新聞等では、未だに女性管理職や平均年収が男性と比べて低いことが取沙汰されています。それでは、採用における性差別についてはどのような法律があるのでしょうか。性差別に関わらず、法律を知ることは自分を守ることにつながるので是非ご覧ください。
目次
現状の確認
実際にこの現代においても性差別はあるのでしょうか。まずは、世界的な指標である世界経済フォーラムが公表している「ジェンダー・ギャップ指数2018」から見て行きましょう。
こちらの指標によると、日本の男女格差は149ヵ国中110位と非常に低い数字になっています。
この原因は主に政治分野と経済分野での格差が大きいことが挙げられています。確かに現実問題として、国会議員に女性はほとんどいないですし、閣僚も申し訳程度に女性が入れられているのが現状でしょう。また、経済面でも平均年収格差は200万円ほどあると言われており格差が大きいことが分かります。
法的規制
では以上のような格差に対して、どのような法的規制が整備されているのでしょうか。多くの規制がありますが、ここでは主に採用時における法的規制に焦点を絞ってご紹介します。
賃金に関する法律
賃金に関する差別については、労働基準法4条が規制しています。
労働基準法4条「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。」
これはいかなる賃金規定、就業規則、労働協約などでも実態として取り扱いが異なっていれば法律違反になります。
上記のように賃金においては労働基準法において明確に規制されています。
賃金以外に関する法律
では、賃金以外、例えば採用において女性だからと言って差別をすることはするされるのでしょうか。
これも、もちろん全面的に禁止されており、該当する法律は男女雇用機会均等法となっています。
これによって男女関わらず労働者は性別による差別は受けない事となっています。男女を分離する取扱いについては、個別紛争解決援助の申立を行うことができ、行政官庁からの指導対象になります。
特例
とはいっても一律規制するわけではなく、特例や例外もあります。
特例については均等法8条が規定しています。
均等法8条「前3条の規定は、事業主が、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の支障となつている事情を改善することを目的として女性労働者に関して行う措置を講ずることを妨げるものではない。」
これは所謂ポジティブ・アクションというものです。
この例としては、女性の管理職目標を数字で決め、その目標に達するように強制的に人員配置を行うというものがあります。また、アメリカの大学では、黒人の比率を高めるために一定数は確実に合格させるといったことも行われています。
ただし、日本におけるポジティブ・アクションは女性に対してのみしか行うことはできず、男性についてはいかなる場合でも均等法に抵触することには注意が必要です。その理由としては、①女性が多くの場合不利益を受けていること、②男性にが優遇を受けることによって間接的に雇用を奪われる場合(保育士など)があるとの女性からの反対が多かったこと、などが理由として挙げられています。
余談ですが、保育士の人数が足りていないなど多くの現場で人手不足が叫ばれている中ではこの規定の改正も必要になるかもしれません。
信条に関しては採用時における制限はない
直接差別と間接差別
最後に差別にも直接差別と間接差別があるのでその違いについて簡単に説明します。
直接差別とは・・・性別を明記し区別すること
間接差別とは・・・身長や全ての労働者に転勤を必要とすること
結論
法律としては性差別は完全に禁止されていますが実態としてはまだ差別は存在するようです。その際に泣き寝入りすることなく法律をうまく使って困難を乗り越えていただけることを願っています。