9%から12.9%まで上がりました。3期続けて増収増益です。配当は4年で10円から30円へ3倍になっています。一方で、自己資本比率は51.0%と9社の中で最も低く、設備や在庫を抱える装置産業として、需要が反転したときの耐性は見ておきたいところです。9月決算のため、2026年9月期の本決算はまだ反映していません。
株価の位置とひとこと
株価は2,101円です。年初からは4.5%の下げですが、2026年1月・2月に大きく上がって3月に4,255円の高値をつけ、そこから半分の水準まで下がりました。3月と5月にはそれぞれ月間で約3割下がっていて、値動きは9社の中でも大きい方です。上げ下げの理由は、開示からははっきりしません。過去5年の月末のPBRは0.80〜5.48倍、中央値1.22倍での計算上の株価は910円ほどで、数値の上では今の株価は、高値から下がったあとでも過去5年の高い方にあります。
国内で6割を握りながら、海外でも2割強まで来ている。この海外の伸びしろが、この会社のいちばんの面白さだと思います。個人的には、値動きの大きさを考えると、利益の伸びが株価の高さに見合っているかを、次の本決算で確かめてから見たい会社です。

第3章|シェアの順位より、利益率と素材で読む3社
第3章は、「世界何位か」という順位だけでは見えない強みを持つ3社です。
- やまびこ:チェーンソーで世界トップ5。売上の7割以上が海外
- ヒロセ電機:コネクタで世界11位。それでも営業利益率は20.4%
- 日東紡:繊維の会社が、AIサーバーの基板向けのガラス繊維で伸びている
やまびこ(6250)|チェーンソーで世界トップ5、利益は3年で2倍超
動画では07:02からです。
シェア:チェーンソーで世界トップ5に入るとされる
利益と株価:営業利益率は5.6%から11.3%へ。PBRは過去5年で最も高い
| 市場 | 東証プライム |
|---|---|
| 売上高(5期) | 1,423→1,562→1,514→1,648→1,740億円(12月期・連結) |
| 営業利益率(5期) | 6.6→5.6→9.4→11.9→11.3% |
| 直近の本決算 | 2025年12月期:売上+5.6%・営業利益197億円(+0.5%) |
| 今期の会社予想 | 売上1,900億円・営業利益230億円(営業利益率12.1%) |
| 株価/時価総額 | 4,410円/約1,945億円 |
| PER/PBR | 10.9倍(会社予想)/1.37倍 |
| PBRの過去5年 | 0.66倍(2022年12月)〜1.50倍・中央値0.87倍。8月31日は1.50倍(当ブログ計算)=過去5年で最も高い |
| 予想配当利回り | 2.49%(年110円) |
| 1株配当 | 45→52→55→90→90円(2021年12月期〜2025年12月期)→予想110円 |
| 自己資本比率 | 70.8%(2025年12月期) |
| 平均年収 | 806万円(有価証券報告書・単体) |
| 株価の動き | 年初から+48.4%/直近1年の高値4,470円(2026年8月)から−1.3%/直近5年で約3.5倍 |
※動画では自己資本比率を68.9%と紹介しましたが、これは2024年12月期の値で、2025年12月期は70.8%です。
強み|北米の流通網と、プロ向けの耐久性
やまびこは、共立と新ダイワという、かつてのライバル同士が統合して生まれた会社です。チェーンソーでは世界のトップ5に入るとされ、売上の7割以上が海外、その中心は北米です。北米では、子会社を通じて約8,500の店舗に製品が並んでいるとされます。プロが信頼する耐久性と、北米のホームセンターや欧州のディーラーという世界規模の流通網が強みです。
シェアは利益になっているか|3年で営業利益が2倍超
営業利益は2022年12月期の86.9億円から2025年12月期の197億円へ、3年で2倍以上になり、営業利益率も5.6%から11.3%に上がりました。今期の会社予想は営業利益230億円(営業利益率12.1%)です。ただ、この利益の伸びは海外の屋外作業機械に大きく頼っていて、国内向けの農業機械や産業機械は足踏みが続いています。北米の需要が崩れたときにどうなるかは意識しておきたいところです。配当はこの5期のあいだに45円から90円へ増え、今期は110円の予想です。
株価の位置とひとこと
株価は4,410円で、年初から48.4%上がり、直近1年の高値に近い水準です。2026年2月に月間で約2割上がっています。過去5年の月末のPBRは0.66〜1.50倍で、8月31日のPBRは過去5年のどの月末よりも高い水準でした。中央値0.87倍での計算上の株価は2,540円ほどです。数値の上では、割安とは言えない位置にあります。
規模を追わず、屋外作業機械に絞り込んで世界のニッチを取る。戦い方が明確な会社だと思います。やまびこは、就活の目線でも【6250】株式会社やまびこは隠れ優良企業といえるのか?|年収806万・世界トップ5のニッチ王者を正直レビューで詳しく取り上げています。
ヒロセ電機(6806)|コネクタで世界11位、それでも営業利益率20.4%
動画では09:04からです。
シェア:コネクタの世界シェアで11位(上位10社で世界の53.2%)
利益と株価:営業利益率は5期とも20%以上。PBRは過去5年の高い方
| 市場 | 東証プライム |
|---|---|
| 売上高(5期) | 1,637→1,832→1,655→1,894→2,113億円(3月期・連結) |
| 営業利益率(5期) | 24.9→25.5→20.6→22.5→20.4% |
| 直近の本決算 | 2026年3月期:売上+11.5%・営業利益430億円(+0.8%) |
| 今期の会社予想 | 売上2,500億円・営業利益500億円(営業利益率20.0%) |
| 株価/時価総額 | 25,935円/約8,955億円 |
| PER/PBR | 24.2倍(会社予想)/2.24倍 |
| PBRの過去5年 | 1.51倍(2025年4月)〜2.50倍(2026年6月)・中央値1.76倍。8月31日は2.25倍=高い方(過去の月末の95%を上回る) |
| 予想配当利回り | 2.01%(年520円) |
| 1株配当 | 440→500→440→490→505円(2022年3月期〜2026年3月期)→予想520円 |
| 自己資本比率 | 87.7%(2026年3月期・9社で最も高い) |
| 平均年収 | 808万円(有価証券報告書・単体) |
| 株価の動き | 年初から+50.0%/直近1年の高値32,210円(2026年6月)から−19.5%/直近5年で+41.5% |
強み|多品種を少量でも高く売れる形で設計する
コネクタの世界市場は、上位10社で53.2%を占め、1位と2位は海外の大手です(業界調査・2024年実績)。ヒロセ電機は世界11位で、売上の規模は上位2社の約10分の1です。それでも、世界の最大手勢の営業利益率が20%台半ばとされるなかで、ヒロセ電機も20.4%を出しています。数千種類にのぼる多品種を、少量でも高く売れる形で設計していることが強みです。
シェアは利益になっているか|5期とも20%超、ただし伸びは横ばい
営業利益率は5期とも20%を超え、9社の中で最も高い水準です。シェアの順位は11位でも、利益率では世界の大手に並んでいる、という形です。ただ、2026年3月期は売上が11.5%伸びたのに、営業利益は0.8%増とほぼ横ばいでした。利益が伸びなかった理由は、この記事では会社の説明で確かめられていません。動画では、生成AI向けのサーバーで数量は出ているものの、その分野の採算が従来品ほど高くない可能性を挙げました。今期の会社予想も営業利益率20.0%で、20%を守れるかが焦点です。配当は2024年3月期に500円から440円に減ったことがありますが、その後は増え、今期は520円の予想です。
株価の位置とひとこと
株価は25,935円で、年初から50.0%上がっていますが、直近1年の高値からは約2割下の水準です。2026年2月に月間で約41%、5月に約29%上がっています。過去5年の月末のPBRは1.51〜2.50倍、中央値1.76倍での計算上の株価は20,310円ほどで、数値の上では今の株価は過去5年の高い方にあります。
規模で勝てない相手に、利益率で並ぶ。個人的には、自己資本比率87.7%の厚い財務と20%の利益率は魅力ですが、株価が過去5年の高い方にある今は、利益率が20%を保てるかを確かめながら見たい会社だと思います。
日東紡(3110)|100年企業がAIサーバーの基板材料で、3期で営業利益4倍超
動画では13:22からです。
シェア:AIサーバー向けの半導体パッケージ基板に使う「Tガラス」で高い地位にあると報じられている(会社のシェアの数字はない)
利益と株価:営業利益率は5.6%から17.6%へ。PBRは過去5年の高い方、配当利回りは9社で最も低い
| 市場 | 東証プライム |
|---|---|
| 売上高(5期) | 841→875→933→1,090→1,182億円(3月期・連結) |
| 営業利益率(5期) | 8.6→5.6→9.0→15.1→17.6% |
| 直近の本決算 | 2026年3月期:売上+8.4%・営業利益208億円(+26.6%) |
| 今期の会社予想 | 売上1,410億円・営業利益300億円(営業利益率21.3%) |
| 株価/時価総額 | 3,200円/約6,036億円 |
| PER/PBR | 29.1倍(会社予想の1株利益109.87円)/3.29倍 |
| PBRの過去5年 | 0.69倍(2023年4月)〜8.01倍(2026年4月)・中央値1.47倍。8月31日は3.36倍(当ブログ計算)=高い方(過去の月末の88%を上回る) |
| 予想配当利回り | 0.88%(年28円・9社で最も低い) |
| 1株配当 | 9→11→11→21.2→25.4円(2022年3月期〜2026年3月期)→予想28円 |
| 自己資本比率 | 61.3%(2026年3月期。5期前は56.5%) |
| 平均年収 | 717万円(有価証券報告書・単体) |
| 株価の動き | 年初から+56.9%/直近1年の高値6,580円(2026年5月)から−51.4%/直近5年で約4.6倍 |
強み|ガラスを細く均一に紡ぐ技術
Tガラスと呼ばれる特殊なガラス繊維は、熱で膨らみにくく、反りに強いという性質を持ち、高性能化する半導体のパッケージ基板で必要とされています。日東紡はこの分野で圧倒的な地位を築いていると報じられていますが、会社がシェアの数字を出しているわけではありません。繊維会社として100年かけて培った、ガラスを細く均一に紡ぐ技術が、最先端の半導体で生きている点が強みです。
シェアは利益になっているか|電子材料が利益の大半を稼ぐ
営業利益は2023年3月期の49億円から2026年3月期の208億円へ、3期で4倍以上になり、営業利益率も17.6%まで上がりました。今期の会社予想は営業利益300億円・営業利益率21.3%です。9社の中で、シェアの伸びが利益に最もはっきり表れている会社だと思います。一方で、電子材料が営業利益の大半を稼ぐ形になっていて、AIサーバー向けの需要が止まったときの振れ幅は大きくなります。なお、2026年3月期の純利益は418億円と営業利益の2倍で、本業以外の利益が含まれています。今期の純利益の会社予想は200億円です。
株価の位置とひとこと
株価は3,200円で、年初から56.9%上がっていますが、2026年5月の高値6,580円からは約半分の水準です。2025年11月から2026年5月にかけて、月に5割前後上がる月と2〜3割下がる月が交互にあり、7月にも約35%下がっています。値動きは9社の中で最も大きく、上げ下げの理由は開示からははっきりしません。過去5年の月末のPBRは0.69〜8.01倍、中央値1.47倍での計算上の株価は1,400円ほどで、数値の上では今の株価は高値から半分になっても過去5年の高い方にあります。
配当利回りは0.88%と9社で最も低く、成長に投資する局面の会社です。100年企業が、いちばん新しい市場の中心にいる。個人的には、値動きの大きさを受け止められる人が、AIサーバーの需要の行方を見ながら考える会社だと思います。

シェアは利益になっているか|9社を並べて分かった3つのこと
1. 世界シェアが高くても、営業利益率は5.6%〜20.4%とばらばら
| 会社 | 営業利益率 直近の本決算 |
営業利益 前の期比 |
今期の会社予想 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| ヒロセ電機 | 20.4% | +0.8% | 20.0% |
| 日東紡 | 17.6% | +26.6% | 21.3% |
| 東洋炭素 | 14.6% | −44.6% | 12.7% |
| IMV | 12.9% | +25.3% | 12.0% |
| やまびこ | 11.3% | +0.5% | 12.1% |
| 大氣社 | 8.2% | +29.8% | 7.8% |
| 栄研化学 | 7.0% | −2.7% | 7.3% |
| サトーHD | 6.8% | −10.5% | 7.0% |
| ニッパツ | 5.6% | −12.2% | 6.9% |
世界No.1のニッパツが9社で最も低い5.6%で、世界11位のヒロセ電機が最も高い20.4%でした。シェアが高い製品を持っていても、それが会社全体の売上のどれくらいを占めるか(ニッパツ)、業界の利益の水準がどうか(大氣社・サトー)で、会社全体の利益率は大きく変わります。
2. 直近の本決算で営業減益は4社、今期も減益の計画は1社
直近の本決算で営業利益が減ったのは、栄研化学・サトーHD・ニッパツ・東洋炭素の4社です。今期の会社予想では、東洋炭素を除く8社が営業増益の計画で、東洋炭素だけが2期続けて減益の計画です。シェアが高くても、市場環境(東洋炭素の半導体)や事業の立て直し(サトーHD)、先行投資(栄研化学)で利益は減ります。
3. 株価は9社中7社が過去5年の「高い方」
2026年8月31日の株価を、その会社自身の過去5年のPBRと比べると、高い方が6社(IMV・東洋炭素・大氣社・ヒロセ電機・日東紡・ニッパツ)、過去5年で最も高いが1社(やまびこ)、真ん中あたりが2社(栄研化学・サトーHD)でした。低い方の会社はありません。世界シェアの高さは、すでに株価に織り込まれている面があると思います。
世界シェアが高い会社の平均年収
就活の目線で気になる平均年収も並べました(動画で紹介した数字です)。
| 会社 | 平均年収 |
|---|---|
| 大氣社 | 1,181万円 |
| サトーHD | 836万円 |
| ヒロセ電機 | 808万円 |
| やまびこ | 806万円 |
| IMV | 802万円 |
| ニッパツ | 791万円 |
| 栄研化学 | 765万円 |
| 東洋炭素 | 725万円 |
| 日東紡 | 717万円 |
※有価証券報告書の「提出会社の状況」の値(グループ全体ではなく、その会社単体)。サトーHDは持株会社の単体の値です。
9社は717万〜1,181万円で、全社が700万円を超えています。ただ、平均年収は会社単体の数字で、年齢や職種の構成が違うので、会社どうしを単純には比べられません。有価証券報告書のどこを見ればよいかは、有価証券報告書で平均年収を調べる方法【2027卒】EDINETで本当の年収を見抜くで解説しています。

まとめ|世界シェアが高い日本企業9社は、シェアの中身と利益を分けて見る
世界や国内で高いシェアを持つ9社を見てきました。要点は3つです。
- 「世界一」と会社自身が書いているのは2社(ニッパツ・東洋炭素)。ほかは世界2位・国内首位・世界トップ5などで、数えているもの(数量・金額・生産能力)と範囲も社ごとに違います。
- シェアの高さと利益率は別。営業利益率は5.6%〜20.4%で、直近の本決算で営業減益が4社ありました。
- 株価は9社中7社が過去5年の高い方(2026年8月31日終値)。数値の上では、割安と言える会社は見当たりませんでした。
シェアの高さは、会社の強みを語るうえで分かりやすい入り口です。ただ、そのシェアが会社全体の利益にどれくらい表れているか、そしてそれが株価にどこまで織り込まれているかまで見て、はじめて会社の評価になると思います。
国内シェアNo.1の6社について、No.1の事業が会社の稼ぎ頭になっているかを一社ずつ確かめた記事もあります。→ 国内シェアNo.1の企業6選|4期連続増収・自己資本比率50%超、No.1の事業は稼ぎ頭か【2026年10月時点】
シェアではなく、稼ぐ力の側から会社を探したい方は、5年続けて営業利益率20%を超える9社の「稼ぐ仕組み」を読んだこちらの記事もどうぞ。
⚠️ 注意:この記事は個人の感想で、特定の銘柄の売買をすすめるものではありません。株価と指標は2026年8月31日終値で計算していて、日々変わります。シェアの数字は、出どころ(会社・調査会社・報道)と時点を各社の節に書いたとおりで、最新の数字とは限りません。業績予想・配当予想は各社の会社予想で、将来を保証するものではありません。投資の判断は、最新の開示を確かめたうえでご自身で行ってください。

